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三洋、2期連続の最終赤字も、営業利益で予想を上回る

~AQUA、欧州向けエアコンが好調

三洋電機 佐野精一郎社長
 28日、三洋電機の2006年度連結決算が発表された。

 売上高は前年比7.6%減の2兆2,154億円、営業利益は前年のマイナス171億円の赤字から黒字転換し、495億円。また、継続事業税引前損失は2005年度のマイナス1,656億円から、マイナス130億円に、当期純損失はマイナス2,056億円からマイナス453億円になり、赤字幅を縮小した。

 2期連続の最終赤字となったものの、昨年11月に公表した見通しに対しては、営業利益で146億円増加しており、「昨年11月時点では、正直なところ考えていなかった数字。ここ一番で踏ん張った結果」(三洋電機・前田孝一副社長)とした。

 営業利益が予想を上回る実績となった理由として、米国のテレビ事業、欧州のエアコン事業が記録的に拡大したこと、第4四半期における二次電池および太陽電池、光ピックアップなどの電子部品が好調であったこと、構造改革による売上原価率の低減効果などをあげている。

 大阪市内で開催された決算説明会に出席した佐野精一郎社長は、会見の冒頭に、「過年度における会計処理の問題や、リチウムイオン電池の品質問題でご迷惑をおかけしている。経営の最重点課題として、取り組んでいく」と挨拶。「社長就任から2カ月を経過したが、社員の気持ちも落ち着きを取り戻し、失った自信も回復しつつある。前社長を中心に取り組んできた構造改革をやり遂げ、営業利益を中心に一定の成果を達成している。今後も、事業計画に対して全社一丸となって取り組み、復活のハードルを着実に乗り越え、再建、復活の道を確かなものにしたい」とした。


大阪での発表会の模様。東京会場ではスクリーン中継された
 部門別では、コンシューマ部門の売上高が、前年比11.8%減の1兆176億円、営業損失は前年のマイナス98億円から、マイナス16億円に回復したものの、赤字脱却はならなかった。

 携帯電話は、販売数量が増加したが、競争激化、価格下落により海外の売上高が前年並み、国内の売上高は減少したのが影響。さらに、海外向けデジタルカメラのOEM事業の不振、ブラウン管テレビの減少などが影響した。冷蔵庫およびエアコンの国内販売も伸び悩んだ。だが、北米を中心とした薄型テレビの需要増加、家庭向けおよび教育市場向け液晶プロジェクター事業の好調ぶり、メモリーポータブルナビゲーションシステムが加わったGORILLAシリーズがプラスに貢献したという。

 また、洗濯機は、オゾンによる衣類の除菌および消臭が可能なAQUAが、売上を増加させたという。

 白物家電に関する主要製品別の売上高は、冷蔵庫が前年比7.5%減の568億円、エアコンが3.2%減の524億円。AQUAが貢献した洗濯機は11.5%増の329億円となった。また、エアコンも海外事業だけを捉えると、43.2%増の272億円と大きく伸張している。

 なお、テレビの売上高は、4.7%減の1,050億円、デジタルカメラは31.8%減の1,265億円、電話機は9.7%減の3,402億円となっている。

 デジカメは黒字、携帯電話は在庫損を入れると若干の赤字。通常オペレーションベースでは黒字としており、2007年度は、「デジカメは3月以降、需要が上向いており、秋に向けた受注は順調。携帯電話も黒字確保を目指す」(前田副社長)とした。

 コマーシャル部門は、売上高が16.5%増の2,753億円。営業利益は93.8%増の144億円。

 スーパーマーケット向けのショーケースや、パッケージエアコンは、国内での需要低迷が影響したが、海外では中国におけるショーケースおよびパッケージエアコンが伸張。欧州でもパッケージエアコンが貢献した。また、医療事務のIT化の推進によって、医科システムや電子カルテなどの売り上げ増がプラスとなった。

 コンポーネント部門は、売上高が5.0%減の9,006億円、営業利益は481.2%増の676億円となった。


東京会場となった三洋電機東京ビル
 二次電池では、リチウムイオン電池へのシフトによって、ニカド電池、ニッケル水素電池の売上高が減少したものの、ノートPC向けのリチウムイオン電池需要の増大、eneloopを新たにアジア、欧米地域へと展開を広げたことが貢献。さらに、欧州での太陽電池事業の拡大、コンデンサーや振動モーターなどの旺盛な需要、光ピックアップの販売増加などの動きが見られた。

 NTTドコモ向けの携帯電話に搭載したリチウムイオン電池の回収に関しては、約20億円の費用を損失処理しているが、「受注減には影響していない。リチウムイオン電池は、設備投資も重点的に進めていく考えで、徳島の生産拠点の増強に加えて、大阪府貝塚市の工場にも新たにリチウムイオン電池の生産拠点を増設する」(佐野社長)とした。

 一方、来年度の通期見通しを発表した。

 連結売上高は、前年比0.7%増の2兆2,300億円、営業利益は9.2%減の450億円、税引前利益は451億円増の320億円の黒字転換、当期純利益も654億円増の200億円と、最終黒字を目指す。

 佐野社長は、「2005年から実施してきた構造改革により、コア事業を中心に収益力が改善していることがプラス要素。だが、二次電池の原材料高が利益を押し下げる要因となっているほか、減価償却費の見直しにより、税務的な影響もある」とした上で、「最大のポイントは、連結および単独における最終黒字の達成。当社は、社会的にしっかりとした顔があるとはいえない。環境・エナジーのトップメーカーとして、どういう顔を作っていくか。その点では、前社長のやり方を踏襲していくが、利益重視のなかで、コーポレートが主体的になり、戦略機能、財務機能、IT機能を持ち、方向性を打ち出していく点では、やり方が少し違うかもしれない。営業利益が出る事業体になってきたともいえ、2008年度からの方針を、9月末までにまとめる。事業方針や新中期経営計画をまとめる上で、聖域は一切ない」と語っている。

 2007年度のコンシューマ部門の売上高見通しは0.6%増の1兆162億円、コマーシャル部門は1.2%減の2,674億円、コンポーネント部門は1.8%増の8,912億円。

 主要コンシューマ製品では、冷蔵庫が前年比4.9%減の540億円、エアコンが0.6%減の521億円。洗濯機は4.2%減の315億円。テレビは、9.2%減の954億円、デジタルカメラは37.6%増の1,740億円、電話機は7.0%減の3,165億円と、デジタルカメラの大幅な回復以外は、マイナス成長になると見ている。





URL
  三洋電機
  http://www.sanyo.co.jp/
  2006年度決算について
  http://www.sanyo.co.jp/ir/library/financialstatements.html

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( 大河原 克行 )
2007/05/28 18:37

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