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やじうまミニレビュー
工房緑林舎「身おろし一発! 魚ッ平」

~包丁なしでアジがおろせる調理器具
Reported by 但見 裕子

工房緑林舎「身おろし一発! 魚ッ平」
 「魚をおろす」とは、包丁などを使って魚の食べられる部分を取り出す作業のことである。これは一般的に面倒で、「難しい」と思われやすい作業だと思う。私も決して好きではない。

 まず、けっこう血を見るので、心理的にヘビーだ。それに食べられる部分と同じか、それ以上の量のアラとワタが出て、片付けが面倒だ。手やシンクまわりが生臭くなるのもうれしくない。

 魚をおろして刺身などで食べるのはおいしいし、パックの刺身よりずっと安くつく。つくのだが、労力とのバーターでいくと、どうかなあ、と思ってしまう場合が多い。

 ところが、今回見つけた製品「身おろし一発! 魚ッ平」は、包丁を使わずワンタッチでアジの身がおろせるという。

 頭を落としたり、ワタを出す必要がなく、「中アジなら30秒、豆アジなら10秒で三枚下ろし」とうたっている。本当だろうか。さっそく試してみることにしたのだ。

メーカー工房緑林舎
製品名身おろし一発! 魚ッ平
購入場所東急ハンズ
購入価格2,700円


 ここで一応、包丁を使った一般的なやりかたを振り返っておこう。

 ・頭を落とす。
 ・腹を切ってワタを出す。
 ・このへんで鮮血淋漓となるので、流水で腹の中までよく洗う。
 ・包丁で中骨を探りながら、三枚におろす。
 ・爪を立てて皮をむく。
 ・腹骨をすきとる。

 けっこうな手間であるし、一部スプラッタ的でもある。

 「魚ッ平」は、ステンレス製で、重量は80gだ。小さめのキッチンばさみくらいの気持ちだろうか。一種のハサミ状の形をしている。中央部のギザギザ部分は魚の皮をつかんで剥がす用途に使われる。

 両外側のスプーン状の部分は、身をおろす用途に使われる。


製品本体
開いた状態。ハサミ状の形をしている

パッケージ裏には写真付きでやり方が説明されている スペアバネが1つ付属する

 しかしこの部分には、いわゆる刃がついていない。普通のスプーンよりは薄いエッジになっているが、強く握りしめてもまったく危なくない程度の鈍い刃だ。この刃で大丈夫なのだろうか。魚の身は、とりあえず骨から外せるとしても、断面がボロボロになってしまわないのだろうか? 不安である。


用意した小アジ
 ともかくやってみよう。

 買ってきたアジ(20cmくらいの中型のもの)を洗って水気を取り、まず皮をむくところから始める。

 パッケージに書かれた指示通り、アジの頭を押さえておいて、エラの下あたりの皮をギザキザの爪でつかみ、尾の方にむけて引っぱっていく。

 このとき、キッチンペーパーなどを下に敷いておくと滑りにくいし、あとかたづけも楽だそうだ。

 なるほどむける。ピリピリという感じで皮がとれていく。

 一度に全部はとれず、途中で切れるときもあるが、切れたところからまたつかんで引けば、身に傷をつけることなく続けてむくことができる。

 裏返して反対側も皮をとり、次に身をおろす作業である。

 エラのすぐ下にスプーン部分を差し込み、腹の部分を避けながらこそげていく。思っていたよりずっとスムースに刃が進み、クルリ、あるいはミュルリ、という感じで身が取れた。ハラワタを切らないので血が出ない。


まずは表面の皮をむく。頭の方を押さえながらエラ下辺りの皮から剥いでいく 皮を剥いたら、スプーン部分を身に差し込んで、身をとっていく ハラワタの部分に刃を入れないので出血がない

 おろすというとり、むきとる、という感じだろうか。丈夫な中骨が支えになるので力を入れやすく、とくにコツのようなものはいらない。

 「腹の部分を避ける」というのがコツといえばコツだが、とくに技がいるものではなく、「そういう気持ちで刃を入れる」程度と思っていただいていいと思う。

 魚の腹膜が自然に刃を押し返すらしく、多少油断しても腹が切れることはなかった。血やワタを露出させないので、あまり生臭い思いをすることがない。

 ひっくり返して、反対側の身も取る。こうしてアジは、刺身にできる上身2枚と、頭付きのアラに分かれた。食べられない部分がひとかたまりになっているので、まとめて捨てるのが楽だ。


片方の身を取った状態
両側の身を取った状態。腹ワタを含め、捨てる状態のものがまとまっているので後処理も楽だ

 続けてどんどんおろす。

 たしかに包丁でやるよりずっと簡単だし、なかなか面白い作業だ。買ってきた7、8尾のアジをみんなおろしてしまったあと、「もっとやりたいな」という気分にかられたくらいだ。


アジを下ろすまでの一連の流れ。サクサクと進むのでアジをおろすのが楽しく感じた

こそげ取るようにするので、身がギザギザになるかと思ったがキレイに切れている
 「断面がきれいでないのでは?」 という心配も、どうやら杞憂だったようだ。写真を見てもらえばわかるが、なめらかな切り口で、普通に包丁で切ったものと遜色ない。

 お刺身で口にしても違和感がなく、おろしショウガで食べたら大変おいしかった。

 発売元によると、鋭い刃がついていないことで、誤って中骨を一緒に切ることがなく、また、骨に沿って力を入れやすいため、包丁でするよりも取れる身は厚いという。

 別な日には、10cmちょっとの豆アジがたくさん入ったパックを買ってきて試してみた。キャッチコピー通り「10秒で」とはいかなかったが、簡単にどんどんできることは間違いない。

 第一、こんな小さなアジを十何匹も、こまこまと包丁でおろすなんて、考えただけでいやになる。最初からからやろうとは思わない。

 それをやれる「魚ッ平」は、包丁にはない能力がある製品だといえる。

 この日は、アジを細かく刻んで青ネギとショウガを加え「アジのたたき」にして食べた。「たたき」は、もしきれいな切り身が取れなくても出来あがりに影響ないし、青魚のクセが気になる人にも食べやすいので、便利な料理だ。


アジの刺身とアジのたたき 身をソテーしてもおいしい

 鋭い刃がついていないので誰がやっても危なくないし、基本的に「血を見ないですむ」という点は、慣れない人にも親切だと思う。

 さらに、スプーン状の刃が、右利き用の片側だけでなく、両側についているのが、左利きの人にも使えていい。発売元がどのように考えて作ったのかはわからないが、どんな人でも楽に使えそうなのはいい。

 家でお刺身を作りたいがちょっと面倒、という人、また「海が近い」「釣りが好き」などの理由で小さめの魚をたくさんさばくことが多い人などには、強くお勧めしたい。





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2008/12/09 00:00

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