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そこが知りたい家電の新技術
三洋電機 空気清浄機「ウイルスウォッシャー ABC-VW24」

〜“水で空気を洗う”仕組みとは
Reported by 増谷 茂樹

「ウイルスウォッシャー」シリーズ
 今や多くの家庭に普及している空気清浄機。

 ひと口に空気清浄機といっても、フォーカスされる機能は時代によって異なる。以前はタバコの煙を除去することを目的としたものが主体だったが、花粉アレルギーの問題へ感心が高まるにつれ、スギ花粉などを取り除く機能が注目され、一時期は季節商品のように扱われた時期もあった。

 そして現在、さまざまな環境変化による空気の汚れに対する関心が更に高まっており、各社とも除菌・脱臭機能などを強化したモデルが主流となっている。

 そんななか、三洋電機の家庭用空気清浄機「ABC-VW24」は、「水で空気を洗う」という、脱臭・除菌そしてウイルスを抑制する「virus washer(ウイルスウォッシャー)機能」を搭載。外部機関の調査によれば、インフルエンザウイルスを99.5%を抑制する効果があるという。

 しかも、近年アジアで流行の兆しを見せている鳥インフルエンザウイルスに対しても同様の効果があるとのこと。「水で空気を洗う」技術とはいったい、どんなものなのか。


電解水の効能とは

ABC-VW24
 一般的な空気清浄機は汚れた空気を吸い込み、フィルターで浄化する。これに対して「ABC-VW24」ではフィルター浄化に加えて、除菌効果の高い電解水をミスト化し放出することで、空気中に浮遊する雑菌やウイルスを直接、抑制する仕組みだ。

 もちろん、花粉などのアレル物質の抑制や脱臭などの効果も高い。

 「ウイルスの表面には、感染に必要なスパイクと呼ばれる部分があるのですが、電解水はその部分に作用し、変性・分解することでウイルスの感染力を抑制します。電解水が作用した後のウイルスは、このスパイクのとげのようなものがなくなり、ヒトの細胞にくっつくことができなくなるので、無害化した状態となります」と三洋電機ホームエレクトロニクスグループ 生活家電ビジネスユニット 生活家電技術一部 技術企画課 主任企画員の永井敏夫氏は説明する。


三洋電機ホームエレクトロニクスグループ 生活家電ビジネスユニット 生活家電技術一部 技術企画課 主任企画員の永井敏夫氏
 浮遊菌、浮遊カビ菌のほかスギ花粉などのアレル物質についても高い効果が見られたという。

 脱臭効果については、その場で実演していただいた。

 激悪臭を持った液体を2枚のガーゼにスプレーし、片方をミストの出口に透明の箱に入れた状態でぶら下げ、もう片方はそのまま大気中に放置。約5分経ったところで臭いを嗅ぐ。ほぼ無臭に近い状態だ。

 一方、大気中に放置されていたものについては、鼻に近付けたとたん、思わず顔をそむけてしまうほどの悪臭を放っていた。

 ガーゼに付着した液体の色を見ても、ミストにさらしていた方は、ほぼ無色になっていたのに対して、放置されていた方は茶色の成分が付着したままだった。短時間の簡単な実験ではあったが、その効果の高さは目と鼻で実感することができた。

 ここには、「電解水」、「ミスト」、「3D浄化気流」。3つのテクノロジーが隠されていた。


臭気のする液体を染みこませたガーゼで実験 【動画】臭気テスト。ミストがどんどん放出される

そもそも、電解水とはなにか

 では、高い除菌や脱臭、そしてウイルス抑制効果の高いミストを作り出す電解水とはどのようなものなのだろうか。

 電解水とは水道水を電気分解することによって生成される、除菌効果の高い活性酸素種を含んだ水のこと。

 水道水に必ず含まれる塩素(塩化物イオン)に電気が作用し、OHラジカルと電解次亜塩素酸という2種類の活性酸素種が生成される。活性酸素種が雑菌やウイルスなどに接触することで、除菌やウイルスの活動を抑制する仕組みになっている。

 このOHラジカルと電解次亜塩素酸は、ともに酸化性の強い物質。分子構造的に不安定で、周囲の物質を酸化させる力を持っている。その電解水を微細なミスト化して空中に放出させ、浮遊するウイルスや菌などに接触して化学的に変質させることで、無害化するわけだ。


電解水生成の仕組み(資料提供:三洋電機) OHラジカルと次亜塩素酸によって、ウイルスはスパイクを失う。これにより、無力化され、ヒト細胞に吸着することができなくなる(資料提供:三洋電機)

三洋が育ててきた電解水技術

三洋電機 ホームエレクトロニクスグループ HA カンパニー 生活家電ビジネスユニット 生活家電技術二部 エア技術課の稲積秀吉氏
 三洋電機の電解水を用いた技術は、いまや同社のコア技術の1つ。歴史も古く、'87年に当時としては業界初となるカップ式自動販売機の衛生保持システムに採用したのを皮切りに、2000年にはプール水の除菌システムに、2001年には洗剤を用いない「洗剤ゼロコース搭載」の家庭用洗濯機へと応用されている。

 「電解水技術としては以前から商品化に取り組んできましたし、当社の強みでもあります。しかし、電解水の効果を活かして空気の浄化を目的にした商品はなく、空気の汚れに対する消費者のニーズに対応した空気清浄機を企画したかったのです」(永井氏)

 そして、開発が始まった。

 「同じ社内にあった技術を応用したというと一見、簡単そうですが、当時、空気清浄機担当の技術者たちは電解水のことをほとんど知りませんでした。まず、電解水技術の部門の人に話を聞くところから始めました。そうして開発がスタートしたのが、だいたい3年半ほど前のことになります」と、三洋電機 ホームエレクトロニクスグループ HA カンパニー 生活家電ビジネスユニット 生活家電技術二部 エア技術課の稲積秀吉氏は語る。

 最初の電解水除菌システムを搭載した空気清浄機が登場したのは2004年のこと。約1年半で製品化を達成したことになる。現在、OHラジカルを利用した空気清浄機は他のメーカーにもあるが、電解次亜塩素酸も利用しているのは、三洋だけである。

 OHラジカル自体の除菌効果は強力だが、電解水にはOHラジカルに加え、より効果が持続しやすい電解次亜塩素酸も含まれている。これが、電解水を選んだ理由だ。

 なぜなら、もともと水道水に含まれている成分を活性化させて利用するため、後から薬品を投入したり、専用のカートリッジをオプション扱いにしたりする必要がない。水道水であれば、一定レベル以上の塩化物イオンを加えることが水質基準法によって義務付けられているため、地域によって大きな差が出ることもない。


 事実、水道水を前提にした設計のため、ミネラルウォーターでは効果が低いという。
 
 「重要なのは、水道水を使うの塩素に作用する技術だということです。数百種類以上あるといわれる市販のミネラルウォーターの中には、効果が出ないものも多々あります。電解機構部の寿命を短くする水もあるため、水道水を使っていただくのが一番です」(稲積氏)

 こうして、自動販売機、プールと業務用に利用されてきた電解水技術は、家庭用となって空気清浄機に組み込まれることになったのである。


本体上端部にユニットを取り付ける 水の交換頻度は自動運転なら2〜3週間に1度 水を使うパーツは、分解して洗うことができる

空気清浄機から放出される、“ミスト”とは

運転中はLEDが光る。光は、消す設定も可能
 電解水の高い除菌・ウイルス抑制効果と安全性は理解できたが、それをミストというかたちで空気中に放出するというアイデアはどこから生まれたのだろうか。

 「企画当時、電解水を応用した空気清浄機の開発アイデアが数種類ありました。その中で、浮遊している状態の空気の汚れに対し、この電解水を噴霧して直接効果を上げる方法が最も有効でスピード浄化になると考えたのです」(永井氏)

 空気清浄機は、その性質上、運転状態や、空気の汚れを浄化している様子がわかりにくい。

 「電解水をミスト化して飛ばし、それを演出として“見せたい”という考えも技術者の側にはありました(笑)」と語るのは稲積氏。

 「空気をきれいにしていることを示すランプをつけたりと、動いていることを実感してもらうため、いろいろと工夫していますが、ミストが空気中に広がっていく場面は、視覚的にわかりやすい。これを活かすことができないかと考えたわけです」(稲積氏)

 実際に試してみると、ミストの効果は、視覚効果だけに留まらないことがわかった。まずは、OHラジカルや電解次亜塩素酸が目的となる場所に届く前に、変化を起こさないように、ミストで包んで保護できるというメリットが1つ。そしてもう1つが、空気清浄機の弱点を解消する、大きな効果だった。

 「気流シミュレーションを行なうと、ミストが部屋全体へ早く広がることがわかったのです。従来の空気清浄機は基本的に、空気を吸い込んできれいにし、それを吹き出すもの。しかし、電解ミストを飛ばせば、部屋に漂っている空気も、直接清浄できます」(永井氏)

 従来の空気清浄機の弱点の1つとして、部屋の家具などに阻害されて、効率よく空気が循環しないという点があるが、「ABC-VW24」では、こうした澱んだ空気を吸い込むだけではなく、有効な成分を飛ばして浄化するアイデアを盛り込んでいる。これは、まさにいまの空気清浄機のトレンドと合致するものだ。


室内の空気を縦方向、横方向で循環させる「3D浄化気流」

ABC-VW24本体。スラリとした直線的なデザインだ
 ここまで、電解水、そしてミストについて説明してきた。しかし、考えてみて欲しい。そもそも、空気清浄機は、汚れた空気を吸い込み、きれいな空気を吐き出す装置である。基本性能の向上に真っ向から取り組んだ成果が、三洋独自の気流設計である「3D浄化気流」だ。

 そもそも、この機構は、なぜ必要なのか。

 「実は、一般的な空気清浄機ですと、きれいになった空気は本体の上面からか、または側面から、吹き出す方式です」(永井氏)。

 これは、空気清浄機のエアダクトの向きからくる問題だ。一番多いパターンは前面から吸い込み、上から吹き出すもの。あるメーカーのものは、側面から吸い込み、反対側から吹き出す。これでは、いずれにしても、垂直方向か、水平方向、どちらか片方に偏って循環させることになり、時間もかかる。

 そこで、ABC-VW24では、空気を吸い込み、上面・左側面・右側面の3方向から送り出す仕組みを開発した。これが「3D浄化気流」だ。

 「このファン機構には苦労しました。従来のモデルでは上方向の気流を作り出すファンと、左右方向の気流用のファンをそれぞれ独立して設けていたのですが、今回のABC-VW24ではそれを1つにまとめました。その方がコンパクトになりますし、モーターが1個減る分、省エネにもなります。どうやって、1つのファンで2つの方向に風を送り出すのか。ボディをコンパクトにするため、1つのファンで送風方向を、垂直方向と水平方向に仕切ることで、それぞれが独立した気流を作り出せるようにしています」(稲積氏)

 この仕組みにより、ムラなく部屋全体に浄化された空気が行き渡るというわけだ。

 ミストについてもシミュレーションしてみたところ、24畳相当の室内空間でも強運転で約150秒後にはミストが部屋全体に拡散することが確認されたという。電解ミスト自体も長持ちするので、広い部屋であっても隅々まで拡散するとのことだ。

 空気の汚れを吸い込み、そして浄化された空気を垂直・水平方向に飛ばす。さらに、同時にOHラジカル、電解次亜塩素酸を含んだ電解水のミストを放出し、空気中に浮遊する汚れを直接浄化する。これが、ABC-VW24の機構であった。


フィルターも重要なパーツのひとつ カテキン入りの抗菌剤が配合されている 脱臭効果も高い

「ウイルスウォッシャー戦略は、始まったばかり」

 ここまで解説してきた高い除菌・ウイルス抑制効果だけでなく、脱臭、アレルゲン抑制効果、水道水を用いることの手軽さと安全性など多くのメリットを持つ除菌電解ミストの技術。

 「当社の経営ビジョンである“Think GAIA”にもとづき、今後もさらにきれいな空気にこだわった製品開発に取り組んでいきたいですね」と永井氏は語る。

 この優れた技術の今後の展開に期待したい。





URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0608news-j/0828-2.html
  製品情報
  http://www.sanyo.co.jp/vw/abc_vw24/index.html


2006/10/10 00:01

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