日立アプライアンス株式会社は、高速の風で衣類のシワを伸ばすドラム式洗濯乾燥機「風アイロン ビッグドラム」を発売する。左開きの「BD-V2000」の発売日は10月20日で、右開きの「BD-V2000R」は12月中旬。店頭予想価格はいずれも30万円前後。
衣類のシワを少なくし、アイロンがけの手間を抑えることを目的とした洗濯乾燥機。同社が洗濯乾燥機のユーザーに使用状況の調査を行なったところ、約5割が乾燥機能を週1回程度しか利用しておらず、乾燥後の衣類のシワの改善を訴える人が約8割もいたという。また、衣類のアイロンがけについても調査したところ、約6割が週1回以上アイロンを使っており、そのうち9割以上がアイロンがけに負担を感じているという。
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風アイロン ビッグドラム BD-V2000 プラチナ
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ショコラ
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シャンパン
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衣類のシワを抑える乾燥機能のニーズが高い
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「嫌いな家事」の上位にアイロンがけがランキングされりるものの、週1回以上使用している人は約6割もいる
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「アイロンがけを負担に感じる」という人はかなり多いことがわかった
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そこで本製品では、新機能として「風アイロン」を搭載した。これは、昨年モデル「BD-V1」の5倍の風速となる、時速360kmの風を衣類に当てることで、シワを伸ばしながら乾燥させるというもの。本体右上部に搭載された「ジェットファンモーター」から風を発生させ、ドラム内の「ジェットノズル」がさらに加速することで、時速360kmの風を生み出す仕組みになっている。
これにより、シワの発生が低減でき、同社ではアイロン掛けなしでもそのまま着られるとしている。また、ドラムが衣類を回転させながら乾かすので、衣類の傷みも抑える効果もある。さらに、風にはファンモーターの排熱を利用しているので、消費電力を抑えた高効率な乾燥ができるという。
なお、「ジェットファンモーター」には、小型で高出力の「DCブラシレスモーター」を搭載している。同社の掃除機でも採用されていた高速回転技術を応用しており、BD-V1と同じサイズながら、従来よりも性能を向上させた。出力は10倍の400W、モーターの回転数は3倍の14,000回転となっている。また、コンピューターでの流体解析を基に開発した「ジェットターボファン」を採用し、気流の乱れや風の発生音を抑制する。さらに、ファンの風路内に「ツイン1/4波長管サイレンサー」を設けることで、風路出口の伝搬音も低減している。
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洗濯が終わった衣類を丸めたまま乾燥する実験も行なわれた
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10分の乾燥運転後の衣類のようす。2002年モデルの乾燥機「WD-74B」で乾燥したもの(右)と比べると、明らかに仕上がりに差がある
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左がBD-V2000で乾燥させた綿のシャツ。右は他社製品で乾燥させたものだが、袖の先まで仕上がりが違う
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BD-V2000(左)と2002年モデル「WD-74B」(右)で乾燥させた、ワイシャツやハンカチなどの衣類の仕上がり具合の比較
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昨年モデル「BD-V1」との風量の比較。BD-V2000ではボールが浮き上がるほどだが、BD-V1ではほとんど浮き上がらない
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「風アイロン」を発生させる装置は、本体右上部にまとめられている
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「ジェットファンモーター」の比較。左がBD-V2000で、右が昨年モデルのBD-V1
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DCブラシレスモーターには、2種類のローターを採用。それぞれがそれぞれの動きを相殺して、脈動を抑制する仕組みに成っている
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ファンには、気流の乱れや風の発生音を抑制する「ジェットターボファン」を採用
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「ツイン1/4波長管サイレンサー」の解説図。音を反射することで、外部への音漏れを防いでいる
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ドラムには、BD-V1でも採用されていた、直径60cm、容積75Lの「ビッグドラム」を引き続き継承する。本製品では、このドラムを動かすモーターに、「業界最多」の56個のネオジム磁石を配置した「Neo56DDモーター」を新たに採用した。極と極の間隔を細かくすることでトルクの脈動を低減し、磁束の流れを最適化することで、ドラムの回転を滑らかにし、より高速な回転を可能とした。従来までのフェライト磁石を搭載した「20極DDモーター」と比べると、回転精度は約3倍、滑らかさは約8倍になった。これにより、1分間に1,600回転の高速脱水が可能になり、牛乳ビン約3本分となる約600ccの多く脱水できるという。
この1分間の1,600回転と「風アイロン」との相乗効果で、洗濯から乾燥までにかかる運転時間と消費電力量を抑えることに成功。「業界最高」を謳う7kgでの洗濯~乾燥時間は、標準コースで約150分、「風アイロン」使用時で約160分となった。また、同条件での消費電力量は、標準コースで約2,200Wh、「風アイロン」時では約2,100Whとなった。運転時間、消費電力量ともに、2002年モデルの「WD-74B」と比べて半分の数値となっている。さらに、消費電力量を標準モードよりも10%抑えた、約1,980Whの「省エネモード」も搭載している。
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昨年モデルに続いて、「業界最大」を謳う「ビッグドラム」を採用。叩き洗い効果を上げるとともに、乾燥時の衣類の絡みを抑える効果もある
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ドラムを回転させるモーターには、新たに「Neo56DDモーター」を採用。ローター上に56個のネオジム磁石を搭載している
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こちらは昨年モデルに搭載されていたモーター。フェライト磁石を20個備える
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「BD-V2000」のスケルトンモデル
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本体背面に「Neo56DDモーター」が見える
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本体右上部には、ジェットファンモーターも確認できる
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磁力の間隔が狭いため、トルクの回転の精度は約3倍になった
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脱水時には、ドラムが1分間に1,600回転する。高速の脱水で、2002年モデル「WD-74B」よりも約600cc多く脱水できるという
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7kgでの洗濯~乾燥時間、消費電力を、1/2に抑えた
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なお、本製品の乾燥には、乾燥時に湿気を出さない「2段水冷除湿式乾燥」を採用しているが、同社ではこのタイプにおいて「抜群の低消費電力」を発揮するとしている。
また、BD-V1でも採用されていた、振動対策技術「ツインアクションサス」「5重流体バランサー」「ダブル振動センサー」も継承。「Neo56DDモーター」の滑らかな回転と合わせて、洗い時の騒音を27dB、脱水時を37dBとした。同社ではこれを「低騒音No.1」としている。
節水機能としては、洗剤を溶かして高濃度の活性化洗剤液を生成し、繰り返して衣類に散布する「2Way循環ポンプ」を搭載した。これにより、高い洗浄力と洗濯時間の短縮が可能になり、9kgの衣類を約47分で洗浄、使用水量を「業界No.1」の75Lとしている。前モデルからは、回転羽根を新しくし、またポンプの回転数を減らしながら1分当たり10Lの循環水流を維持するなど、低騒音化と洗浄力の強化を図っている。
なお、風呂水の使用も可能。使用した場合は、水道水の使用量は20Lで、同社では「バケツ一杯分」としており、通常時と比べ約8割の節水が可能だという。
本体サイズは、735×600×1,050mm(幅×奥行き×高さ)。洗濯・脱水容量は9kgで、洗濯~乾燥時、および乾燥時は7kgまで。本体カラーはプラチナ、ショコラ、シャンパンの3色。
本製品から「風アイロン」機能を省いた下位機種も発売する。左開きの「BD-V2」の発売日は10月20日で、右開きの「BD-V2R」は12月中旬のい予定。店頭予想価格は25万円前後。本体カラーはライトグレー、ライトベージュの2色が用意される。
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日立では、乾燥時に湿気を出さない「2段水冷除湿式乾燥」が特徴。「抜群の低消費電力」だという
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洗剤を溶かして、繰り返して衣類に散布する機能を兼ねた「2Way循環ポンプ」
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洗い時の騒音を27dB、脱水時は37dBで、「低騒音No.1」を謳う
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日立アプライアンス株式会社 常務取締役 家電事業部長 石井吉太郎氏
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日立アプライアンス株式会社 常務取締役 家電事業部長 石井吉太郎氏は、本製品について「今月に入って、冷蔵庫、掃除機と発表してきたが、そのしめくくりとなる製品。これが実現するまでに約3年半もの間、技術陣が戦いを繰り広げた。長い制作期間を経て世に問う自信作」と評価した。また、昨年11月に発売した初代ビッグドラムのシェアについては「発表会にて高級タイプのドラム式で約2割と目指すと申し上げたが、結果的には18%だった。2割は若干届いていないが、ほぼ目標に達成したと思っている」としたうえで、今後については「洗濯乾燥機トータルのシェアで26%を目指す。また、ドラム式に限れば25%を目指したい」と語った。
同社では10月1日より、本製品とエアコン・冷蔵庫と合わせて、旭山動物園へのツアーが当たるキャンペーンを展開する予定だという。
■URL
日立アプライアンス株式会社
http://www.hitachi-ap.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/09/0926a.html
製品情報
http://kadenfan.hitachi.co.jp/wash/release/200709/
洗濯機関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/washer.htm
■ 関連記事
・ 日立、自社生産初のドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」を投入(2006/11/09)
( 本誌:正藤 慶一 )
2007/09/27 00:01
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