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家電製品ミニレビュー
東芝「大清快 SDRシリーズ」

~自動清掃と気流コントロールの使い心地
Reported by 本田 雅一

東芝「大清快 SDRシリーズ」
 アメリカ合衆国元副大統領で、熱心な地球温暖化防止活動家としても知られるアル・ゴア氏の「不都合な真実」によると、世界各地は毎年の様に記録的猛暑に襲われており、ここ数年は平年の気温を下回った地域はほとんど無かったそうだ。当然、我が国もその例外ではない。

 手頃なサイズのボールにニスを塗ると、そのニスの厚みが大気の厚さと同等という天文学者カール・セーガン氏の言葉を考えれば、温室効果ガスによる温暖化を人間が引き起こしているという論にも説得力がある。しかし、そうしたリクツは抜きにしても、確かに自分の住んでいる地域の気温が毎年上がっていることは、ほとんどの人が体感しているのではないだろうか。

 加えて、今年はさらに特別に暑い日が続くと気象庁は発表している。いや、そんな発表など知らなくとも、今年の梅雨の前半に経験した暑さが堪えた人なら(全国的にはどうかはわからないが、少なくとも関東地区の日差しは真夏の勢いだった)、今年の夏は暑そうだと肌で感じているに違いない。

 というわけで、今年買うなら今のウチだと、我が家はエアコン取り付けの繁忙期に差し掛かる直前の6月にリビングルームのエアコン買い換えを実施した。

 すでに7月に入り、エアコン取り付けのスケジュールはギュウギュウ詰めの状態と聞いているが、今ならまだなんとか夏に間に合う場合もあるという。エアコン選びは取り付ける部屋のサイズは形状、求める機能などによって、最適な製品は変わるものだが、参考情報として、筆者のエアコン選びと購入した製品、東芝の「大清快 SDRシリーズ」のインプレッションをお届けしたい。


我が家の特殊事情

 筆者がこれまでリビングルームに設置していたエアコンは、三菱電機の「霧ヶ峰」。自宅を購入した2000年に取り付けたものなので、まだまだ使い続けることも可能だった。購入初期に比べると能率は落ちているように感じていたが、熱交換機やファン、フィルタなどを自分で、あるいは業者に掃除してもらえば、性能はおそらく復活しただろう。

 それでも買い換えたのは、部屋のレイアウトを変更したためだ。約12畳のリビング用に購入した霧ヶ峰は、隣接する和室の同ブランドのエアコンとともに稼働させることを前提に4.2kWモデルを選択。6畳和室の2.2kWモデルとともに使うことで、猛暑の日も十分にカバーできると踏んだわけだ。ところが現在、この和室とリビングはリフォームで1つの部屋になっており、和室用の2.2kWモデルは別室に付け替えてしまった。約18畳となった部屋で、4.2kWをそのまま2年ほど使ってみたものの、とてもではないが、近年の東京の暑さはしのげなかった。

 これは筆者宅が、南西角部屋の最上階というロケーションで、焼け石を暖めるがごとく、部屋の外壁全体が熱くなり、室内が暑くなるという問題を抱えていることも1つの理由だ。マンションデベロッパーによると、通常よりも多くの断熱材を吹き付けて施工しているそうだが、それぐらいの処置で収まるほど最近の太陽光は甘くない。

 非常にアバウトな見積もりだが、“鉄筋コンクリートで○○畳向け”という表示を無視し、"木造和室で○○畳"と書かれている数字(通常、値札で“○○畳”と書かれているのはこちら)だけを参考にして、少し能力の大きいエアコンを選んでみようというのが、今回のもっとも大きな目的の1つである。

 具体的には5.0kWモデルぐらいとなるが、カウンター付きオープンキッチンが繋がっていることも考慮し、6.3kWモデルという通常、家電店に置いているエアコンの中では最大級のエアコンにできればベストと考えた。もちろん、超省エネタイプの機種を選ぶことが大前提だ。


掃除機能は本来の目的を忘れずに

 次に重視したのが、昨年より大流行している掃除機能。その次が今年の大本命、気流コントロールである。

 掃除機能を評価する軸は大きく分けて4つあると思う。1つはどこを掃除してくれるのか。もう1つはどうやって掃除してくれるのか。さらに掃除中の騒音はどうか。そして最後に、掃除にかかる時間はどれぐらいか。できれば、どこまできちんと掃除してくれるかも評価したいところだが、個人の購買者が数年後の汚れ具合を加速試験で予測するといったことは事実上不可能ため、断念した。

 こうしたことを知人と話していると、よく「昨年モデルの評判をインターネットで探せばいいじゃない」と言われることもあるが、特定個人ユーザーの手元で起きた現象が、製品そのものの問題なのか、それとも環境によるものなのか、とにかくどのような理由で起きた現象かをは把握する材料が少ない。また、全出荷数に対する現象を統計できないため、そもそも評価の重み付けを判断する材料も得にくい。

 そもそも前モデルを反省して開発されているならば、現行モデルで改善されている可能性もあるだろう。参考情報としては大いに役立つが、やはり自分で納得するまで機構部の仕組みや原理を説明してもらい、自分の目と頭で選ぶ以外にないのだと思う。

 話が横道に逸れたが、自分自身でよく考えた結論として、掃除にかかる時間と騒音レベルは無視することにした。騒音レベルはエアコン動作時の音と同等レベルならば問題ないと思うことが理由の1つ。またエアコン利用後の自動掃除が始まっても、すぐに静かにさせたい場合は掃除を手動で中断することもできる。

 そうした副次的なスペックよりも、汚れる部分を広範囲にしっかりと掃除してくれる方が良い。掃除機能にもっとも求めることは、エアコンを使わない春・秋を経て使い始めの時期に臭いや衛生上の問題を起こさないこと。そしてエアコンの能率をキープすることだろう。もちろんメンテナンスの手間を省くという意味もあるが、臭いの発生や能率低下に比べれば些細なことだろう。


気流コントロールは今年の目玉機能だが……

 さて、今年のエアコンで最大の注目点といえば、気流のコントロールである。各社、微妙に異なる部分はあるが、横方向のルーバーを大型の制御パネルに置き換え、冷房ならば天井を、暖房ならば床面を這わせるように気流をコントロールする。異なるのは三菱電機の霧ヶ峰で、この機種は人のいる位置を検出し、そのエリアに絞って送風するというアプローチを取っている。

 さて、大部分のメーカーが採用している床面や天井を這わせる気流コントロールでは、直接体にエアコンの風が当たらず、しかもムラ無く部屋の温度を調節できるというのだ。実際に気流を変えながら、エアコンのルーバー部に手をかざしてみると、気流の流れが大きく変化することがわかる。

 メーカーからの情報や店頭では、各社の機能を確認しづらいが、冷房時の気流コントロールに関しては、昔の製品ならば吸気ルーバーがあった部分に大型のフラップパネルを取り付けてあり、このフラップ伝いに天井方向へと気流が導かれる。多少の違いはあるものの、基本的な働きは一部を除き同等で、大きな差違は感じなかった。

 暖房時には違いが出てきそうだが、筆者宅はリビングにお湯を循環させる床暖房が敷設してあり、気密性が高いことや比較的、消費電力の大きなAV機器が多いことなどもあって、エアコン暖房を利用することが少ない。このため、一番機種間の差が付くと思われる暖房時の気流コントロールは重視しないことにした。

 冷房時の気流制御がきちんと行なわれていることを最低条件として、その分、他の要素(掃除機能やデザイン)での選択肢の幅を拡げた方が得策と考えた。冷房時の気流コントロールだけならば、各社の違いはさほど多くないというのが実感だったからだ。

 もちろん、これはそれぞれの部屋の条件や使い方などによって異なる。暖房時の気流制御を重視したり、あるいは気流が届く範囲(ロング気流の有無)なども選択の要素となるだろう。しかし最終的には優先順位を付けていかなければ、機種選びはできない。そんなわけで、筆者宅の場合、冷房時の気流さえ優しくコントロールできれば良いとした


大清快SDRシリーズを選んだ理由

今回、エアコンを取り付けた筆者宅のリビングルーム
 気流コントロールの部分でも述べたが、どんなに素晴らしい機能でも、実際に利用する場面で、あまり活躍しないのであれば、重視してもしかたがない。

 では、総合点で良いものを探せばいいかと言うと、それも違うと思う。今のエアコンは実に多機能で、選択肢の幅はものすごく広い。自分なりに総合点を付けていったとしても、その点数の中身を吟味しなければ、結局、自分の求める製品ではないものを選ぶことになるかもしれない。

 筆者が大清快SDRシリーズを選んだ理由は、超省エネタイプであること、冷房時の気流コントロールがきちんと行なわれていることといった基本的な部分での要求をクリアできていることに加え、もっとも重視した掃除機能が充実していたためだ。

 さらにデザインの面でも、薄くシンプルなフォルムで、あまり主張しないという点も決して小さくない選択のポイントだった。大清快SDRシリーズは、10年間メンテナンスフリーを売り文句にしているが、実際には10年以上、できれば12~15年ぐらいは使い続けたいと考えて購入している人がほとんどのハズ。その間、ずっとリビングルームの片隅に居座っているのだから、デザインの好みも採点の中には入れておくべきだろう。

 さて、気に入った大清快SDRシリーズだが、掃除機能が必要とする時間そのものは、数ある同種のエアコンの中でも、もっとも長い方だ。使用した時間によって掃除内容が変化するが、長いときには1時間半ほどの間、ずっと掃除機能が動いている。オゾン除菌の機能を使って、空気の循環路全体を殺菌するのに時間をかけているためだ。

 店頭でこのお掃除機能の動作テストしてみると、オゾン除菌の運転中は、あまり動作音は気にならない。フッ素コーティングで熱交換器の汚れを落とす機能というのは、本当に効き目があるのかどうかは少し心配だが(もっとも、熱交換器の汚れ対策はこれぐらいしかやりようはないだろう)、ブラシで掻き取るエアフィルタや、本機だけの送風ファンの掃除機能などは、動作音こそそこそこ感じるもののさほど時間はかからないため、こちらも気にならない。ブラシで掻き取ったゴミも、換気用の排気パイプから排出してくれるため、集めたゴミを捨てる手間もない。

 暖房を重視する必要のある場合は、ダイキンの「うるるとさらら」のように、加湿機能の有無も重要なポイントとなるのだろうが、筆者宅では利用頻度が低いため、今回はあえて無視している。

 というわけで、発注した大清快SDRシリーズは、翌週にはすぐに交換取り付けと相成った。ちなみに、ヨドバシカメラでの購入価格は288,000円だった(工事費除く)。


実際の使用感は?

 まず冷却能力だが、木造和室でも20畳用として利用できる6.3kWタイプを選んだため、全く問題ない。東京は梅雨入りの初っ端に晴れの日が多く真夏日が連続したが、そんな時でも気流モード「やさしい」で、十分に素早く冷えてくれた。気流モードには「パワフル」もあるが、利用する機会は今のところはほとんどない。

 能力的な余裕があるためだろう。あっという間に冷えて、あとはインバーターで省パワーモードに入ってしまうため、4.2kWを使っていた時のように常にフルパワーで全開に近い動作にならず、静音性という面でも大きな満足を得ることができた。

 筆者宅は、シアターのデモや機材のテストのため、1つの部屋に最大8~9人が入ることもある。実際、先日は7人のゲストを同時に迎えていたが、従来ならばエアコンをかけても室温が上がってしまうような状況でも十分な余力がある。これからの夏本番でどうなるかは未知数だが、どうやら、当初の目的は達成されそうだ。

 次に気流コントロール。暖房はまだ利用していないためコメントは控えるが、冷房時の気流コントロールは十分に優れており、以前は冷房を嫌って真夏でもエアコンをオンにしたがらなかった家人も、積極的にエアコンを使うようになっている。


取り付け配管のレイアウトはかなり複雑になってしまった。6.3kWの本機は配管が太く、曲げにくいため、工事には1時間以上かかった 電源オフの状態。フラップやルーバーが閉まっている

冷房時の通常気流。ほぼ水平に吹き出されているのがわかる 冷房時のやさしい気流。フラップに沿って天井方向に気流が立ち上っている 暖房時はどの気流モードでも真下に吹き出し。このルーバーのレイアウトでは、結構前の方に吹き出るのでは? と思ったが、実際にはほぼ真下に気流は流れる

 我が家の場合、エアコンの吹き出し口から対面の壁までの距離が6mほどで、ソファーがその中間よりややエアコン側という位置にあるため、前述の「やさしい」気流で固定しておけば、体の冷えを感じず、なおかつ十分に涼しく感じる。さらに対角線上にあるダイニングテーブルの位置でも、同じく涼しさに不足はない。

 もっとも重視した掃除機能に関しても、店頭より静かな自宅で使っている時に、掃除機能の動作音が気になるといったことは無かった。掃除時の最大騒音のスペックは、他社性よりもやや大きめの大清快SDRシリーズだが、前述したように実用上の問題はない。

 今回のエアコン交換導入での満足度を点数にすると、100点満点で90点といったところだろう。ほぼ満足で大きな不満はないが、それでも10点を差し引いたのは、もう少し“賢い”動作をしてほしいと思う部分もあったためだ。

 たとえば気流のコントロールはマニュアルで行なう必要がある。ほぼ「やさしい」気流で固定しているので、大きな問題はないのだが、急速に部屋の隅々まで冷やしたい場合は「パワフル」にしたい時もある。そんな時、パワフルで一気に冷やした後、自動的に「やさしい」に戻ってくれるといいのだが、そうした機能は残念ながら無かった。おそらく「パワフル」気流は遠くに気流を届かせる時に使うもので、急速な冷房に使うものではないからだろう。しかし代替案があるかと言えばないので、今のところは手動で気流を切り替えている。

 インテリジェンスにエアコン自身が考え、吹き出し方向や温度をコントロールするというアプローチは、一部に三菱がムーブアイセンサーを用いて実現しているが、今後はユーザーが使いこなさなくとも、常に最適な状態に部屋の気温をコントロールしてくれる――そんな賢いエアコンが登場してくれれば、満足度もさらに100%に近付くことだろう。


除湿ボタンを数度押すと、3段階に湿度を変更できるほか、乾いた空気を強く送風することで乾燥させるランドリーモードを選べる 隠れたボタン類。筆者がもっとも良く使うのが「おしえて」ボタン。双方向リモコンの機能を活かし、エアコン本体から運転時間と電気代(今回と積算の両方を表示可能)、気温(室内および室外)、室内の湿度を教えてくれる




URL
  大清快 ホームページ
  http://www.daiseikai.com/
  東芝キヤリア株式会社
  http://www.toshiba-carrier.co.jp/

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2007/07/24 00:01

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