財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターは、ヒートポンプの普及促進のプロジェクトとして「ヒートポンプ・蓄熱 普及委員会」を発足。同委員会のメンバーとして、キャスターの生島ヒロシ、経済アナリストの森永卓郎さん、タレントの早見優さん、眞鍋かをりさんの4人を迎えると発表した。
同センターは、省エネルギー性能に優れたヒートポンプ・蓄熱システム技術の普及や向上を目指す、経済産業省直轄の公益法人。
ヒートポンプは、空気中の熱を採り込んで、冷却や加熱を行なう技術。燃焼を伴わないため、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)の削減に効果があり、電気料金の節約効果もあるという。エコキュート(CO2冷媒給湯器)や、エアコン、洗濯乾燥機、冷蔵庫や床暖房で導入されており、食器洗い乾燥機での使用も予定されている。今後、省エネにつながる技術として、さまざまな家電製品への応用が期待されている。
蓄熱システムは、夏は冷水を、冬は温水を夜間に蓄えて、昼間にその冷水や温水で冷暖房を行なうという技術。夜間の安価な電力を使用するためコストが安価で済み、特に夏期は、涼しい夜に冷水を生成するため省エネ効果も高いとされている。東京電力の「エコアイス」など、主にビルの空調として利用されている。
家庭用の空調・給湯設備がすべてヒートポンプに置き換わると、CO2の排出量を約1億トン削減できるという。これは、'97年の「京都議定書」で制定された温室効果ガスの排出削減目標である6,100トンを、大きく上回る数字となっている。
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ヒートポンプは、暖房時は低温の外気から熱を取り入れて、暖房や温水を作る仕組みになっている
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省エネ効率を表わす「COP」。例えば「COP 6」の場合は、電力量が1に対して、熱効率が6得られるというもの。空気中から5のエネルギーを得ているということになる
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蓄熱システムは、電力が安価な夜間のうちに温水・冷水を生成し、冷暖房に使用するというというもの
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家庭用の空調・給湯設備がすべてヒートポンプに置き換わると、CO2の排出量を約1億トン削減できる計算になる
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家電分野では、ヒートポンプ式の食洗機が開発中となっている
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発足発表会では、メンバーの生島ヒロシさん、森永卓郎さん、眞鍋かをりさんが出席。早見優さんは、スケジュールの都合で欠席となった。
生島ヒロシさんは、ヒートポンプ・蓄熱技術について「ひとりひとりが取り組んだら大きな力になる。これを世の中に広めてゆくのが僕らの使命」と語った。また、エコキュートについては「導入のコストはかかるかもしれないが、長い目で見れば、環境に優しく、毎月の電気料金も減ってくる。身近な生活の中で、無理をしないでも環境保全はできる」と話した。
森永卓郎さんは、「日本は石油などエネルギー資源がないが、エネルギーを節約をすることで、一種、自前のエネルギーを創出することになるのでは」と、経済の観点から自説を披露した。さらに「企業の株価を見ていると、環境問題にきちんと取り組んだ企業は、必ず高くなっている。日本の産業を活性化させていくためにも、社会全体で取り組んでいかなければならない」と述べた。
「最近は地球温暖化や環境問題などの番組に関わることが多い」という眞鍋かをりさんは、「みんなが焦り始めて、高いレベルで環境問題を意識してきていると思う」とコメント。ヒートポンプ・蓄熱システムについては「CO2の削減や、地球温暖化の防止に役立つ素晴らしい技術。こうした技術を導入することで、地球に貢献できるということを広めてゆきたい」と話した。
欠席した早見優さんは、ビデオレターにてコメントを発表。2人の子供を持つ母親の立場から「子供の未来を考えて、私たちひとりひとりができることを考えていかなければ」と語り、「省エネルギーの技術に感心を持っていただき、地球温暖化が防止できることを知っていただければ」とした。
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キャスターの生島ヒロシさん。森永さんとは早朝のラジオで、同じ時間に違う局で、それぞれの番組を持つ間柄。「朝の時間ではライバルですが、力を合わせてがんばっていきましょう」と話した
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経済アナリストの森永卓郎さん。大学2年までは理科系の学部に在籍していたといい、「電気を直接エネルギーに使うのはもったいない」とコメントした
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タレントの眞鍋かをりさん。「私の世代からは、小学生くらいの頃から地球温暖化の問題などの授業があった」ということで、小さい頃から地球環境に危機感を持っていたという
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タレントの早見優さんは、スケジュールの都合のため、ビデオレターでの出演となった
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財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 蓄熱専門委員会委員長の片倉百樹氏
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財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 蓄熱専門委員会委員長の片倉百樹氏は、ヒートポンプについて「これからの21世紀の世の中で、地球・エネルギー・環境を大切にしていこうという“貯金箱”」とし、委員会のメンバーとなる4人に対して「世の中のいろいろな場面で説明していただきたい」と語った。
同委員会は、31日に東京ビッグサイトで行なわれる「ENEX 2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展」にて、「技術で省エネ ヒートポンプ普及委員会 発足記念トークショー」を行なう。また、雑誌やネットでの対談など、同団体が定める7月の「蓄熱月間」に向けて、さまざまなPR活動を展開する。
■URL
財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
http://www.hptcj.or.jp/
ENEX2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展
http://www.enex.info/
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( 本誌:正藤 慶一 )
2007/01/29 18:28
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