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三洋電機、パナソニックの株式取得報道に「鋭意検討も、決まった事実はなし」

~上期決算は増収減益もまずまずの実績

パナソニックへの株式売却は「正式に決まったものはなにもない」

 三洋電機は、2008年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比2.5%増の1兆0,066億円、営業利益は11.3%減の239億円、継続事業税引前利益は67.1%減の86億円、当期純利益は104.3%増の326億円となった。

 三洋電機の佐野精一郎社長は、「9,700億円の売り上げ計画に対して104%の計画遂行率であり、前年同期比2.5%の増収であること、営業利益が計画に対して100億円の過達となったことを見れば、新3カ年中期経営計画の出足としては、まずまずのスタートを切った」と総括した。

 また、同社が発行する優先株式をパナソニックが取得するとの報道に関しては、「鋭意検討を進めている事実はあるが、正式に決まったものはなにもなく、開示すべき事項が決定した段階で速やかに開示する考えである」とコメント。記者からの質問に対しては、「昨今の厳しい経営環境のなかで、掘り下げて検討するタイミングが早まったとはいえる。具体的かつ慎重に検討しており、どういう組み合わせで、何をしていくべきかを検討している。優先順位をつけるわけではないが、事業そのものをどうするかが先決である。そのなかで、SANYOブランドも継続発展させたい。新中期経営計画については、変更するつもりはない」などと語った。

 上期連結売上高のうち、国内は1.2%増の3,566億円、海外売上高は、3.3%増の6,500億円。海外売り上げ比率は64.6%となった。


東京では大阪の中継映像が流された。中央が佐野精一郎代表取締役社長 上期決算は増収減益。それでも佐野社長は「新3カ年中期経営計画の出足としては、まずまずのスタート」と総括

部門別では洗濯機が好調、売上高は32%増の189億円

 部門別では、コンシューマ部門の売上高が、前年同期比3.4%増の3,744億円、営業損失はマイナス2億円の赤字。「フラットテレビやデジタルカメラ、洗濯機が好調。エアコンやプロジェクターが減少した」という。

 コンシューマ部門のうち、電化事業は27億円の赤字となったものの、前年同期に比べて2億円の改善。AV・情報通信が24億円の黒字となったが32億円の悪化となった。「電化部門は、欧州におけるエアコン事業の悪化や価格下落の影響したものの、洗濯機が引き続き好調であり、販路の絞り込みなどがプラス効果となった」としたほか、「AV・通信機器は、売り上げは拡大したが、為替の影響や価格競争の激化により減益となった」という。

 冷蔵庫の売上高は1%減の239億円、エアコンの売上高は18%減の221億円、洗濯機の売上高は32%増の189億円。

 また、デジタルカメラの売上高は6%増の1,029億円、テレビの売上高は12%増の582億円となった。

 コマーシャル部門は、売上高が0.2%減の1,288億円、営業利益は14.1%増の26億円。大型エアコンが国内で不振だったほか、吸収式冷凍機が減少。だがショーケースや業務用厨房機器が大型案件の獲得もあり好調。メディコムやバイオメディカルも好調に推移したという。

 コンポーネント部門は、売上高が2.5%増の4,836億円。営業利益は1.0%増の361億円。半導体や光ピックアップ、電子部品が市況低迷の影響を受けて減少したが、PC向けが堅調なリチウムイオン電池による二次電池や、欧州市場での需要が旺盛な太陽電池の海外売上高が増加したことがプラスに働いた。

 電子デバイスの営業損失は前年同期から126億円悪化し、23億円の赤字。二次電池の営業利益は155億円増の375億円とした。また、二次電池の売上高は20%増の2,051億円、太陽電池の売上高は37%増の469億円となった。

 佐野社長は、「半導体はこれから厳しくなるだろう。予断を許さない状況と考えている」としたが、前田孝一副社長は、「上期の半導体事業は58億円の赤字。だが、下期には赤字を脱却し、来年には黒字化したい。選択と集中を進め、合理化による固定費の削減などを盛り込んでいる」とした。

 一方、「二次電池では、ネットPC用の需要増大が貢献しており、リチウムイオン電池全体の35~40%程度がPC用となっている」(三洋電機経理部・岡崎隆昭部長)という。

 なお、その他部門は、売上高が6.5%増の196億円、営業損失はマイナス4,200万円の赤字となった。


二次電池/ソーラーのエナジー事業を加速

 佐野社長は、通期の全体見通しには変更がないことを示しながら、事業領域別の進捗状況と見通しについて語った。

 二次電池およびソーラーで構成されるエナジー事業領域では、当初計画では売上高5,000億円、営業利益450億円であったのに対して、新たな見通しでは売上高5,530億円、営業利益612億円とした。ノートPCを中心にリチウム電池の需要が堅調なこと、太陽電池の欧州での販売が引き続き好調であることが要因。

 「二次電池事業は、携帯電話向けが低迷しているが、ネットブック向けが伸長している。新生産拠点の具体化に取り組み、2010年度末には月産1億個を越えるレベルにまで拡大する。また、2010年に向けたハイブリッド電池への戦略投資を加速する。一方、ソーラー事業では、ドイツにおける駆け込み需要や北米での需要拡大、補助金制度の復活が見込まれる国内向け需要も期待でき、下期の海外売上高は対前年比52%増を見込む。HIT太陽電池セルの生産能力を、2008年度末には340MWに増強し、前年度比3割増とする。薄膜太陽電池の早期事業化に向けては新日本石油との協業プロジェクトにより、事業化を加速する。2010年度には太陽電池の生産規模を600MWとし、グローバルシェア10%を目指す」と述べた。


エナジー事業領域では、当初計画よりも多い、売上高5530億円、営業利益612億円を見込む 二次電池はネットPC向けで好調という 太陽電池はドイツなど欧州での需要が堅調。薄膜太陽電池の早期事業化も目指す

 デジタル機器、電子部品、半導体によるエレクトロニクス事業領域では、売上高9,800億円、営業利益330億円の計画に対して、見通しでは売上高9,340億円、営業利益181億円と下方修正した。景気後退の影響を受け、北米における事業環境が悪化したこと、テレビの価格下落の影響、半導体を含む電子部品の価格下落による収益悪化によるものだという。

 だが、「デジタルカメラは、高機能、ムービーのラインアップ強化により、1,500万台の当初計画を確保できる見通し。テレビは、北米での販売チャネルの強みを生かし、中低価格機による買い換え需要を確実に獲得し、黒字を維持していく。また、収益性に課題があったインドの合弁会社を整理し、拠点の再編成により収益の安定化を推進する」として、収益確保を優先する施策を展開する。

 また、光ピックアップでは、前年比2割の減収となるが、コストダウンの推進による収益の改善を進める一方、キャパシタではインドネシアや中国への設備投資の拡大により、ノートPC向けおよびゲーム機向けの堅調な需要を獲得。半導体事業では、生産拠点の再編や500人規模の人員削減を実施したことで、100億円規模での損益分岐点の引き下げに成功。「来期以降の黒字化を目指す」とした。


エレクトロニクス事業領域の目標は、売上高9340億円、営業利益181億円と下方修正 収益の改善のため、競争力のあるパワーデバイスに経営資源を集める狙いだ

 コマーシャル製品や白物家電によるエコロジー事業領域は、計画では売上高が5,000億円、営業利益が90億円としていたが、見通しでは売上高で5,040億円、営業利益では29億円とした。

 「欧州で冷夏による家庭用エアコンの不振、景気悪化の影響を受けた業務用エアコンの不振が影響しており、未達の部分のほとんどを空調関連が占める。だが、国内白物家電の流通改革や、冷蔵庫の機種数の絞り込みなどの収益改善効果がある。欧州では、不採算販社の整理・縮小によって、季節変動に影響されない体質の確立、堅調な国内洗濯機事業に加えて、全自動モデルが高い評価を得ている中国・東南アジアを中心とした海外需要の獲得、2010年に向けた国内営業体制の見直しによる固定費の削減、イオンとの協業強化による商品ラインアップの拡充などに取り組んでいく。国内の冷蔵庫事業も採算が取れるモデルに特化した形で収益を確保する」とした。


エコロジー事業領域は、売上高は5040億円、営業利益は29億円の見通し 不振だった欧州向けエアコンの販社を再編成。また、国内で好調な洗濯機の海外需要も狙う。イオンと共同開発の家電シリーズのラインナップも拡充する

年間の売上高、営業利益の年間見通し
 佐野社長は、「為替動向や市場環境の変化は、想定を上回る厳しいもの。各種施策を着実に実行し、経費削減、原価低減の取り組みによって、今期の計画を達成していく」と、今年度の事業計画達成に意欲を見せた。





URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  第85期(平成21年3月期)第2四半期決算報告書
  http://www.sanyo.co.jp/ir/library/financialstatements.html#081105

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( 大河原 克行 )
2008/11/05 18:35

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