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ダイソン、羽根のない扇風機を高野山・金剛峰寺に30台納入

〜エアコンの人工的な風ではなく、高野山の自然な風で涼をとる

 ダイソンは、羽根のない扇風機として知られる「エアマルチプライアー」シリーズ30台を和歌山県・高野山にある金剛峰寺に30台納入、7月9日から運転スタートしたことを発表した。

和歌山県・高野山にある金剛峰寺
“涼をとるための製品”として金剛峯寺内には30台のエアマルチプライアーが納入された

 エアマルチプライアーは、独自の機構により吸い込んだ空気を15〜16倍に増幅する扇風機。従来の扇風機と異なり、羽根がないため安全性が高く、手入れしやすい点が特徴。金剛峰寺では「AM02リビングファン」を25台、「AM01テーブルファン」を5台、合計30台を“涼をとるための製品”として、設置した。

 今回の設置は、ダイソンが金剛峰寺に納入を申し出たことで、実現したもの。ダイソン コミュニケーションズの赤野景子さんは、今回の納入について「自然な空気を増幅して涼を得られるエアマルチプライアーというのは、高野山という特別な場所にマッチしていると思います」と、今回の経緯を説明した。また、「AM02リビングファン」に関しては、日本家屋での使用を想定して、本体の高さを従来より13cm低い、87cmとしており、「正座をする機会が多いお寺での使用に適している」という。

「AM02リビングファン」シルバー/シルバー。参考価格54,000円
「AM01テーブルファン」ブラック/ニッケル。参考価格39,000円
ダイソン コミュニケーションズの赤野景子さん

 金剛峰寺 開創法会事務局 課長 東山教清氏は、高野山について「高野山は、中国で密教を授かった弘法大師空海が日本で布教するために、嵯峨天皇にいただいた特別な場所」と説明。又、同地は2004年7月にユネスコの世界文化遺産に登録されている。

 今回、高野山真言宗の総本山である金剛峰寺にダイソンのエアマルチプライアーを設置した理由としては「自然環境に適した製品であるという点」、「最新の技術を搭載しているという点」の2つを理由として挙げた。

金剛峰寺 開創法会事務局 課長 東山教清氏
「AM01テーブルファン」を手に製品の魅力を語る

 まず、自然環境に適した製品であるという点については「高野山は、もともと標高が高く夏でもエアコンは必要ありませんでした。しかし、近年温暖化が進み、昼間の気温がかなり高くなってきました。私たち僧だけであれば、修行もしておりますし、暑さに耐えられますが、金剛峰寺には毎年たくさんの参拝客の方がいらっしゃいます。しかし、1,200年続く、歴史ある場所でクーラーのような人工的な冷風を出すのはどうか……そういうときにダイソンさんにお申し出をいただきました。エアマルチプライアーは、風を羽根で発生させるのではなく、独自の技術で風を増幅させる。つまり、高野山の自然の風をお客様にお届けできる。そういったところが魅力でした」と話す。

 また、高い技術力に関しては、空海が日本に持ち込んだ密教や様々な技術に関係するという。

 「密教というのは、仏教の中の1つのカテゴリーにあたる訳ですが、当時の仏教の考え方からするとある意味、非常にセンセーショナルな考えの宗教でした。仏教というのは当時、成仏するのに非常に長い時間がかかるとされていました。仏教の考え方では、巨大な岩を100年に一度天女が訪れ、袖を一振りし、その振りによって岩が削れてなくなるまでを一劫と呼びますが、人が成仏するためには、その三倍、つまり三劫という果てしもない時間が必要だとされていたのです。一方、御大師様(空海を指す)が布教された密教では、人は亡くなると、その身そのまま、その場所で仏になれるという教えがあります。当時としては、とても画期的なものだったんですね。また、御大師様は、密教のほかにも、天文学や建築学など社会の発展に役立つその当時最新の技術をたくさん、中国から持って帰っていらっしゃっています。ダイソンのエアマルチプライアーも、これまであるのが当たり前だった扇風機の羽根を独自の技術により、なくしてしまった。革新的であるという意味では、共通項があると思っています。1,200年前の最新の技術と、現在の最新の技術がこういう形で出会うというのも面白いかなと思いました」

 今回、家電Watchでは実際に和歌山県・高野山で実際の設置風景を取材。エアマルチプライアーは金剛峰寺の様々な場所で、設置され参拝客に涼しさを提供していた。歴史のある建物にすっかり溶け込んでいたのが印象的だった。

 東山教清氏は、「今回のような取り組みを通して、若い方にも気楽に高野山を訪れて欲しいという想いもあります」と語った。

参拝客受付に設置されていた
従来の扇風機とは全く違う機構に参拝客も興味津々だった
お賽銭箱の横にも
「阿字観」と呼ばれる瞑想をする部屋でも、エアマルチプライアーが活躍
僧や寺院といった「和」の雰囲気にもエアマルチプライアーのデザインがすっかり溶け込んでいた

(阿部 夏子)