松下電器産業株式会社は、10日に行なわれた2008年度の経営方針の説明会にて、冷蔵庫・洗濯機事業を2008年度に欧州で、2009年度にはアジア、北米へと展開する方針であることを明らかにした。
展開を予定する商品は、2ドアで冷凍庫を本体下部に備えた「ボトムフリーザー」型の冷蔵庫と、ドラム式洗濯乾燥機。2008年度に欧州での販売を開始、2009年からはラインナップ強化を図り、欧州向け商品を中国・アジア・アメリカといった地域へも展開する。これらの商品は「日本で培ってきた省エネ・省資源・静音技術を活かしたもの」(松下電器産業株式会社 代表取締役 大坪文雄氏)だという。
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2007年度の総括
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2007年度成果の事例
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2008年度の経営目標
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海外の富裕層をまず取り込むことを目標としている
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欧州展開は冷蔵庫、洗濯機から着手
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現地での申請や手続きがあるため、2008年度はまず欧州上陸を最重点課題とし、2009年から本格化させる。会見中、大坪氏は「克服すべき課題はあるが、世界中の市場を見た実感として、私たちの持つ技術力・マーケティング力を活かせば、必ず商品の良さを理解いただけると確信している」と自信を見せた。数値目標としては、事業の展開が進んだ2010年以降に「3ケタの億(大坪氏)」規模を目論む。
大坪氏によれば、「ヨーロッパ市場ではエアコンがそれなりの存在感を市場で発揮」しており、特にスペインで好調という。エアコンを足がかりに、さらに欧州、世界へとビジネスを拡大する方針だ。
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2009年度までの経営目標
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海外での拡販は同社の中期事業計画「GP3」計画の柱。冷蔵庫・洗濯機の世界展開だけでなく、製品分野を問わず、BRICs(経済発展が見込まれるブラジル/ロシア/インド/中国の4カ国)、ベトナム市場の底上げも課題としている。2008年度には、2007年度見込みから25%上積みした、売上高5,000億円を目指す。
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生活快適実現事業では、組織の枠を越えた展開も計画されている
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製品セグメント別では、2007年に引き続き、デジタルAV事業・生活快適実現事業・カーエレクトロニクス事業・半導体/デバイス事業の4つを戦略事業に位置づける。生活快適実現事業では、松下ホームアプライアンス社のIH調理器を、松下電工のシステムキッチンと融合するなど、組織の枠を超えた展開も計画されている。
このほか、商品力強化を図るために、商品デザインの拠点を4月にロンドンとニューヨークに新設。一方で、コスト削減を徹底するため、開発初期から原価を徹底的に意識するプロセスを取り込む。
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原価低減を徹底的に意識する
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原価低減の取り組みの1つとしてデジタルカメラの基板の統合がある
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環境への取り組みとしては、省エネN0.1性能を持つ製品を150機種以上増やすほか、省エネ効率が低い機種を減らす取り組みを開始。2009年度には、省エネNo.1製品を200機種に増やしたうえで、省エネ効率の低い商品をゼロにするという目標も掲げている。
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環境に取り組むことが、企業の競争力強化につながるとする
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環境取り組みの具体的な目標
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次代の成長に向けて新規事業の創出にも力を入れていく構え
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また、次代の成長に向けて、新規事業の開拓も検討する。アプローチとして「置き換え」「参入」「創造」を掲げたうえで、カーエレクトロニクスや、セキュリティといった、現在の商品が発展して生まれる事業や、環境・エネルギーや健康といった、現在の事業に関連しながら新たに開拓する事業を想定している。なお、パナソニックへの社名変更・ブランド統一も、こうした取り組みの一環としている。
2008年度の経営目標は、売上高は前年度比で5%増、ROE(株主資本利益率)は8%以上、CO2排出量は10万トン以上の削減を目指す。経営スローガンには「打って出る!」を掲げる。
■URL
松下電器産業株式会社
http://panasonic.co.jp/
ニュースリリース 2008年度経営方針(要旨)
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080110-3/jn080110-3.html?ref=news
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( 本誌:正藤 慶一 )
2008/01/11 00:00
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