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日本交通事故鑑識研究所「ドライブレコーダー Wittness 1」

~事故に備えて運転を記録するカメラ
Reported by 田中 真一郎

ドライブレコーダー Witness 1
 旅客機の事故が起きるたびに「フライトレコーダー」というものが話題にのぼる。事故に至るまでと、事故の最中の飛行機の状態を記録するフライトデータレコーダーと、操縦席の音声を記録するコックピットボイスレコーダーを併せたものだが、これらを解析することで事故の原因を探り、再発防止に役立てるわけだ。

 今回採りあげる日本交通事故鑑識研究所の「ドライブレコーダー Witness 1」は、「フライトレコーダーの自動車版」と説明されることが多い。フロントウインドウの内側、ルームミラーのあたりから前方を撮影した動画で、事故の原因究明の資料にしようという製品なのだ。

 もともとタクシーなどの業務用車両のために作られたものだが、このWitness 1はコンシューマ向けに、ヤマダ電機で39,800円で販売されている。コンシューマ向けのドライブレコーダーは、Witness 1以外には富士通テンのカーナビシステム「ECLIPSE(イクリプス)」シリーズに「DREC1000」をラインナップしているが、こちらは59,850円もするので、Witness 1はもっとも手軽なドライブレコーダーといえる。

 Witness 1は、一定の衝撃をGセンサーで感知すると、その衝撃が起きる12秒前からと、衝撃が起きてから6秒後までの計18秒の動画を記録する。衝撃が起きる前の動画を記録するのだから、常時動画を撮影していて、12秒分の動画をバッファリング(一時的にメモリなどに動画などのデータを記録しておくこと)し、衝撃を感知したら、バッファ内の動画を記録媒体に保存するということだろう。


Witness 1のパッケージ内容
 Witness 1は梱包もただの白い箱で素気ないが、中身も実にシンプルだ。Witness 1本体と、PCで動画を再生するためのソフトウェア、説明書が数枚入っているだけだ。

 Witness 1には1/4型の有効約25万画素インターレースCCDが搭載されている。電源はシガーライターソケットから取るようになっていて、DC 12V車に対応している。動画が書き込まれる記録媒体は専用のCFで、容量は64MBだ。専用CFは、外観上ではCFの後端(端子と反対側の辺)にプラスチック製の取っ手が着いているのが特徴だ。この取っ手があるために、たとえばノートPCに装備されているようなCF全体を挿入するタイプのCFスロットには入れることができない。

 Witness 1本体は、厚みのあるルームミラーのような形で、吸盤でフロントウィンドウに吸着させるようになっている。この本体にCCD、レンズ、CFスロット、Gセンサーが組み込まれているので、本体をフロントウィンドウに取り付け、電源ケーブルをシガーライターソケットに挿せば取り付けが終わる。


Witness 1の本体前面。丸い穴がレンズ。上部の吸盤でフロントウィンドウに取り付ける 背面。上部手前の黒いノブが出ているところがCFスロット。電源ケーブルはシガーライタープラグにつながる

専用CF。取っ手があるため、CFスロットによっては挿入できない シガーライタープラグ。こちらはごく一般的な作り

 本体サイズは150×27×55mm(幅×奥行き×高さ)。ドライバーの視野を邪魔せず、かつ必要な情報を撮影できるようにするために、ルームミラーの裏側あたりに取り付けるのが望ましいが、そこそこの大きさがあるので、車種によっては大変かもしれない。また、Witness 1のCFスロットは本体上面にあるので、あまり天井近くに取り付けると、CFの抜き差しができなくなる点も注意が必要だ。この辺は実際に運転席からの眺めを確認しながら、位置を決めるしかない。

 本体の重さは120gでさほどでもないのだが、本体に直付けされた5mm径×1.5m程度の電源ケーブルが、バカにできない重さがある。走行中の落下などを防ぐために、説明書どおりにしっかり取り付ける必要がある。吸盤をガラスにしっかり吸着させるためのシーリング剤も同梱されている。

 というわけで、取り付けには30分ほどを要した。筆者はごく普通の2,000ccクラスのセダンに乗っているので、電源ケーブルが長すぎて、余った部分が助手席の足元にとぐろを巻くことになったが、ミニバンなどではこのくらいの長さがないとシガーライターソケットに届かないだろう。


付属のシーリング剤を吸盤に塗って、取り付ける
Witness 1を取り付けたところ。あまったケーブルが助手席の足元にとぐろを巻いている CFがウィンドウや天井につかえて取り出しにくい

運転席からの眺め
前から見ると助手席側にややオフセットしている

シガーライタープラグのランプ
 エンジンをかけると、シガーライタープラグのランプが点灯して通電したことがわかる。また、本体からピピッという音がして、電源が入ったことがわかる。ちなみにシガーライターソケットプラグのランプはエンジンを切って、イグニッションキーをOFF、つまりアクセサリー機器への電源供給をOFFにした状態でも点灯している。つまりエンジンを切っていても通電し、車のバッテリーを消費してしまうので、駐車時はプラグを抜いて、強制的に電源を切るようにした。


 Gセンサーが衝撃を感知して動画を保存すると、Witness 1からやはりピッピという音がして、記録したことを知らせてくれる。動作させるために、周囲に車がいない道路で急ブレーキ、急なレーンチェンジ、急な方向転換をためしてみたが、一般的に「急」が付く操作では敏感に動作してくれる。事故の記録だけでなく、乱暴な運転を諌める目的にも使えそうだ。


CFの中をPCで見てみる
 ドライブから帰って、CFをWitness 1から抜いて、PCでデータを読んでみた。Witness 1が記録する動画の圧縮形式はJPEGとなっているが、暗号化された独自形式になっているため、PCで再生するためには同梱の専用ソフト「シンプルビューワー」が必要になる。CFの中をPCで直接見ても、大量の形式不明のファイルと、DATA.CSV、WSF.DATというテキストファイルが記録されているだけだ。記録できるのは10件までで、10件を超えると古いデータから上書きされていく。

 専用ソフトから、動画を書き出すこともできない。これは推測だが、容易に動画が改竄されてしまうのを防ぐために、一般的な動画フォーマットに変換できないようになっているのではないだろうか。事故原因を特製する際、データが改竄される可能性があると、資料として機能しなくなってしまう。

 さらに、PCではCF内のデータを削除したり移動したり、あるいはCFをフォーマットしてはいけないという注意書きも説明書にある。このようなことをすると、そのCFはWitnessでは使えなくなる可能性があるという。

 もっとも、シンプルビューワーで再生した後にデータのフォルダを覗いてみると、中に「CONV」というフォルダができていて、撮影した画像のJPEG画像が大量に納められているのがわかる。シンプルビューワーではデータをJPEGに変換して、連続再生することで動画として見せているようだが、残された変換後のファイルによる改竄の可能性もゼロではなさそうだ。


名は体を表す? シンプルビューワー。ボタンの文字が化けている
 説明書では、シンプルビューワーはPCにインストールせず、シンプルビューワーが収録されたCDから起動するようになっている。筆者はPCにフォルダを作って、こちらにシンプルビューワーのプログラムファイルと関連ファイルをコピーしてみたが、ちゃんと起動した。当然CDよりも高速に起動してくれる。ただし、ボタンの日本語が化けてしまった。

 対応OSなどは明らかにされていないが、筆者はWindows XP SP2とThink Pad T60(Core Duo T2400、メモリ1.5GB)と、Windows Vista UltimateとEndevor Pro4000(Core 2 Duo E6600、メモリ2GB)での動作を確認している。ただしVistaでは、初回起動時にUAC(ユーザーアカウント制御)をOFFにしないと起動しない。UACがONになっていると、必要なライブラリファイルをコピーできないようだ。その後はUACをONにしても、起動するようになる。UACのON、OFFにはPCの再起動を伴うので、初回だけとはいえ面倒ではある。


シンプルビューワーのダイアログボックスにはマイドキュメントなどのフォルダが表示されない
 CFのデータは、PCにフォルダを作って、その中にコピーするように、と説明されている。このとき、XPなどでは「マイドキュメント」の中にWitnessのデータをコピーしないようにしたほうがいい。CドライブやそのほかのドライブのルートにWitnessのデータ用のフォルダを作成し、その中にコピーしておこう。なぜならシンプルビューワーでファイルを開くためのダイアログボックスは、一般的なWindows用ソフトウェアと違ってマイドキュメントなどの特殊フォルダを表示してくれない。「CドライブのDocuments and Settingsフォルダの中の自分のフォルダの中のMy Documents」、といったようにわかりにくフォルダをたどらなければ、マイドキュメントフォルダに行き着けないのだ。タスクリストに表示されなかったり、まるでWindows 3.1用のアプリケーションみたいだが、なるほどシンプルなビューワーである。

 Witness 1が記録する動画は512×492ピクセル、5fps。特別に高解像度でもないし、どちらかといえばギクシャクするコマ数だ。車の前方の景色や車の色、形などはちゃんと判別できるが、対向車のナンバープレートなどはちょっと読めない。1コマを取り出して画像解析すればわかるかもしれないが、コンシューマーにはそのような手段は提供されていない。決して高画質ではないが、夜や逆光でもちゃんと判別できる画像が記録されている。

 下の写真を見ていただければわかるが、周辺部の画像は魚眼レンズで撮ったかのように盛大に歪んでいる。レンズは視野角95度となっていて、魚眼レンズではないが、一眼レフなどのレンズでは20mmくらいに相当する、かなりの広角レンズだ。交差点などで横から進入してくる車などを捉える必要があるためだろう、人間の視野よりもはるかに広い範囲を収めることができる。

 シンプルビューワーでは通常の再生のほか、逆方向の再生ができ、1コマの表示時間を0.01~4秒の範囲で設定することで、再生速度を変えることもできる。


Witness 1で撮影した画像。周辺部は盛大に歪む 雨の夜でもこの程度に写る 太陽のような強い光源が画面の中に入ると、激しくスミア(画面中央より左よりの線)が発生するが、逆光でも画面全体が真っ白になるようなことはない

動画を読み込んだところ
【動画】シンプルビューワーを再生したようす。動画を書き出せないので、PC上で再生しているところを撮影した(WMV形式、約3.1MB)

 冒頭で「フライトレコーダーの自動車版」という説明を引用したが、事故の原因を探るという目的はたしかに同じだが、Witness 1は車内の会話を録音したりはしないし、エンジンの状態や車の向きなども記録しない。自動車事故は飛行機事故と違って一瞬で起こるから、会話の録音はあまり意味がないかもしれないが、判断材料を増やすためには衝撃音や車のスピード、向きなどもなどを記録できるとなおよいだろう。いずれはカーナビや車載コンピュータとの連動でさまざまなデータを収集できるようになるのかもしれない。

 Witness 1は製品のセットアップ方法もソフトウェアのつくりも、非常に素朴な製品で、コンシューマー向けの販売は考慮されていなかったのではないかと思わせるが、車やエレクトロニクス製品、コンピュータの知識が多少あれば、たいして苦労せずに利用できる。しかし、いざというときの事故の記録のために、39,800円という値段はなかなか手が出しにくいのではないか。1万円を切るトイデジカメでムービー機能を備えたものがあることを考えると、せめて半額程度にはなって欲しいし、理想は1万円以下ということになるだろう。

 なお、日本交通事故鑑識研究所は4月上旬に新機種「Witness Plus」を発売する。詳細な情報は同社のサイトを参照してほしいが、Plusには音声記録機能が搭載される。ただし、コンシューマー向けへの販売予定はないそうだ。





URL
  株式会社日本交通事故鑑識研究所
  http://www.nikkouken.com/
  Witness 製品情報
  http://www.nikkouken.com/witness/index.html
  Witness Plus(PDF)
  http://www.nikkouken.com/witness/070308-PlusWEB.pdf



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2007/04/17 00:01

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