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第24回:年間消費電力量とは
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● 実際の使用状況を想定した電力量の目安
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1年間のおおよその消費電力量を示すのが「年間消費電力量」。写真は東芝の冷蔵庫の発表会で使用されたものだが、年々省エネが進んでいるのがわかる
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年間消費電力量とは、特定の家電を実際の利用環境を想定した条件下で、1年間利用した場合に消費される電力量のことを指します。
家電製品は一般的に、使用状況や使用環境に応じて、実際に消費される電力が大きく変化します。たとえば冷蔵庫では、気温の高い夏場と気温の低い冬場とで、消費電力に大きな違いが生じます。エアコンの場合は、同じ冷房/暖房能力を持っていても、室温に応じてきめ細やかにパワーがコントロールができる製品の方が、実際の消費電力量が少なくすむ場合があります。
つまり、特定の条件下――例えば、フルパワーで動作している場合――で計測した消費電力がわかっていも、そこから1年間にどの程度の電力を消費するのかを見極めるのは、非常に難しいのです。
そこで、一般的な使用状況を想定した一定の基準を定め、その基準に従って使用した場合の消費電力量を測定することで、その家電の1年間のおおよその消費電力量を示すために用意されたのが、年間消費電力量なのです。
年間消費電力量は、カタログや店頭の値札などに記載されていますが、実際の使用環境に即した条件で測定されたものですので、かなり参考になると考えていいでしょう(その測定条件については後述します)。また、年間消費電力量に1kWhあたりの電気料金(約22円)をかけると、1年間にかかる電気代に換算することもできます。
とはいえ、年間消費電力量も絶対的な数値ではありません。確かに実際の使用環境に即した測定条件で計測されていますが、実際の数値はユーザーによって当然変わります。あくまでも参考値であることを前提とした上で活用すると良いでしょう。
● 製品ジャンルごとに測定法が定められている
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冷蔵庫の場合は、冷蔵庫の場合は、庫内温度やドアの開閉回数など、細かく規定されている(写真は東芝「プラチナ潤い鮮蔵庫 まるごと鮮度名人 クールイン1(ワン)スタイル」)
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年間消費電力量の計測方法は、製品ジャンルごとに定められています。ここでは、冷蔵庫を例に、どのような方法で計測されているのか紹介しましょう。
冷蔵庫の年間消費電力量の測定方法は、日本工業規格(JIS)の「家庭用電気冷蔵庫および電気冷凍庫の特性及び試験方法(JIS C 9801:2006)」という規格で定められています。この規格では、非常に細かな測定方法が定められていますが、簡単にまとめると下の表のようになります。
この測定方法に従って、室温が30℃の場合と15℃の場合の消費電力量を数日間計測し、その結果から24時間あたりの消費電力量を算出します。そして、30℃場合の消費電力量に「180」、15℃の場合の消費電力量に「185」をかけて算出された値が、年間消費電力量となります。
周囲温度 | 30℃ | 180日 |
15℃ | 185日 |
設置条件 | 側面壁 | 両側 |
側面壁の幅 | 製品の奥行寸法以上 |
側面壁との隙間 | 0.05m |
背面壁との隙間 | ストッパーまで当てるか、製造業者が指定する距離を開ける |
庫内温度 | 冷蔵室 | 4℃以下 |
冷凍室 | -18℃以下 |
ドア開閉回数 | 冷蔵室 | 測定開始2時間後から8分ごとに1回、計35回 開閉角度90度±5度、開放時間10秒間 全開保持時間5秒以上 |
冷凍室 | 測定開始2時間後から40分ごとに1回、計8回 開閉角度90度±5度、開放時間10秒間 全開保持時間5秒以上 氷を取り出す場合の開放時間は20秒間 |
庫内負荷 | 冷蔵室 | 周囲温度と同じ温度の水が入った 500mlのペットボトルを、 定格内容量75lに1本の割合で 4回目の扉開閉時に投入 |
冷凍室 | 周囲温度と同じ温度の冷凍用負荷125gを 定格内容量20lに1個の割合で 3回目の扉開閉時に投入 |
この、電気冷蔵庫の年間消費電力量の測定法は、2006年に改訂されました。それ以前の測定方法は、実際の使用環境とかけ離れた状態で計測されていたために、実際の消費電力量とあまりにも隔たりが大きいものでした。そこで、実際の使用環境に即した測定方法へと改訂されたのです。
また、全ての電気製品に同じ測定条件を定めても意味がありませんので、当然製品ジャンルごとに年間消費電力量の測定方法が定められています。もちろんそちらも、基本的に実際の使用環境に即した内容になっています。
【年間消費電力量】の、ここだけは押さえたいポイント
・実際の使用環境を考慮した、1年間の消費電力量を表す ・実使用に近い数値を出すため、製品ジャンルごとに細かく測定方法が定められている 1kWhあたりの電気料金の目安「22円」を掛ければ、年間の電気代もわかる
2008年11月7日 初版
■URL
現代家電の基礎用語 バックナンバー
http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word_backnumber/
■ 関連記事
・ 三浦優子の「家電業界通信」 冷蔵庫の電気料金表示が4倍になった理由(2006/11/21)
2008/11/07 00:04
平澤 寿康 1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。 |
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