家電Watch logo
記事検索
バックナンバー
【 2009/03/30 】
やじうまミニレビュー
DO-SEE「LEDライト付きスタンドルーペ」
[00:01]
家電製品ミニレビュー
ツインバード「コンパクトフライヤー EP-4694」
[00:01]
【 2009/03/27 】
家電製品ミニレビュー
三菱「蒸気レスIH NJ-XS10J」
[00:02]
やじうまミニレビュー
L.L.Bean「ボート・アンド・トート・バッグ」
[00:01]
【 2009/03/26 】
やじうまミニレビュー
アイリスオーヤマ「サイバークリーン」
[00:01]
家電製品長期レビュー
三洋電機「eneloop bike」(4/4)
[00:00]
【 2009/03/25 】
やじうまミニレビュー
オーエフティー「自動給餌機 Newビストロ」
[00:01]
家電製品ミニレビュー
日立「クリエア7 EP-CV1000」
[00:00]
【 2009/03/24 】
やじうまミニレビュー
「家庭菜園 かいわれくん」
[00:02]
長期レビュー
シャープ「プラズマクラスターイオン発生器&加湿空気清浄機」 (4/4)
[00:01]
【 2009/03/23 】
やじうまミニレビュー
撥水ペーパーのメモ帳と“現場仕様”のボールペンを試す
[00:01]
長期レビュー
三洋電機「eneloop bike」 (3/4)
[00:00]

やじうまロングレビュー
愛犬の体脂肪測定で正しい食事管理を

〜「体脂肪率」が健康管理の新基準
Reported by 清水 理史

犬の体脂肪計?

 犬の体脂肪計、そう聞いて「ついにペットブームもそこまで来たか……」と思う人も少なくないのではないだろうか。

 しかしながら、獣医さんなどの専門家の話を聞くと、この話は実はかなり奥が深い。飼育環境やライフスタイルの変化によって犬の肥満が問題視されるようになってきたが、長期的な肥満が犬に関節疾患や糖尿病、心疾患などを引き起こす例が増えてきている。「食は健康の源」、どうやらこれは人間だけに当てはまる言葉ではなさそうだ。

 体脂肪による犬の健康管理を長年にわたって普段の診療に取り入れている東京都江東区の「とだ動物病院」院長 戸田功先生に話を伺った。





見落としがちな病気をどう見つけるか

とだ動物病院院長 戸田功氏
 愛犬家ならば一度はお世話になる動物病院。そこで犬の体脂肪を測ってもらった経験がある人はどれくらいいるだろうか。おそらく、あまりいないのではないだろうか。

 とだ動物病院は、体脂肪計による測定を普段の診療に取り入れている先進的な動物病院の1つだ。「普段、診察室に入ってきたら、体重を測って、体温を測って、体を診察してという流れがあります。この流れの中で今日は体重を測ろうかどうかを悩むことはありません。それと同じように、普段の診察で普通に体脂肪を測っています」と、戸田院長は体脂肪による測定を特別なことではないという。

 同病院では、来院した飼い主さんに愛犬の健康診断チャートを記入してもらっている。ここには「食欲減少、増加」、「水をよく飲む」、「咳をする」、「眠ることが多い」など、飼い主が気づきにくい症状のうち上位20がリストアップされており、診察の判断材料として使われる。「たとえば糖尿病などは、よく食事をして、よく水を飲むのにやせていくといった症状が診られますが、これは非常に見落としやすいのです」と戸田院長は言う。

 要するに、この健康診断チャートは見落としがちな病気を見つける手助けになるわけだが、この「身体チェック」という項目に体重などと並んで、体脂肪という項目が用意されている(病院側の記入欄)。戸田院長によると、体脂肪自体が病気を見つける直接的な目安にはならないが、将来的な病気の可能性を見極める判断材料の1つになるとのことだ。たとえば、犬の場合であれば太っていると将来的に関節疾患を患うケースが多いという。

 同病院では1年半ほど前から体脂肪の測定を行なってきたが、来院する患畜のうち理想的な体脂肪を維持しているのは3割程度だという。犬の体脂肪の適正値は犬種による違いもあるが、理想は約20〜25程度で、20以下なら痩せ気味、30を超えると太り気味、それ以上なら太りすぎと分類されるが、戸田院長によると痩せ気味のケースはあまり見られず(むしろ重大な病気の場合に低くなる)、大抵は高い値になっているとのことだ。

 では、体脂肪が高いと具体的にどのような影響があるのだろうか。よくあるのは、前述した関節疾患、心疾患、糖尿病、全身麻酔のリスク(麻酔から覚めにくい)などだが、これ以外にも統計的に体脂肪が高い方が皮膚病が多い傾向もみられるという。

 また、戸田院長によると、犬種によって(主に小型犬)は、肥満がこれからの季節に重大なリスクを招く可能性も考えられるという。肥満によってのどの部分、要するに気管が圧迫されると、いびきやゼーゼーという呼吸音がする。

 つまり、呼吸が苦しくなる傾向が多い。しかも、肥満の原因となる脂肪が体内の熱を閉じこめる役目をしてしまうため、うまく体温の調節ができなくなる場合がある。この2つの原因が夏の季節に多い熱中症につながるケースも少なくないという。


変えるべきは飼い主の意識

 犬の肥満は、これまで体重や触診によって判断されてきた。動物病院の診察台は体重計を兼ねているし、獣医さんが肋骨の付近や後ろ足の太もも付近を触診して脂肪や筋肉の様子を触診している姿を見かけたことがあるだろう。

 もちろん獣医さんはプロなのだから、これでも十分に犬の健康状態を把握できる。では、わざわざ体脂肪計を使う理由はどこにあるのだろうか。

 戸田院長によると体脂肪の測定を始めてから、食事に関する話をしやすくなったという。たとえば、来院したときに5歳で、体脂肪率が40%を超えていたような場合、犬種によっては将来、肩や腰の関節疾患が心配される。このような場合、体脂肪の値を見せながら、5年後を見据えて今から食事療法を始めましょうという話がしやすくなったという。

 もちろん、健康のために痩せさせた方が良いですよという軽いレベルの話もあるが、前述したように最近では肥満が重大な疾患の原因の1つとなるケースが増えてきている。戸田院長によると、「肥満が重大な疾患につながるという真剣な話に飼い主が耳を傾けてくれるようになった」とのことだ。

 人間の世界ではメタボリックシンドロームなどという言葉があるように、肥満が社会的な問題として認知されつつある。しかし、動物の世界、否、動物の飼い主の世界では、このような認識は極めて低い。ともすれば、肥満を“ぽっちゃりしてカワイイ”などと誤った認識で捕らえてしまうことさえある。この意識を体脂肪という数値で変えることができるというわけだ。


花王「ヘルスラボ」。一般向けには販売されていない この足を背中の皮膚に当てて計測する 測定に必要な道具。脱脂綿とブラシ、体脂肪計

誤った食生活の改善が必要

 もちろん、体脂肪を測るだけでは意味がない。とだ動物病院では、今の体重と理想体重から、1日に必要なカロリーを計算し、1カ月、3カ月、6カ月の目標値を設定したプログラムを作成し、それに沿った食生活を提案している。

 肥満の場合、たとえば現在の食事量が適正量の150%だとした場合、120%に減らすだけでは、太るスピードが遅くなるだけで、決して痩せはしない。痩せるためには当然100%以下にしなければならないが、いきなり100%以下に減らすことは難しいため、徐々に減らすプログラムが必要になるわけだ。

 また、間違った食の知識が広がりつつあることにも戸田院長は警鐘を鳴らす。たとえば、ゆでた鳥肉のササミと野菜を中心とした食事がヘルシーなものとして考えられることが多いが、鳥肉のササミと野菜だけでは炭水化物などの栄養素が不足するうえ、脂肪酸やミネラルなどが少なく、ビタミン(たとえばビタミンD)などもゆでた段階で少なくなり、栄養が偏ってしまうという。偏食による栄養不足は将来的な骨粗鬆症などの原因にもなるうえ、また肥満の患畜の多くに偏食の傾向が見られるため、改善にはフードの変更が必要だという。

 バランスを考えるとドライフードが理想的とのことだが、いきなり食事を変更するのは難しい。犬が食べないこともあるが、なにより飼い主が変更を嫌う傾向があり、続かないケースも少なくないという。しかし、前述したように体脂肪という数値で、定期的に食事改善の結果が出ると、正しい食生活を送ることが飼い主のモチベーションにつながり、長く続けてもらうことができるようになったとのことだ。


動物病院で測ってもらうのが適切

 人間の世界では体脂肪の測定は、数年前に比べると飛躍的に簡単になり、身近な存在となった。体重計に乗れば自動的に測れるし、コンパクトで持ち運びができるようなものまで存在する。

 現在、とだ動物病院で利用している花王の動物用体脂肪計「ヘルスラボ」は医療用(業務用)の製品で一般には流通していないが、比較的コンパクトで扱いやすい製品だ。これなら家庭でも使えるのではないかということで、実際にお借りして使ってみたが、やはり家庭で正確に計測するのは難しい。

 実際の計測は、体脂肪計の下部にある4つの極を犬の皮膚に直接当ててボタンを押すだけなのだが、この皮膚に直接当てるというのがなかなか難しい。実際に我が家の愛犬でテストしてみたが、体毛をかき分けるのがうまくできず、どうしても体毛の上からの計測になってしまう。また、そもそもイヤがっておとなしくしてくれないため、体を押さえ込まないとなかなか計測できない。結局、エラーで計測できないことが多く、断念してしまった。


まず、体毛をかき分ける ブラシで丁寧に毛を分けて、皮膚を露出させる 露出させた皮膚を脱脂綿で軽く拭いてやる

露出した皮膚に「足」の部分が当たるようにヘルスラボを乗せる 測定には数秒間かかる
測定結果は35%。ちょっと高めだ

我が家では、新しい「遊び」だと勘違いされ、うまく計測できなかった きちんと体毛をかき分け、皮膚を露出させて計測しないとエラーが発生してしまう

 戸田院長によると、計測自体はボタンを押すだけと簡単なのだが、計測にはコツがあるという。実際に計測している現場を見せてもらったところ、アルコール綿で湿らせながらブラシで体毛をかき分けていき、分け目を作って皮膚の露出させる。そこにまっすぐ体脂肪計の極を当て、連続で3回ほど計測するという方法だ。

 そもそも体脂肪は測るだけでは意味がなく、計測後の値の判断や食事の改善、プログラムの作成など、トータルで考えなければならない。家庭で手軽に体脂肪を測れるような機器が登場することも期待はしたいが、やはり動物病院で計測してもらうのが適切だろう。

 このように、動物の体脂肪計の登場によって、ペットの健康管理の仕方が一新されそうだ。確かに、これまでは「太ってる」、「痩せてる」などという曖昧な判断しかできなかったが、これからは数値によって適切に判断できるようになる。また、ペットの肥満が重大な病気へとつながる可能性があることも、いち飼い主としても、これからはもっと意識すべきだと感じたところだ。





URL
  花王株式会社
  http://www.kao.co.jp/
  ヘルスラボ 製品情報
  http://www.kao.co.jp/healthlab/
  体脂肪率 測定動物病院リスト
  http://www.kao.co.jp/healthlab/vetlist/index.html
  ペット用体脂肪計についてのニュースリリース(花王)
  http://www.kao.co.jp/corp/news/2006/1/n20060323-01re.html
  とだ動物病院
  http://www.toda-ah.com/


2007/06/12 00:01

- ページの先頭へ-

家電Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.