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三洋、ハイブリッド自動車用のリチウムイオン電池を本格展開

~コンセントで充電できる次世代車用の電池も

三洋のHEV用リチウムイオン電池
 三洋電機株式会社は、ハイブリッド自動車に使用されるリチウムイオン電池について、今年度から大幅な投資を実施し、事業展開を加速すると発表した。

 ハイブリッド自動車(以下、HEV [=Hybrid Electric Vehicle])とは、エンジンとモーターという異なる動力を組み合わせて走る自動車のこと。モーターを動かすためのバッテリーが必要になるが、一般的な自動車よりもガソリンの使用が抑えられるため、CO2排出量を削減するといった長所がある。三洋電機ではこれまでもモーターのバッテリーとしてニッケル水素電池を採用していたが、より性能の高いリチウムイオン電池に投資することになった。なお同社では、5月22日に発表された2010年度までの中期経営計画にて「環境・エナジー先進メーカー」への変革を宣言しており、またリチウムイオン電池を含む二次電池事業を「成長事業」として指定している。

 取り組みとしてはまず、2009年3月までに、HEV用リチウムイオン電池の量産を、徳島工場にて開始する。導入する設備は、低コスト生産にも対応できるよう最新式のものになるという。生産量は、HEVの台数ベースで年間15,000~20,000台相当の予定。徳島工場では2006年より試作ラインを導入しており、既にサンプル電池の試作・出荷を行なっている。

 また、2015年にHEV用リチウムイオン電池事業に累計で約800億円の投資を計画する。この投資により、2015年には月当たりの生産能力を1,000万個まで拡大するとしており、また2010年までに徳島工場に続く生産拠点を設立するという。三洋電機株式会社 取締役 副社長執行役員 部品事業担当 本間充氏は、2010年に新設される拠点について「一部報道で加西(兵庫県)という名前が出ていたが、まだ選定中。現時点ではまったく白紙の状態」と述べた。


三洋電機のリチウムイオン電池は、HEVに適した特性を持っているという ニッケル水素電池との性能の比較。中には3倍以上の能力を持つ項目もある 三洋電機株式会社 取締役 副社長執行役員 部品事業担当 本間充氏。発表会は大阪にて行なわれたため、写真はスクリーン映像

2009年3月までに、徳島工場にてHEV用リチウムイオン電池の量産を開始 2015年までに約800億円をHEV用リチウムイオン電池事業に投資する

 また、HEVよりもさらに環境性能が高く、家庭用コンセントでの充電も可能な次世代型の「プラグインHEV」用のリチウムイオン電池の早期商品化も進め、2011年の導入を目指す。さらに、独フォルクスワーゲングループと共同で、HEV用リチウムイオン電池システムを開発することについて合意を交わしたことも明らかにされた。2020年には、市場の40%のシェアを目指している。

 本間氏は、HEV用リチウムイオン電池事業の展開の加速について「石油や天然ガスといった天然資源は、枯渇する時代が必ず来る。もう警鐘を鳴らすだけでは済まない。これを早く代替エネルギーに変え、将来の人たちのために、いまやるべきことをしっかりやっていく」と語った。また、三洋電機のリチウムイオン電池の強みについて「ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウム電池など、44年間積み重ねてきた二次電池の開発実績」を挙げ、コストの抑制などの生産技術力は、10年くらいやっているメーカーとは明らかに違う。これはどの会社もお持ちではない」と自信を見せた。


HEVよりも環境負荷が減らせる「プラグインHEV」用のリチウムイオン電池は、家庭のコンセントでも充電できる特徴もある 三洋のEHV用リチウムイオン電池では独自の正極材料を採用。マンガンやニッケルの正極材料と比べても、高いレベルでバランスの取れた性能を持つという 三洋電機では、ニカド・ニッケル水素など、二次電池事業で44年の実績を持つ




URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  ニュースリリース(HEV用リチウムイオン電池の展開を加速)
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0805news-j/0528-2.html
  ニュースリリース(独フォルクスワーゲン・グループとの提携)
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0805news-j/0528-1.html

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( 本誌:正藤 慶一 )
2008/05/28 18:56

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