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家電製品ミニレビュー
象印 ポップアップトースター「ET-XA20」

~焼きムラが少ない“日本スタイル”のトースター
Reported by 塩田 紳二

 現在では、トースターといえば、オーブントースターが普通だ。グラタンなどの料理やトーストまでこれ1つで対応できるところが受けているのであろう。しかし、筆者が小学生の頃、朝食のパンは、いまでいうポップアップトースターで焼いていた。そのときのパンは、こんがりと全面がきれいに焼けており、中はしっとりとしていた。確か、松下の製品だったと記憶している。当時は、テレビもトースターも同じ電気製品と理解していたが、ニクロム線で単にパンを加熱するだけの仕組みと知ったのはずいぶんと後のことである。

 筆者宅では、朝はパンであることが多く、やはりオーブントースターを使っていた。しかし、その焼け具合には少々不満があった。バターを乗せて焼くことができるのはいいのだが、どうも裏表の焼け具合が違うのが気になる。片方をいい色まで焼くと反対側が焦げすぎになったり、不十分だったりする。上下のヒーターとパンとの距離が違うのがいけないのか、グラタンのような料理を前提に作っているからなのだろうか。

 そこで思い出すのが小学生のときに実家にあったトースターである。筆者の思い出の中では、パンはきれいに焼けて、バターの溶け具合もよかった。筆者は、バターがパンにしみ込むぐらいちゃんと溶けていないと気が済まないタイプ。焼け具合とともに、しっかりと加熱されていないとどうも具合が悪い。バターのしみ込んだパンにメープルシロップやジャムを載せて、塩味と甘味を楽しむのがトーストの醍醐味だと思っている。

 オーブントースターがダメなら、ポップアップトースターしかない。最初に、いかにもおしゃれそうな海外製のものを試したのだが、結果から言うと、あまりにもパンの焼きムラがひどかった。どうしても、焼き色が均一に入らないのである。


海外製のトースターで、食パンを焼いてみた。片面はきれいに焼けるが……(※注 ET-XA20で焼いたものではございません) 裏側は少し焼きすぎで、均一な焼き色にならない。なお食パンは「ヤマザキ ファインアロマ 6枚切り」を使用した(※注 ET-XA20で焼いたものではございません)

 米国出張の機会があり、そこで感じたのは、米国のパンは、日本のものよりも小型であるということと、トースターの口のサイズは、どれもほぼ同じだということ、そして、米国では2枚組でトーストが提供されるのが一般的であることだ。

 海外製のトースターで、焼け具合にムラがあった原因は、日本のパンのサイズに合っていない、もしくは、1枚で焼くことを前提にしていないからではないだろうか。

 もう1つ考えられる理由は、日本の食パンは、海外のものよりも柔らかいという点である。手元にあるBread, The breads of the world and how to bake them at home (Christine Ingram & Jennie Shapter, Hermes House)という本では、日本特有のパンとして、あんパンやメロンパンなどが掲載されているが、一番最初に挙げられているのは、食パン「ダブルソフト」である。「これは日本固有のパンでイギリスのホワイトローフに似ているが、非常に柔らかく、Crust(日本でいうパンの耳)も柔らかい」とある。ダブルソフトは商品名で日本の食パン一般の名前ではないが、「柔らかい」、「ソフト」であることを標榜する食パンは少なくない。

 そういうわけで、日本の食パンは、米国のものなどよりも大きく柔らかいわけだ。しかし、トースターを各国の事情に合わせて変更するというのも面倒な話。おそらく、もっとも市場が大きい欧米のパンをターゲットにしているというのが実際のところなのだろう。


米国のホテルに備え付けられていたトースター トーストのサイズは、日本のよりも少し小型になる

象印 ポップアップトースター「ET-XA20」
 そこで、海外メーカーではなく、日本メーカーのポップアップトースターなら、1枚でもムラなく焼けるのではないかと考えた。購入してみたのが、象印マホービンのポップアップトースター「ET-XA20」である。これは、デザイン性を高めたZUTTOシリーズの1つで、シンプルな外装ながら、持つとずっしりとした重量があり、側面を押さえてもへこまず、しっかりとした質感がある。

 また、フタがあり、使わないときには、これを乗せておくと、全体のフォルムがよりシンプルになる。なお、このフタは、本体が熱い状態でかぶせても大丈夫なように金属でできている。総じてデザイン的にはかなり高級感がある。ヨドバシカメラで7,000円だった。

 機能的には、冷凍パンを解凍する「解凍パンキー」と「焼き色調節機能」に加え、パンを1枚だけ焼くための切り替え機能がある。

 ただし、パンを入れる部分のサイズは、14×3.5×13.5cm。初めに買った海外メーカーのものとほとんど違いがない。カタログスペック的には、4枚切りから8枚切りに対応している。内部の構造は、オーソドックスで、両サイドと真ん中にヒーターがある。また、レバーを下げると、両側から格子状の金具がパンをまっすぐになるように押さえるようになっている。


フタをかぶせるとさらに生活感の少ない印象だ ボタンは、上から枚数指定、解凍、途中キャンセル。下のダイヤルで焼き具合を調整する

 さて、肝心の焼け具合だが、一枚焼きの設定にして焼いてみたが、金具の跡が筋状に付くものの、裏表はほぼ同じ程度。端の部分にわずかにムラが出るくらいだ。さすが、設定項目が用意されるだけはある。

 今のところ、初めに買った海外製のものよりは圧倒的に使いやすいと感じている。ポップアップトースターのような製品でも、国によっていろいろな事情があるのだろう。日本の食パンには、日本製のトースターが向いているようだ。


ET-XA20の「一枚焼きモード」で焼いたもの 金具や上になっていた部分のムラはあるが、裏表の焼け具合は同じ程度




URL
  象印マホービン株式会社
  http://www.zojirushi.co.jp/
  製品情報
  http://www.zojirushi.co.jp/syohin/zutto/ETXA.html



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2006/11/15 00:01

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