● 底部のスクリューで飲み物をかきまぜる「電動まぜまぜマグカップ」

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製品本体。外見は至って普通のマグカップだ
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「WHIRL WIND CUP」は、一見普通のマグカップに見えて、ワンタッチで飲み物を撹拌することができる「電動まぜまぜマグカップ」である。底にスクリューが装備されており、グリップ部に実装されたスイッチをONにすることにより、注いだ飲み物が強制的にかき回される仕組みになっている。
これにより、マドラーやスプーンを使わなくても、砂糖やクリームがよく混ざった飲み物が自動的にできあがるわけである。
ちなみに購入元は楽天オークションで、落札価格は家電Watch史上最安値の「1円」である。もっとも、送料が850円、決済手数料が102円かかったため、実際の購入にあたっては953円を要している。
ここは、機能について詳細に説明するより、実際に飲料・汁物類で実験したほうが早いだろう。
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手で持ったところ。サイズもいたって普通
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底面に装備されたスクリュー。これで飲み物を撹拌する
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持ち手の親指が当たる部分にスイッチがついており、押すとスクリューが回転する
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● インスタントコーヒー
まずはシンプルにインスタントコーヒーにチャレンジ。マグカップにコーヒー粉末を3さじ入れてお湯を注ぎ、スイッチオン。「グガガガゴガガガゲゴガ」という轟音とともに水面、いやコーヒー面が割れ、コーヒー粉末が溶けていく。水流の激しさは、さながら運転中の洗濯機を覗き込んでいるかのようだ。
数秒ほど運転して停止したのち、ミルクを足して再度スイッチオン。マドラーなどで撹拌することなしに、飲み頃のインスタントコーヒーができあがった。粉末はやや多めに投入していたのだが、飲み干してチェックした限りでは、粉末はまったく残っていない。騒々しさはともかく、効果は確かにあるようだ。
● カップスープ
次はカップスープにチャレンジ。クノール製である。コーヒーと同じく粉末ベースだが、粒子が細かいために、ダマが残るのではないかとの懸念もある。
が、結論から言うと、なんの問題もなくカップスープができあがった。その手軽さはいちいちスプーンでかきまぜる場合の比ではない。あわただしい時間を過ごすOLのランチタイムにもピッタリっぽいが、個人的にはこの製品をバリバリ使いこなしている方とは、あまりお近づきになりたくない気もする。
● みそ汁
次は難易度を上げて味噌汁にチャレンジ。難易度が高い理由は、言うまでもなく具材が含まれていることだ。わかめの存在がスクリュー機構にどのような影響を与えるか、また生みそがきちんと溶けるかがポイントと言えよう。マグカップで味噌汁かよ、とかいう無粋なツッコミはこの際なのでご遠慮いただきたい。
生みそを投入した上から乾燥具材をふりかけ、お湯を入れてスイッチオン。またしても「ゴガガガグゲゴゲガガガ」と轟音を上げつつ、一瞬にして味噌汁の完成である。やたら泡立っている気がしないでもないが、そこには敢えて触れないようにしたい。飲み干して確認してみたが、わかめが絡まることもなければ、生みそが溶けずに残っていることもなかった。悪くないかもしれない。
● もずくスープ
味噌汁がいけるなら、ということで「もずくスープ」にチャレンジ。もともとお湯をかけると撹拌しなくてもほぼできあがってしまう一品であるため、それほど難易度は高くないと思われた。
が、思わぬところに落とし穴があった。もずくがスクリューでズタズタに切り刻まれ、原型を留めぬほど寸断された「ショートもずくスープ」ができあがってしまったのである。おまけに、スクリューのシャフト部には、ズタズタにされたもずくが大量に絡みつく始末である。
本製品にはスクリューを取り外して洗浄することができないため、巻きついた具材はハシなどで取り除くしかない。もっとも、この洗浄の際も、スクリューをブン回しながら行なうことで、スピーディーに取り除くことができるなど、電動ならではのメリットを発揮することができた。
● 溶き卵
次はちょっと趣向を変えて、溶き卵にチャレンジ。実験前には気づかなかったのだが、製品のパッケージにも「...egg and so on quickly」と、溶き卵を作ることを前提とした文言が存在している。
実際に試してみても、ハシなどでかき混ぜて作った溶き卵とは比べものにならないくらい均一に混ざった、トロトロの溶き卵ができあがった。確かに、ミキサーや泡立て器をわざわざ引っ張り出したくない場合は、手軽に使える本製品は便利かもしれない。
● フルーチェ(いちご味)
最後に挑戦するのはフルーチェ(いちご味)である。これまでの実験と異なり、半固形物ということで、難易度はかなり高い。1パックだと量がありすぎるので、あらかじめ半分に減らしたものを用意し、カップに注いだあとに上から牛乳を注ぎ、すぐさまスイッチオン。
が、牛乳を注いでからボタンを押すまでのわずかなタイムラグの間に表面が凝固してしまい、スクリューが水面下……ではなくてフルーチェ下で高速回転している振動だけが伝わってくる。ついに万事休すか?
が、しかし、しかしである。回転を終え、実際にスプーンですくい上げてみたところ、見事なまでにフルーチェらしい硬さのフルーチェが完成していた。どうやら、表面より下だけがスクリューで撹拌されたことで、表面は滑らか、中味も濃さが偏っていない、美しいフルーチェが生み出されたようなのだ。
実はこのフルーチェ、ここで実験が失敗して本記事のオチとすることを前提で準備したのだが、難なくクリア。いやまったく、舌を巻く思いだ。
● 意外や意外、ジョークグッズにあらず
実験を開始した当初は、家庭や職場で笑いを取るためのグッズでしかなく、実用性は期待できないと決め付けていたが、意外や意外、その実力は相当なものである。特にみそ汁やフルーチェを苦にせずクリアしたパワフルさには恐れ入った。筆者個人としては、自動フルーチェ製造マッシーンとして売り込みたい所存である。
もともとマグカップとしての造りは丁寧で、海外製品丸出しのパッケージ以外は特に粗悪品のイメージはない。1つだけ注意点としては、容量が400mlもあるため、カップスープなどではうっかりお湯を入れすぎて薄味になりかねないこと。あと、飲んでいる最中にスイッチに触れてしまうと、本人はもちろん周囲にも迷惑を掛けかねないので要注意である。
ぜひ、どこかのちゃんとした代理店がついて、オークションではなく、通常のルートで購入できるようになってほしい。その時こそ、このマグカップが業界に旋風を巻き起こすに違いない。
2007/06/14 00:00
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