グッドデザインエキスポ2008で公開されている製品は、当然ながら日本国内向けのものが多いが、中には日本企業による海外市場向けの製品も公開されている。ここでは、日本では普段なかなか目にする機会の少ない、国内メーカーによる海外市場向け家電を見ていこう。
まず目に付いたのが、パナソニック(松下電器産業株式会社)の紙パック式掃除機「MC-CG880」だ。欧米向けの製品だけあって、国内の一般的な掃除機よりもサイズが一回り大きく、ホースではなく本体に電源スイッチが用意されている。また、清潔さを表現するため流線型のフォルムも取り入れている。日本で流通している製品とは大きく異なるが、その一方で、手で持ちやすいフロントハンドルや、曲線を基調としたラインなど、デザインは同社の国内向け製品と共通する部分もある。グローバルなブランド展開を目指すパナソニックならではのデザインといえそうだ。
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パナソニック(松下電器産業株式会社)の欧米市場向け紙パック式掃除機「MC-CG880」。サイズはかなり大きいが、基本的なデザインは国内向け製品と共通するものがある
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主にフローリングでの仕様を考慮しているためか、畳などのゴミを掻き出すモーター付ヘッドブラシは搭載されていない
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次に取り上げるのは、三菱電機の冷蔵庫「MR-14U」。タイ市場向けの製品なのだが、よく見てみると、ドアが一つしかない。しかし、冷蔵専用というわけではなく、冷凍と冷蔵庫の2つの機能を備えているらしい。それなのになぜ1ドアなのか……と疑問に思ったが、実はタイではこの1ドアが主要機種とのこと。庫内を見ると、扉で囲われた冷凍室がしっかりと用意されている。冷凍庫を開ける時は手間が掛かりそうだが、1ドアの左側はすべてが手掛け部となっており、誰もが簡単に開けやすいユニバーサルデザインとなっている。1ドアならではの特徴を活かしたデザインが光る製品だ。
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三菱電機のタイ向け冷蔵庫「MR-14U」。タイの主流に合わせて1ドアを採用
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庫内上部には冷凍室がある。1ドアだからといって冷凍機能は省かれていない
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三菱電機の中国向け家庭用エアコン「MFZ-SXD-72」。一見すると冷蔵庫のようだが、こうした縦長で床置き式のエアコンが中国では主流
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パナソニックの「CS-VE27FB1」、三菱電機の「MFZ-SXD-72」といった中国市場向けエアコンも、その国の文化に適ったデザインの製品だ。中国のエアコンは、日本のような「壁掛け式」ではなく、縦に長い
「床置き式」のタイプがスタンダードで、いずれの製品も日本ではまったく見かけられない縦長のスタイルとなっている。「壁掛け式」イコール「エアコン」という意識で見てしまうと、エアコンというよりかは冷蔵庫のように見えてしまうが、光沢に満ちたボディからは、文化や国といった垣根を越えて、素直に高級感が感じられる。
パナソニックのオーブンレンジ「NN-GF478X」も、中国市場向けの製品。操作パネルの中国語を除けば、日本でもよく見かけそうな製品だが、ポイントはこのボディカラーにある。朱色のようなこの色は、中国の伝統色「中国紅」というものらしい。色ひとつにも、潜在的なメッセージが隠されているのだ。
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パナソニックの中国市場向けエアコン「CS-VE27FB1」。高級感を出すため、光沢のあるボディを採用
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同じくパナソニックの中国市場向けオーブンレンジ「NN-GF478X」。ボディカラーは中国の伝統色「中国紅」
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操作パネルももちろん中国語
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ここまでは日本企業の製品を見てきたが、会場では海外メーカーの家電製品もあり、特に韓国・サムスン社の製品は、掃除機・冷蔵庫・エアコンなど、多数公開されていた。以下に写真と動画にて紹介しよう。
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海外メーカーではサムスン電子の製品が多く展示されていた。写真は掃除機「VCU9380V4K」
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同じくサムスン電子の「HP-U187FD」。中国向けの床置き式エアコンで、ボディに映る花の模様が印象的。模様については下の動画も参照されたい
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サムスン電子の自動掃除ロボット「VC-RE70」。写真左のリモコンで操縦できる
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■URL
パナソニック(松下電器産業株式会社)
http://panasonic.co.jp/
三菱電機株式会社
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
サムスン電子株式会社(日本法人)
http://www.samsung.com/jp/
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/08/23 01:03
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