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長期レビュー
無印良品「M-AW70A」(2/3)

~風で衣類を乾かす“簡易乾燥”って使える?
Reported by 本誌:正藤 慶一

 「家電製品長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。次回更新は2月19日(木)を予定しています(編集部)



「簡易乾燥」ってどうなのよ!?

今回は無印良品「M-AW70A」の「簡易乾燥」機能を取り上げる
 先週は「M-AW70A」の基本的な選択機能について紹介したが、今回は洗濯後に洗濯槽内に風を送る「簡易乾燥」機能が、本当に使える機能かどうかをチェックしていきたい。

 この簡易送風とは、洗濯槽を高速回転することで、槽内の湿った空気を排気し、脱水後の衣類から水分をとばすためのもの。最近では普及価格帯の全自動洗濯機でよく見られる機能だ。

 “簡易”と付いているのは、洗濯乾燥機での乾燥運転と区別するためのものだろう。というのも、洗濯乾燥機の「乾燥」機能では、ヒーターで熱を加えることで衣類を素早く乾燥させるが、「簡易乾燥」機能は、ヒーターは使わずに、あくまで槽を回転するだけ、という違いがある。簡易乾燥は、完全に乾燥することを狙っているわけではなく、部屋干しする際の乾燥時間を短縮するためのものなのである。洗濯乾燥機といえば10万円をゆうに超える高価な製品も多いが、その価格差はまさにこのヒーターの存在にあるのだ。

 何とも微妙な機能だが、これで部屋干しの時間が短縮できるのであれば、雨や曇りの日、あるいは梅雨の時期の洗濯も少しはラクになるハズ。そこで、実際に使って効果を試してみたい。


操作パネル左にある「風乾燥」ボタンを押してスタート。運転時間は30分/1時間/2時間/3時間
 この簡易乾燥機能を使うには、電源を入れスタートボタンを押す前に、操作パネル一番左の「風乾燥」ボタンで乾燥時間を設定し、その後スタートボタンを押す。これで洗濯後に自動で簡易乾燥運転がスタートする。なお、風乾燥機能だけを使う場合は、「脱水」ボタンを押した後にスタートボタンを押す。

 運転時間は30分/1時間/2時間/3時間から選択でき、30分毎に槽の高速回転をストップし、衣類を攪拌する。容量は「部屋干ししたいとき」が4.2kgまでで、ジャージなどの化繊混紡衣類を完全に乾かしたい場合は3kg以下となっている。

 なお、当然ではあるが、簡易乾燥を運転している最中も消費電力がかかる。電気代を節約したい人には向かないだろう。


簡易乾燥機能の運転中のようす。脱水時のような音がする

シワはできるが、2時間で半乾き

 最初は良く着る普段着のシャツを投入してみよう。生地の素材はポリエステルが65%、綿35%。生地も薄く、比較的早く乾くのではないかと予想される。

 以下の写真は左から順に、洗濯完了後の濡れた状態/約30分の簡易乾燥運転/その後約2時間の簡易乾燥運転を行なったもの。なお、実際の使用状況では複数枚を同時に乾燥させることが多いことを想定し、槽内にはTシャツ一枚も一緒に乾燥している。


こちらが洗濯直後のシャツ(ポリエステル65%、綿35%)。薄手のため基本的に乾きやすい 簡易乾燥機能を30分使った後の写真。裾や襟など末端部分がやや乾いているが、全体的にはまだまだ濡れている その後2時間、簡易乾燥運転を行なった。シワが増えたが、大部分が乾いている。この後2時間部屋干しをして、完全に乾いた

 この結果、最短の30分の簡易乾燥運転でも、服の先端や裾、襟など、末端部分が意外と乾いていた。縫い目など厚手の箇所や胸の辺りはまだ濡れているが、その後2時間、簡易乾燥運転を行なったところ、全体の半分以上が乾燥できた。

 このまま部屋干しを続けたが、2時間後には完全に乾いていた。洗濯時間を含めると約5時間。さすがに1~2時間ですぐ乾くといったワケにはいかないが、一晩かからないで乾燥できるというのは評価しても良いと思う。

 ただし、通常乾かしている時よりもシワができているのが気になっった。これをそのまま着て外出するよりも、アイロンをかけた方がビシッとキマりそうだ。


綿100%のYシャツは乾きにくく、シワもかなり多め

 続いて、先ほど試したシャツよりも少々厚手の綿100%素材のYシャツを投入してみる。次の日着ようと部屋干ししても、翌日見てみると乾いていない、ということも何度かあったクセモノだ。写真は先ほどと同様、左から順に洗濯完了後の濡れた状態/約30分の簡易乾燥/約2時間の簡易乾燥運転を行なったものとなっている。これもまた、槽内にほかのTシャツを一枚を入れている。


続いて綿100%のYシャツの乾燥にチャレンジ。厚手のため、梅雨の時期は部屋干しでもなかなか乾きにくい 30分の簡易乾燥運転後の写真。乾いた感はなく、シワがムダに付いてしまっている 左の写真から2時間、簡易乾燥運転を行なったもの。比べれえばさすがにサラッとしているが、それよりもシワがかなり強烈についてしまった

 最初に使用したシャツと比べると、厚手なせいかさすがに乾きが悪く、30分後も全体的に濡れたままだった。2時間の簡易乾燥運転後に触れると、依然湿っているものの、2時間前よりもサラッとした触感はあった。さきほどのシャツと比較すると物足りないが、乾燥効果はあったといって良いだろう。

 それよりも問題はシワだろう。洗濯後には胸の辺りにはなかったシワが、簡易乾燥30分後でもうすでに付いており、2時間後には全体がシワシワになってしまった。乾燥運転をしてしまったことで余計なシワを付けてしまったカタチになる。このまま着るわけにはいかず、アイロンがけが必要になってしまう。

 説明書を読み返すと、綿100%など「しわが気になる衣類」は簡易乾燥に使用しないでください、としっかりと明記されていた。このほか、色落ちしやすい衣類、型くずれしやすい衣類などの使用も控えた方が良いとのことだった。確かに部屋干しの乾燥時間の短縮が期待できるが、シワが付きやすい衣類には向きそうもない。その点では、シワができても気にならないTシャツや下着の乾燥に使うのが賢い使い方かもしれない。


ジャージなど化繊素材は乾きやすい

 最後に、ジャージとそのインナーとして着るTシャツの2枚を洗い、簡易乾燥機能を使ってみた。すると、Tシャツは洗濯後2時間で半分以上が乾き、ジャージにいたっては完全に乾いてしまった。しかも、シワはあまり目立っていない。

 説明書には化繊素材は特に乾きやすいと書いてあったが、確かにTシャツの素材が綿とポリエステルの半々、ジャージに至っては100%ポリエステルだった。化繊がもともと乾きやすい素材というのも影響しているのだろう。素材に化繊の割合が多い場合は、積極的に使ってもよさそうだ。


ポリエステル100%のアディダスのジャージを簡易乾燥で乾かしてみる。写真は洗濯直後のもの 簡易乾燥で2時間後、ジャージは完全に乾いた

ジャージと同時に、綿50%・ポリエステル50%のTシャツを簡易乾燥で乾かしてみる。写真は洗濯直後 2時間の簡易乾燥運転後は、ほぼ半分が乾いている。シワもインナーとして使うなら気にならない程度

 以上のことをまとめると、簡易乾燥機能だけで衣類をすべて乾燥することを期待するのは、さすがに無理がある。しかし、部屋干しと併用して、通常よりも素早く乾燥させる、という目的なら、十分に使える機能と言って良いだろう。

 以下に、今回の使用実験を踏まえ、簡易乾燥機能を使う上でのメリットやデメリットをまとめてみた。

・薄手の生地、素材に化繊の割合が多い場合は乾きやすい。
・ジャージなど化繊100%の衣類は特に乾きやすい
・厚手の生地、素材に綿の割合が多い場合は、シワができやすい。
・衣類を完全に乾かすことを期待してはいけない。部屋干しと併用するのが基本


念のため、洗濯直後のTシャツを、簡易乾燥を使わずそのまま部屋干ししてみた 洗濯から3時間後、まったく乾いていない。やはり簡易乾燥機能を使った方が早く乾くようだ




 最終回となる次回では、基本的な洗濯機能を見るため「汚れ落ちテスト」を敢行する。また、無印良品で家電製品を購入するうえで覚えておきたい点を述べて終わりとしたい。




その1 /  その2 /  その3


URL
  無印良品
  http://www.muji.net/
  製品情報
  http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4945247483116
  洗濯機 関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/washer.htm

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長期レビュー
無印良品「M-AW70A」(1/3)(2009/02/05)



2009/02/12 00:01

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