三洋電機は、財団法人日本産業デザイン振興会(JIDPO)の主催によるイベント「社会にはたらきかけるデザインのあたらしい力」にて、同社の商品シリーズ「eneloop universe(エネループ・ユニバース)」の発足までの経緯や今後の展開を明らかにした。
「eneloop universe」は、自然から生成したエネルギーを充電し、物を使い捨てないライフスタイルを作り出すことをコンセプトとした、同社のオリジナル・ブランド。これまで、同社の充電式ニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」を太陽光で充電する「eneloop solar charger(エネループソーラーチャージャー) N-SC1S」、充電式のカイロ「eneloop kairo(エネループカイロ) KIR-S1S」、ノベルティとして配布された犬型の電池残量チェッカー「eneloopy(エネルーピー)」を発表している。
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「eneloop kairo(エネループカイロ) KIR-S1S」(左)と、「eneloop solar charger(エネループソーラーチャージャー) N-SC1S」
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ノベルティ用の電池チェッカー「eneloopy」
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三洋電機株式会社 ブランド本部 アドバンストデザインセンタービジュアルデザインチーム チーフデザイナーの水田一久氏が、eneloopの発売からeneloop universeの立ち上げまでの経緯を語った。
三洋電機では2005年7月より、総合家電メーカーからエコ関連技術を中心とした業態への転換を発表。コーポレートスローガンに「Think GAIA」を掲げ、その第一弾商品として、2005年11月にeneloopを発売した。eneloopは自然放電を抑えた構造で、購入後すぐ使用でき、1,000回繰り返して充電できる特性を持っている。
同氏はエネループの売上データを公開し、「売れ行きは好調」と語った。2006年の国内販売量は約914万本で、全世界では2,000万本を出荷。2次電池の国内シェアでは60%を誇るという。また、2006年12月の売上は127万本だったことに触れ「エネループ販売前は、国内市場全体で、1カ月の販売が80万本だったことを考えると、すごい数字」としている。
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三洋電機株式会社 ブランド本部 アドバンストデザインセンタービジュアルデザインチーム チーフデザイナーの水田一久氏
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エネループの2006年の販売量は、国内では約914万本。全世界では、2,000万本を出荷している
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enelop universeの発足については、2005年10月中旬に組織された「Think GAIA 商品プロジェクト」が発端だという。ここで提案された商品のアイディアをもとに、翌2006年2月中旬に経営トップへプレゼンテーションが行なわれ、eneloop universeのプロジェクトが承認された。
商品のアイディアは、「使い捨てない」「楽しさ」「未来」という3つのキーワードから発案。携帯電話の充電器でエネループが充電できる機械、生ゴミが発するメタンガスをメタノールに変えることで、燃料電池として使用する生ゴミ処理機などの案があったという。また、このアイディアの中には「エネループソーラーチャージャー」や「エネループカイロ」、「エネルーピー」も含まれている。
商品のアイディアについては「電池を単に応用した商品や、三洋電機がやらなくても他の会社がやってもいいような商品は、eneloop universeの商品とは呼べない」とした。
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ブランド立ち上げの際には「使い捨てない」「楽しさ」「未来」という3つをキーワードに、さまざまな商品のアイディアが提案されたという
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「超小型充電器」携帯電話用の充電器を使用する充電器。電源ユニットを持たないので充電器本体を小型化。よりエネループの普及させようという狙いがある
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携帯電話やモバイル機器に使用する携帯用の電源。電池にエネループを採用することで、使い捨てではなく、再利用が可能になる
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懐中電灯にインテリア性を加味し、振り子のように揺れるルームランプ。非常時には柄の部分を持つことで懐中電灯としての使用を想定している
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ゴミから発生するメタンガスをメタノールに変換し、燃料電池の原料にする「生ゴミ処理機プラス燃料電池」。“ゴミも使い捨てない”がテーマ
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電気を住宅で発電し、蓄積・供給する自己完結型の住居「エネループ・ホーム」
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約18億個が使い捨てられるという現状を、技術で解決しようという観点から提案された「ハンドウォーマー」。エネループカイロとして製品化された
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製品化されたものとは形状が異なるが、「エネループソーラーチャージャー」も提案されていた
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「エネルーピー」では、パッケージが犬小屋を模した形状となっている
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eneloop universeについて「人とエネルギーの新しい未来をつくりあげること、商品を保有して、生活者がエネルギーを使う行為を見直し、社会を変えてゆこうとする動きにつなげる“気付き”のための商品」と定義づけた。同ブランドの今後については、「地球環境に配慮した商品づくりは、もはや時代の大きな流れであり、これを無視した物作りはできない。“Think GAIA”を単なるお題目とせず、地球環境保護に真摯に取り組む姿勢として、技術やデザインを考え、さまざまなユニバース商品を創出してゆく」と、抱負を語った。
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eneloop universeのコンセプト図。太陽光など、自然のエネルギーを充電し、物を使い捨てないライフスタイルを作り出す
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三洋電機では、商品カテゴリー毎にeneloop universeと同様のブランドを作り、「Think GAIA」の具現化を目指す
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■URL
三洋電機株式会社
http://www.sanyo.co.jp/
エネループ
http://www.sanyo.co.jp/eneloop/lineup/lineup.html
財団法人日本産業デザイン振興会(JIDPO)
http://www.jidpo.or.jp/
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( 本誌:正藤 慶一 )
2007/03/16 00:00
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