株式会社タニタは、内臓脂肪や腹囲(ウエスト)などを寝たままで計測できる腹部脂肪計「AB-101」を、2008年2月より発売する。介護、福祉施設や運動療法施設向けに販売される。同社では、腹部で脂肪を計測する「世界初」の製品としている。希望小売価格は294,000円。
体重に占める脂肪の割合を示す「脂肪率」と、生活習慣病の原因される内臓脂肪がどれだけ体内に付いているかを表わす「内臓脂肪レベル」を計測する脂肪計。また、2008年4月に開始予定の特定健康診査/保健指導では、ウエストとBMI(体格指数)から内臓脂肪の蓄積を把握することが必要とされていることから、ウエストも測定できる。
しかし、従来までの体組成計で脂肪率を計測する場合、基本的に立って計測する事が前提とされているため、寝たきりの人や肢体が不自由な人は測定しにくいという問題点がある。また、ウエストの計測では、巻き尺でした場合は呼吸による上下運動のため、正確なサイズが割り出しにくい。さらに、内臓脂肪をより厳密に測る場合は、X線CTのような大がかりな装置が必要になるなどの問題点があった。
そこで本製品では、アーチ型の本体と、体内に微弱な電流を流して抵抗値(インピーダンス)を計測する「インピーダンス計」を使うことで、脂肪率、内臓脂肪レベル、ウエストを、寝たままの状態で、計測できるようになった。なお、インピーダンスで脂肪を計測する方法は、同社の家庭用の体組成計でも採用されている。
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従来の体脂肪計では、手や足に障害がある場合は使えないという問題点があり、ここから開発が始まった
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「AB-101」の本体
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計測結果を表示する液晶が備わっている
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こちらがインピーダンス計。インピーダンスとは電流を流した際の抵抗の一種
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インピーダンス計の裏側には、4つの電極が備わっている。微弱な電流を体内に流し、その抵抗値で脂肪を計測する
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本体の中に収納することもできる
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具体的な使用方法としては、寝ている人の腹の上方に本体をかぶせ、頂部から発するレーザーをヘソの中心に合わせる。次に、本体左右のセンサーが、非接触で腹部の横幅を計測し、独自の計算式からウエストを推定する。ちなみに、縦幅では呼吸による変動が大きいため、横幅で計測するという。
その後、インピーダンス計をヘソの上に乗せ、電気抵抗値を計測する。計測したデータは無線で本体へと送信され、腹筋群との発達度合いから内臓脂肪レベルを、電解質の量から腹部の脂肪率を推定し、ウエストの数値と合わせて表示する。これらの計測にかかる時間は約30秒。入力する個人情報は性別のみで、身長/体重/年齢は使用しない。ウエストは50~130cmまで計測可能で、従来の腹部X線CT(コンピュータ断層撮影)では対応できなかった130cm以上でも使用できる「OVER130」モードも備えている。
なお画面では、脂肪率は5~75%まで0.1%単位で表示され、「少なめ」から「多め」まで9段階に判定する。内臓脂肪レベルは1~59までの間で、0.5ポイント単位で表示し、「標準」から「過剰」まで6段階に判定する。
同社では、このように腹部で計測する器具を「世界初」としている。
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モデルによる使用方法の実演。まずは横になった状態で腹の上に本体をかぶせる
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本体頂部からレーザーが発光し、これをヘソの中心に合わせる。ここで測定ボタンを押して、ウエストを計測する
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縦幅では呼吸でサイズが変わってしまうため、横幅をもとにウエストを算出する
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次に、インピーダンス計をヘソの上に乗せ、レーザーと位置を合わせて測定ボタンを押す。なお、インピーダンス計を腹に乗せる前に、水を含んだ脱脂綿で軽く皮膚を濡らしておく必要がある
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その後、すべての計測データが表示される
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精度や使い勝手の良さを考慮し、腹部前面で計測する方式を採用した
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ウエストなど、表示データはすべてサンプルを元とした推定値だが、その精度は高い
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実際にメジャーでモデルさんのウエストを測ったところ、上段の測定データとまったく同じ68cmだった
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本体のサイズは630×250×440mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.6kg。電源はACアダプターで、付属のニッケル水素充電池も使用可能。RS232Cを用いて、PCへデータの移動もできる。インピーダンス計のサイズは312×75×51mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約0.5kg。電源は単四アルカリ乾電池4本。
株式会社タニタ 代表取締役社長の谷田大輔氏は、発表会にて「20世紀はタバコと取り組む世紀だったが、21世紀は肥満と取り組む世紀」と、肥満を計測することの必要性をアピールした。なお、本製品は業務用の製品となるが、一般家庭向けの展開については「今のところは考えていないが、出してみて要望が強くなれば考える」としている。
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株式会社タニタ 代表取締役社長の谷田大輔氏
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2008年4月から開始される特定健康診査/保健指導では、血糖値や血圧のほか、ウエストの太さも診断基準となる
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■URL
株式会社タニタ
http://www.tanita.co.jp/
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( 本誌:正藤 慶一 )
2007/12/05 18:21
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