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やじうまミニレビュー
マクラーレン「クエストスポーツ」

~頑丈ボディで、軽快動作のイギリス発ベビーカー
Reported by 本誌:伊藤 大地

マクラーレン「クエストスポーツ」
 ここ1年ほど、ベビーカーの市場が大きく変動しているのをご存じだろうか。

 これまで、ベビーカーは、アップリカ、コンビという2つの国内メーカーを軸に動いてきた。海外ブランドのいわゆる「外車」も存在したが、非常に高価で例外的な存在でしかなかった。しかし近年、都市部を中心に急激に利用者が増えているのが、英国マクラーレン社のベビーカーだ。

 このマクラーレン、イギリス空軍が第二次大戦で投入した戦闘機「スピットファイア」の部品設計などを手がけたイギリス人航空工学者、オーウェン・マクラーレンが自分の孫のためにベビーカーを作ったのがはじまり。「コンパクトに折りたため、軽くて携行性に優れた乳母車」を目指し、軽量かつ堅牢なアルミニウム製の中空フレームを組み合わせた設計を採用。その安全性から、英国王室御用達にもなっているという。

 今回、購入した理由はオークションで落札した5年モノのベビーカーのシャフトが折れたためだ。購入当時からかなり痛んでいたし、数千円で落札したものなので文句は言えないのだが、階段に登るために子供を乗せたまま、ベビーカーを持ち上げたら、樹脂製のシャフトが折れたのだ。幸い、大事には至らなかったが、子供の安全とお金を引き替えにしてはならないと痛感した。そこで、安全性にこだわった構造のマクラーレンに白羽の矢が立ったわけだ。「コンパクトさと堅牢さを兼ね備えた」というミドルレンジのモデル「クエストスポーツ」を購入した。楽天市場で31,500円だった。

 ちなみにマクラーレンのベビーカーは現在、国内では正規ディーラー品と、並行輸入品が存在する。前者は日本の総代理店である野村プレミアムブランズが輸入したもの。価格が高く、ベビーザらスなど一部の販売店でしか購入できないが、日本語マニュアルが付属するほか、サポート体制がしっかりしているのが特徴だ。

 一方、後者は海外市場向けの製品を販売業者が独自に輸入・販売するもので、正規輸入品に比べ約3割ほど安く購入できる反面、マニュアルやサポートは販売店独自のものになる。正規輸入品か、並行輸入品を買うかは事前に考えておいた方がよいだろう。これ以上の説明は本題から外れるため省略するが、今回購入したのは並行輸入品だ。


自宅に届いた、製品パッケージ。思っていたよりも小さかった
 自宅に届いたパッケージは、思ったより小さかった。巨大な箱を想像していたのが、予想に反し、細長い箱が届いたのだ。さっそく開けてみると、小さく折りたたまれたベビーカーが入っていた。ドキュメント類は、英語で書かれた冊子が1冊と、おそらく販売店が独自に付けたであろうペラ紙の説明書が2枚、含まれていた。

 クエストというモデルは生後3~4カ月から満4歳まで使用できるベビーカーだ。シートは最大140度まで4段階に倒すことができる。フルフラットにはならないので、首の据わっていない赤ちゃんには使用できない。

 国産のベビーカーと比較すると異なる点は山ほどあるのだが、やはり、もっとも大きいのは素材だろう。国産の製品では1gでも軽くするため、樹脂フレームが中心となっているのに対し、クエストはほとんどの部品がアルミニウムのフレームで構成されている。


ほとんどの部品がアルミフレームでできている
足回りもかっちりとした造り
包み込むようなシートの造りで、子供も安定した状態で乗っていられる

 この素材の違いが生み出すのは、ボディの剛性、操作性、デザイン、主にこの3点だ。

 まず、ボディの剛性だが、初めて使ったときにはあまりの違いに驚いたほど。ハンドルに手をかけた状態で体重をかけたり、前に使っていたベビーカーが壊れた時と同じように、子供を乗せたまま、クエストを持ち上げても、まったくボディがたわまない。坂道での操作や、子供の上に重い荷物をぶら下げたときでも、フレームががっちりとしているため、ぐにゃっとした感触がせず、押し手の操作に機敏に反応してくれる。まるで、ワゴン車からスポーツカーに乗りかえたかのような感覚だ。一度使っただけで、やみつきになってしまった。


夜間の使用に安心な反射ベルト。本体のフチについている
足を乗せるベルト

 次は操作性だ。特にベビーカーの使い勝手を評価する上で避けられない、広げる、たたむの操作について、国産品とは大きく異なる。

 国産のベビーカーはその多くが、ハンドル部にあるボタンを押すだけで折りたたみ/開くの操作が行なえる。これは、電車やバスなどに乗った際、片手で子供を抱きながら、もう片方の手でベビーカーを操作しやすいようにするためだ。ワンプッシュなので手軽かつ直感的に操作できる反面、壊れやすいという欠点もある。長い間使っているとボタンのクリック感が甘くなったり、ボタンを押しても、うまく開かなかったりと、ストレスの原因にもなっていた。

 一方、マクラーレンの場合、正直に言って、開け閉めの操作は面倒だ。アルミニウムの細いフレームが何重にも組み合わされた形状のため、操作が1ステップで終わらない。開ける場合は、(1)本体をまとめているフックを外して、(2)フレーム後部にあるスイッチを足で下方向に押す、という2ステップだ。

 閉じるときはもっと大変である。建築物のように張り巡らされたアルミフレームにある2カ所のロックを足で外した後、前輪部分を持ち上げて折りたたみ、片手でその状態を保持しながら、もう片手で固定用のフックをかけなければならない。折りたためば勝手にホールドしてくれる国産品と比べると、かなり手間がかかる。片手ではまずムリだし、赤ちゃんを抱きながらできる作業ではない。扱いやすさだけで言えば、圧倒的に国産品の方が上である。

 また、アルミフレームを用いているからとて、決して軽いわけではない。クエストは6.2kgだが、同じクラスの国産ベビーカーは4kg台で軽量化を競っている。

 しかし、開け閉めの煩雑さも重量も結局のところ、アルミニウムフレームを採用した結果だ。実際に使っていても、開け閉めするたびに不便を感じると同時に、手軽さより、なによりまず安全性、堅牢さという基本性能を重視したことが、強く感じ取れる。マクラーレンの歴史を見ればわかるように、軽くて頑丈なアルミの採用は、いわばマクラーレンのDNAとでも言うべき部分であり、ここをどう捉えるかで、評価は180度変わるだろう。


小回りの効く小さめの車輪
日除けがついているものの、小さいので、日差しの強い場所だと子供がまぶしそうにしていた

 3点目のデザインだが、これはもう一目見ればわかる。ベビー用品全般にありがちな丸っこくてファンシーな味付けとはまるで正反対にある。曲線が少ないスクエアな外見で、“ベビー用品”という雰囲気よりも、“メカ”を強く感じさせる。ベビーカーを購入する際、父親の発言権が大きいというのはよく言われることだが、このあたりのメカっぽさが、父親を惹きつけ、マクラーレンの人気につながっているのだろう。


ハンドルを握る角度が自然な角度のため、手が疲れにくい
 最後に、細かいディティールを見ていこう。

 親が握るハンドルは左右のハンドルが一本でつながれておらず、独立した作りになっている。これは細かく折りたたむための構造だが、非常に実用的だ。ハンドルを握る手が、自然な角度になるため疲れにくい。

 ベビーカーに乗せた子供は、5点式のシートベルトで固定される。ベルトはプラスチック製のバックルで固定するが、バックルはかなり固め。指でしっかりとボタンを押さないと、外すことができない。

 ちなみに、国産品では胴回りだけを固定した2点ベルトと、前に飛び出さないようガードするフレームの組み合わせで赤ちゃんの飛び出しを防いでいるが、クエストの場合、5点で固定しているため、原理的に赤ちゃんが前に飛び出すことはない。そのため、フレームは省略されている。


シートベルトは5点式
子供が暴れても、シートベルトが緩んだりすることがなく安心 頭の裏にあたる部分が透明になっているため、後ろからでも中の様子をうかがえる

本体を畳んだ状態。自立して置くことはできない
 赤ちゃんの頭の裏に当たる素材が透明のビニールになっており、ベビーカーを押しながら、ちょっとかがめば、赤ちゃんのようすを伺えるようになっている点も秀逸だ。

 一方、気になるのはたたんだ状態で自立させることができないこと。自動車移動ならば、寝かせてトランクに入れてしまえばよいが、バスや電車などでは、やはり立てた状態で置いておきたいのだが、それができない。製品紹介では「都市型ストローラー」を謳っているのだから、ぜひこれは対応して欲しい。

 全体的にはやはり、頑丈であること、動作が軽快であること、それに尽きると思う。





URL
  マクラーレン公式ホームページ(野村プレミアムブランズ株式会社)
  http://www.maclaren.jp/
  Maclaren(英文)
  http://www.maclarenbaby.com/
  クエストシリーズ 製品情報
  http://www.maclaren.jp/products/stroller/quest.html
  並行輸入品などに関するご注意
  http://www.maclaren.jp/news/attention.html



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2007/10/02 00:01

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