中部電力株式会社は、ネオジウム系の永久磁石を用いた冷凍システムを開発したと発表した。
この技術は、同社と新エネルギー・産業技術総合開発機構、東京工業大学、北海道大学、九州大学が共同で研究開発したもの。磁場が強くなると発熱し、そこから磁場が弱くなると熱が奪われる現象を応用した。
研究グループは、2000年に世界で始めて磁場の変化を利用した冷凍システムを開発。2000年の時点では超電導マグネットを用いて20℃のものを0℃程度に下げるのが限界だったが、2003年には永久磁石でマイナス1℃まで低くすることに成功。今回、永久磁石をV字型に配置してより大きな磁力の変化を与えるようにしたほか、熱交換器を改良するなどした結果、2003年の約10倍となる冷凍能力540Wを実現したという。
また、熱交換器内に流す水の配管を太くし、水の循環に使うポンプの効率を上げるなどして、省エネルギー性も向上。「磁気冷凍システムとして世界最高」というCOP値1.8を記録したという。なお、現在販売されている最新型のエアコンは、COP値で6前後が一般的。この数値が高ければ高いほど、効率が良いことを意味する。
磁気を使った冷凍には、代替フロンを使わないため環境への影響が少ないほか、コンプレッサーを用いないため、動作に伴う音や振動が少ないことが利点という。
今後、エアコンや冷蔵庫などへの実用化を目指すとしている。
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システム概念図
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■URL
中部電力株式会社
http://www.chuden.co.jp/
ニュースリリース
http://www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2006/1107_1.html
( 本誌:伊藤 大地 )
2006/11/08 18:43
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