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【ミラノサローネ2008 番外編】
Wi-Fi/Bluetooth対応のオフィスチェアなど、ユニークなオフィス家具


世界初のマルチメディア・エグゼグティブ・チェア!?

 ミラノサローネの巨大な見本市会場にて、家電Watchではキッチンとバス・トイレタリーを中心に紹介した。しかし筆者は、それに加えてオフィス関連の展示が行なわれた「SaloneUfficio」と独立系デザイナーらが多く展示する「SaloneSatellite」も回った。ここでは、まずそれらの展覧会場の様子をレポートしよう。

 「オフィス家具は家電じゃない」と言われそうなので、まずは最初にキワモノを紹介しよう。Condutti社のブースで展示されていた、世界初を謳うマルチメディアエグゼキュティブ・チェアの「MEC」だ――なんとWi-Fi/Bluetooh/USB端子を内蔵している。

 椅子になんで最新無線技術が必要なのかと疑問に思う人も多いだろう。実はWi-Fiはヘッドレストの左右に埋め込まれたスピーカーの接続に用いられているという(どう考えてもBluetoothではないかと疑問に思ったが、残念ながら現場スタッフでは確認できなかった)。

 そしてBluetoothは、自分の携帯電話と接続してハンズフリー通話をするために用いられる。左手のアームにはiPodをつなぐためのUSBポートが内蔵されていて、右手のアームにはマイクと音量などを制御するための静電パッドが用意されている。


Condutti社が「世界初のマルチメディアエグゼキュティブチェア」と唱う「MEC」。ヘッドレストの左右はスピーカーになっている。資料や説明員はWi-Fiで接続されていると説明するが... 右手のアームにはマイクと静電タッチパネルによるコントローラが内蔵されている

曲線を基調とするなど、個性豊かなデスク達

カリム・ラシッド氏デザインの「ZERO」。斬新なフォルムながら、しっかりケーブルマネージメントの溝なども用意されている
 続いては、あまり「家電」というイメージではないが、デザインがおもしろいオフィス家具を紹介したい。

 オフィス家具では、素材や色の冒険はあっても、形は基本的に四角いものが多い。その方が、オフィスのレイアウトを組みやすく、他のデスクや家具とも絡めやすいからだ。

 しかし、そんな中で、デスク単体で圧倒的な存在感を放っていたのが、曲線を基調としたなめらかなデザインのDELLAROVERE社「ZERO」というデスクだ。こう見えて、奥にはしっかりとケーブルマネージメントのための溝があり、なぜかそこにはiPod touchが飾られていた。この大胆なデザインは、カリム・ラシッドの手によるものだった。

 大胆な曲線を使ったデスクと言えば、uffix社のLUNAシリーズも同様だ。なんと、サイドに置いて使うローキャビネットも微妙な弧を描いている。同社の最新製品はiPodを思わせるネーミングの「myPod」というデスクで、こちらも独立した個人のためのデスクとしてデザインされている。

 デスクと言えば、日本では木目、白、黒、ガラスといった4色に収まってしまいがちだが、ここで展示されているデスクは色彩も豊か。鮮烈なイタリアンレッドの中にエレガントさを表現したPolflex社製のデスクがある一方で、パステル調の色彩で静かにまとめたM ITALIAの「haiku」シリーズも魅力的だ。

 もっと、アーティスティックに個性をアピールしたい人にはアメリカの映画ポスターをベースにしたOREZERO社のデスクも楽しい。


SF映画の宇宙基地の司令塔のようなuffix社の定番デスク「LUNA」 明らかにiPodを意識したネーミングの「myPod」(uffix社)は、独立した個人用のデスクとしてデザインされている ガラス板を脚にすることで、まるでテーブルトップが宙に浮いているかのように錯覚させるPolflex社のデスク

シンプルなデザインと、涼しげなパステル調が心地よいM ITALIAの「haiku」 マリリン・モンローのポスターをそのままテーブルにしてしまったOREZERO社

変形するデザインで楽しむ

シートテーブル社のシートテーブルは、シチュエーションにあわせて椅子にも机にもなる逸品だ
 色彩だけでなく、機構で楽しめるオフィスファニチャーも多い。

 SEATTABLE(シートテーブル)社は、その名の通り椅子にもテーブルにもなる画期的製品。真ん中の折り目の部分を、下に凹ませれば、堅い板が背もたれになり、上にあげれば、その背もたれ部分がテーブルになる。

 変形する椅子はこれだけではない。interstuhl(インターシュトゥール)社のMitosシリーズは、長時間のパソコン作業にやさしいローチェア。オットマン(足置き)部分に、ノートパソコンを置くためののテーブルもくっついている。ただ、実はこのオットマンが変形して、通常の椅子としても使うことができるのだ。

 ちなみに、このローチェアでの作業を提案していたのはinterstuhlだけではなく、日本のOkamura(岡村製作所)もそうだった。詳細は次項にて述べる。


interstuhl社のMitosは、後傾姿勢での作業用のローチェアで、足置き部にテーブルがくっついている 実はMitosのオットマンは、急な来客時には変形してチェアとなってくれるのだ。ただし、もっとも客には、直前まで脚をのせていたことは伏せておいた方がいいかもしれない

Ufficio展でみた、人気企業からの新提案

長時間画面と向き合うパソコン作業には、後傾姿勢が向いている。OkamuraのLUXOSは新しいワークスタイルを提案している
 最後に今後のオフィス環境に提案のある有名企業をいくつか紹介しよう。

 まずは日本のOkamura(岡村製作所)だ。同社はLuxosというシリーズで、長時間1カ所に留まることの多いパソコン作業時において、ローポジションの後傾姿勢での作業スタイルを提案しているが、来場者にもかなり好評だったようだ。通常、ローチェアでの作業というと、ノートパソコンの利用が前提となるが、同社はCreando社製のVESAマウント(液晶ディスプレイ用のマウント)などを使うことで、デスクトップ型パソコンも使えることをアピールしていた。

 アーロンチェアで有名なハーマン・ミラー社は、「Sense」と呼ばれる最新テーブルシステムで、カスタマイズできるオフィス環境を提案している。シンプルでわかりやすい構造なので、組み立てや再構成がしやすく、ユーザーが、まるでレゴブロックを組み合わせるようにして、自分に最適な形や色にカスタマイズできる。

 Fantoni社は、オフィス環境に、まさに「環境」の概念を取り入れるおもしろい取り組みをしていた。同社研究所の成果として、特殊加工した木をブースの壁面などに使うことで、社内のノイズ音を吸収する他、パソコンなどから発する熱も吸収するのだという。

 この他のおもしろいブースは以下の写真で楽しんで欲しい。


Herman Miller社の新しいテーブルシステム「Sense」 テーブルトップと脚パーツ、その下にぶら下げる引き出しなどのユーティリティーパーツを自在に組み合わせて、自分の欲しいテーブルをデザインできる この行の写真に写るテーブルは、いずれも同じパーツを使って構成したものだ。詳しくはWebページをみてもらった方がわかりやすい

日本でもプラス社のガラージショップを通して発売されているFantoni社。同社が今回、一番の目玉にしていたのは、静かさと涼しさを同時にもたらす次世代オフィスの壁の研究成果だった オフィスに飾られたグリーンとLED照明が、静けさと涼しさを演出している

日本からの参加者も多数:SaloneSatellite

SALONE SATELLITEの会場外観
 「SaloneSatellite」は、見本市会場の22ある会場の1つを使って行われたオープンなイベント(入場無料)。小規模のデザインオフィスや個人らが自らの作品を出展していたが、日本のデザイナーの名前も多く見られた。ここではそんな日本関係の展示を中心にいくつか紹介しよう。

 会場を歩いていて「ハッ」と目を奪われたのはbcxsyの「INFINITY AQUARIUM」。ローテーブルの中で何か動いているとおもってよく見たところ、なんと、それはエッシャーのだまし絵のような複雑な形をした金魚鉢だった。

 幾何学的と言えば、もう1つおもしろかったのがNaho Matsunoさんの「Cube 6」及び「Cube 3」。前者はテーブル6つ、後者はテーブル3つのセットだが、どちらも組み木細工のようにして立方体の形になってしまうのだ。

 この作品とブースをシェアして出展されていたのがJun Taseさんの作品「Vega」「Alta」。一見するとただの椅子とテーブルのようでいて、脚の部分に注目すると、そのエレガントでありながら不思議な構造に目を奪われる。


複雑な形をした金魚鉢「INFINITY AQUARIUM」 「Cube 6」と「Cube 3」手前のCube 6では6つのテーブルを重ねあわせて立方体をつくれる。右奥のCube 3は3つで立方体になる。左奥はVega(椅子)とAlta(テーブル)

 ギョっとさせられたといえば、R.A.S. design worksも同様。椅子が置いてあるのだが、何かがおかしい。よく見てみると椅子の影が白くて、椅子そのものが影のように黒い。シャドーチェアという作品だ。

 遊び心がいっぱいだったのが、hiroomi taharaとmasaru ishikawaによるユニット、omieruの展示。田原さんの「Afro chair」は、椅子をアフロヘアにしてしまうという、単純なアイディアながらインパクトのある作品。そして石川さんの「Masaru Castle」は、なんとうまく重ねあわせてお城がつくれてしまえるという遊べるテーブルウェアだ(それぞれがお皿などの入れ物になっている)。

 これは日本人のものではないが、フランスはエコール・デ・ボザールのレンヌ校の学生による、ライトの展示もおもしろかった。中央の明かりの部分をひっぱりだしてきて、マグネットで壁などに吸着させることができるのだという。

 SaloneSatelliteに出展していた多くの日本人デザイナーは、秋に東京で行なわれる「100% Design」や「DesignTide」にも出展する模様だ。ぜひチェックしてみよう。


光と影が入れ替わったR.A.S. design worksの作品「シャドーチェア」。ちゃんと座れるそうだ 右側のお城、なんと細かなテーブルウェア(お皿、小鉢など)の集合体になっている。左奥のミラーの前に置かれているのがアフロチェア

エコール・デ・ボザールの学生によるペンダントライト。中のライト部分がひっぱり出し…… マグネットで壁や柱などにも固定できる。家の中の明かりの変化を楽しめる逸品だ




URL
  ミラノサローネ公式ページ
  http://www.milanosalone.jp/
  ミラノサローネ2008レポートリンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/event_salone.htm


( 林 信行/編集部 )
2008/05/02 15:42

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