日立アプライアンス株式会社は、イオンミスト放出量を増やすことで肌や髪のうるおいが保てるエアコン「ミストでうるおい ステンレス・クリーン 白くまくん」Sシリーズを、11月上旬より順次発売する。ラインナップは以下の表の通り。
品番 | 電源 | 冷房能力 | 冷房時 適応床面積 | 発売日 | 店頭予想価格 |
RAS-S22Y | 単相100V | 2.2kW | 6畳程度 | 11月下旬 | 20万8千円前後 |
RAS-S25Y | 2.5kW | 8畳程度 | 21万8千円前後 |
RAS-S28Y | 2.8kW | 10畳程度 | 23万8千円前後 |
RAS-S36Y | 3.6kW | 12畳程度 | 24万8千円前後 |
RAS-S40Y | 4.0kW | 14畳程度 | 2009年4月下旬 | 25万8千円前後 |
RAS-S40Y2 | 単相200V | 11月上旬 |
RAS-S50Y2 | 5.0kW | 16畳程度 | 11月下旬 | 28万8千円前後 |
RAS-S63Y2 | 6.3kW | 20畳程度 | 12月下旬 | 30万8千円前後 |
RAS-S71Y2 | 7.1kW | 23畳程度 | 32万8千円前後 |
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「ミストでうるおい ステンレス・クリーン 白くまくん」Sシリーズ。上がピュアホワイト、下がシャインベージュ
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「白くまくん Sシリーズ」は、同社の最上位モデル「Xシリーズ」に次ぐ高級エアコン。同社の高級エアコンでは、室内機から取り込んだ空気中から水分を集め、高電圧をかけて直径20~50nm(ナノメートル)の微細な水滴を生成、室内に放出することで脱臭・除菌効果が得られる「イオンミスト」機能が特徴。今年3月に発売した「Xシリーズ」では、イオンミストの発生量を増量することで、肌のうるおいを保つ効果もある。同社によると、イオンミスト機能付きのエアコンのユーザーから「部屋のニオイが気にならなくなった」「肌がしっとりした」といった好評が得られたという。
これを受け、今回のSシリーズではミストを発生するピンを増やすなど、イオンミストの発生機構を改良し、放出量を従来シリーズと比べて約3倍に増量した。ミストが皮膚の角質層の剥離を抑えることで、肌のうるおい効果や、より高い美肌効果が得られるという。さらに、髪の毛のうるおいも保ち、髪の毛のキューティクルを保護する効果も得られるという。
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「白くまくん」ユーザーの声。「ニオイが気にならなくなった」「肌がしっとりした」など、イオンミストの効果を評価する声が多かった
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本製品ではイオンミストの放出量を約3倍にアップ。肌だけでなく髪のキューティクルを保つ効果もある
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ミストを放出するピンを5つにするなど、イオンミストの発生機構を改良した
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イオンミストの発生機構。写真中央の白い5つの突起部分からイオンミストが放出される
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イオンミストの発生装置は室内機左側部
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県立広島大学 生命環境学部 三羽信比古教授。イオンミストの効果に関する試験を行なった
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このイオンミストによる肌や髪のうるおい効果は、県立広島大学 生命環境学部 三羽信比古教授によって実証されている。製品発表会に登場した三羽教授は、イオンミストの実験結果の写真を公開。その効果について「人の細胞の大きさは1万5千~2万nmだが、イオンミストは20~50nmと300分の1ほど小さいため、皮膚の表面の細胞と細胞の間に深く染み込むことができる。その後、細胞の中に入り込んで、細胞に芯からうるおいを与えられる」と語った。
イオンミストの増量により、脱臭効果も向上した。カーテンなどに染み込んだニオイを、従来機種の約2倍のスピードで脱臭できるという。また、従来に引き続いて、室内の空気の除菌効果もある。
なお、イオンミストは室内機から取り込んだ空気をそのまま使用するため、湿度は上がらないという。同社では結露やカビの発生を防ぎ、快適な空気環境が実現できるとしている。
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ここからは三羽教授が公開した、イオンミストの有無によるうるおい効果の実験結果を写真で紹介する。上の写真は、肌の乾燥効果の違いを断面図で見たもの。写真左がイオンミストなしのもので、右があり(以降も同じ)
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こちらは皮膚の表皮の違い。イオンミストありの写真は、凹凸がなくなめらかに見える
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皮膚の細胞を乾燥から守る効果もある
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こちらは髪の毛に紫外線を当てた場合の写真。イオンミストなしではキューティクルが随所で剥離しているのに対し、ありでは紫外線のダメージをしっかりと守っているのがわかる
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毛染め剤、つまり髪にカラーリングを施した場合の比較。イオンミストなしではキューティクルが欠落している
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キューティクルをさらに増強する効果もある
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人間の唇の内側の写真。イオンミストありの方はうるおいを保っている
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三羽教授によると、風邪の原因となる粘膜の乾燥を防ぐ効果もあるという
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このほか、脱臭スピードも約2倍にアップしている
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省エネ性能では、従来よりも高効率のモーターと、回転損失の少ない圧縮機を採用した。これにより「RAS-S40Y2」の期間消費電力は、暖房/冷房期を合わせて1,336kWhで、11年前の機種と比べて約25%の低減となった。また、「RAS-S40Y2」のAPF(通年エネルギー消費効率)は6.0、外気温が2℃の場合の暖房能力は7.4kWで、同社ではそれぞれ「業界トップクラスの省エネ性能」「業界トップクラスの高暖房能力」としている。さらに、23畳向けの「RAS-S71Y2」の期間消費電力量は3,000kWhを下回っており、「業界No.1の省エネ」だという。
省エネをサポートする機能としては、新たに「エコみるみるセンサー」を採用した。これは、リモコンの「エコ」ボタンを押すことで、本体に搭載されたセンサーが、室内9エリアの湿度と人の居場所や活動量を検知し、快適さを損なわないように冷房や暖房を弱めるというもの。同社ではこれを「エコ運転」としており、通常運転時と比べて、暖房時は最大25%、冷房時は最大20%の省エネが可能になるという。
また、センサーを搭載したことによって、人の居場所に直接風を当てる「風あて」、反対に人に風を当てない「風よけ」運転も可能になった。この「風あて」と「エコ運転」を併用することで、冷えすぎを抑えながら、最大で約35%の省エネ運転ができるという。
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高効率化を図るため、低回転形高効率モーターと、モーターを高速で駆動できる「カスケードベクトル制御」を採用した
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圧縮機の損失を抑えるため、ローターを円環形状に変更。回転がよりスムーズになった
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圧縮機のカットモデル
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「エコみるみるセンサー」で、室内を合計9エリアに分けたうえで、人の居場所や活動量、湿度を見張る
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本製品に搭載されているセンサー(写真下)と解説のパネル
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快適さを失わないように、冷暖房のパワーを弱めて、消費電力を抑えるという「エコ運転」
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体に風を当てる「風あて」、当たらないようにする「風よけ」機能もある
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日立の高級タイプのエアコンは、室内機に汚れやカビが発生しないようステンレス素材を採用している
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ところで、日立の高級タイプのエアコンは、室内機内部の各所に汚れやカビを防ぐステンレス素材を採用している点も特徴となっている。本製品でも引き続いてステンレスを採用するが、室内機内部の通風路に使用されるステンレスの面積を従来機種の約2倍に拡大した。これにより、さらに汚れやカビの発生を防ぎ、エアコンからの空気の清潔性を高めている。また、フィルター自動掃除機機能も引き続き搭載する。
このほか、室内機の吹き出し口には「ビッグフラップ」「ジェットフラップ」という2枚の風向板を採用。暖房時は、「ビッグフラップ」が足下へ温風を吹き出し、その上部の「ジェットフラップ」が温風を押さえ込んで、リビングの床面の隅々まで効率よく温めるという。
本体デザインにもこだわっており、室内機のフロントパネルには光沢感のある素材を採用し“品質感の高いデザイン”を狙っている。なお、2008年度の「グッドデザイン賞」を、昨年に引き続き受賞している。
室内機のサイズは798×295×243(幅×奥行き×高さ)で、RAS-S63Y2とRAS-S71Y2の2機種のみ890×254×295mm(同)となる。本体カラーはピュアホワイトとシャインベージュ。
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室内機内部の通風路に、従来よりも2倍の大きさとなるステンレスを採用。より清潔性をアップした
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室内機のカットモデル。自動フィルター掃除機能の姿も見える
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「ビッグフラップ」「ジェットフラップ」という2枚の風向板を採用。暖房時には足下へ温風が届くよう、冷房時には天井方向に涼風を飛ばすようコントロールする
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日立アプライアンス 常務取締役 空調事業部長 西耕一氏
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日立アプライアンス 常務取締役 空調事業部長の西耕一氏は、エアコン市場の動向に触れ「だいたい740万台前後の安定した需要があるが、買い換えが中心。この先も大きく伸びていく市場とは考えにくい」とする一方で、下期の需要が年々伸びていることから「CO2排出量の削減や灯油価格の高騰、健康への関心の高まりもあって、燃焼暖房機からのルームエアコンへのシフトは確実に伸びている」と、暖房機器としてのエアコンに期待を見せた。
西氏はまた、2006年から室内機の内部にステンレス素材を採用して以来、日立のシェアが上昇していることにも触れ「ステンレスエアコンの訴求したポイントが認められた。大変光栄に思っている」と語った。日立の高級タイプゾーンでのシェアは2008年度は18%の見込みで、2009年度は20%を目指すという。
同社ではまた、「Sシリーズを上回る省エネ性能」と「高品質なデザイン」を備えた「Xシリーズ」の新製品を、12月より順次発売する予定だという。
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エアコンの市場動向。年々下期の需要が増えていることから、暖房機器としてのエアコンの需要が伸びていることがわかる
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日立のエアコンのシェアを表すグラフ。ステンレスの導入後、シェアが大幅アップしているという
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会場には、12月より順次発売する最上位モデル「Xシリーズ」もあったが、具体的な仕様については語られなかった
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■URL
日立アプライアンス株式会社
http://www.hitachi-ap.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/10/1008a.html
製品情報
http://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/lineup/sseries/
エアコン 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm
■ 関連記事
・ 日立、買い換えに適した省スペースエアコン(2007/10/17)
・ 日立、イオンミストで肌をうるおす高級エアコン(2008/02/07)
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/10/09 00:01
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