経済産業省は、家電量販店やクレジットカードで導入されているポイント制度のありかたについて、現時点において、法や省令などで規制する必要はないとの報告書をまとめた。
今回の報告書は、ヤマダ電機など家電量販店やクレジットカード会社、航空会社などポイントを発行する事業者の代表者と有識者27名から構成される「企業ポイント研究会」で検討された内容をまとめたもの。
本来、顧客囲い込みのためのツールだったポイント制度は、その役割を拡大し、異なるポイント間で交換したり、商品券との交換が可能になるなど、より現金に近い位置づけとなっている。報告によると、上位50社だけでも約6,000億円がポイント制度のための引当金として計上されており、市場規模も拡大傾向にある。このため、消費者保護の観点から、ルール作りの必要性などポイント制度のあり方について議論するため、経済産業省の主導で研究会が組織された。
報告書では「様々な企業が独自の戦略に基づき、(中略)ポイントを運営している」「ポイントは発展途上」などと現状をまとめた上で、「行政が一律の規制やルールを設けるまでの強い必要性は確認されなかった」と結論づけており、当面は現状を見守る姿勢だ。
企業が、急にポイント制度を変更したり、廃止することで消費者に不利益が生じる問題については「顧客満足を毀損するリスクを事業者が自ら判断」するため、「柔軟に事業判断を行い得る必要性がある」との意見が出ており、制度化は見送られた。また、サービス条件を変更する際の告知期限についても、一律の基準を課しないことを確認。各社が自主的に判断し、「可能な限りの保護」を確保するとの基本方針を定めた。
ポイント制度は、顧客の個人情報と購買行動を結びつけることにより成り立っているため、個人情報保護も検討課題の1つだった。研究会では、この点についても、個人情報保護法をはじめとする規制がすでにあることから、現状を維持するとしている。
ただし、石油機器や暖房機器のリコールなど、消費者の安全に関わる不具合が出た場合は、ポイント制度を通じて得た個人情報を、販売店からメーカーへ通知するなど、柔軟な運用が必要であるとの見解も示している。
一方、改善の余地がある点として挙げられているのが、企業が消費者に対して行なう、ポイント制度についての説明だ。「告知すべき内容については、表現が揃っているほうが望ましい」という意見が出ており、今後の検討課題となっている。
なお報告書では、事業者同士でガイドラインを設けるなど、自主的な取り組みについては「妨げるものではない」とし、当面は行政が介入せず、現状を見守る姿勢であることを強調している。
■URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
ニュースリリース
http://www.meti.go.jp/press/20070702005/20070702005.html
( 本誌:伊藤 大地 )
2007/07/03 18:48
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