【特別企画】「家電大賞2016」炊飯器部門グランプリ2年連続受賞!!

食べて納得! 美味しさが日々の愉しみになる
象印 南部鉄器 極め羽釜の炊飯器「NW-AS10」

 かまどで炊いたような美味しいごはんを炊き上げるべく、各社しのぎを削って開発された高級炊飯器が家電量販店の売り場にズラリと並び賑わっている。

 そんな熾烈な競争の中にあって、2016年夏に発売された象印の「圧力IH炊飯ジャー 極め炊き NW-AS10」が、「家電 Watch」と学研のアイテム情報誌「GetNavi」が共同で開催した「家電大賞2016」炊飯器部門でグランプリを受賞した。同社の前モデルとなる「NP-WU10」も前年に受賞しており、象印が家電大賞の炊飯器部門グランプリを2年連続の受賞となる。

 象印が2015年に発売したNP-WU10を超える美味しさを実現するため新たに目指したのが、「今まで以上に炊きムラを抑え、弾力があり、甘みのあるごはん」。かまどの再現ではなく、かまど炊きごはん超えを目指すために、すでに評判の良かった羽釜の形状と構造だけにとどまらず、火力と圧力もイチから見直したという。

象印マホービン「圧力IH炊飯ジャー 極め炊き NW-AS10 (5.5合)」

奥行き59cmの調理台に載せた様子。大きさは30.5×40×24.5cm(幅×奥行×高さ)で、重さは約11.5㎏

独自の「プレミアム対流」が弾力と甘みを引き出す

 前モデルから、2016年発売のNW-AS10は何がどう変わったのだろうか?

●羽が大きくなり、釜底に角度がついた新しい内釜

 炊きムラを抑えるためにNW-AS10の内釜は改良されている。1つは羽が斜め下に伸びて、以前よりも大きくなった。大きくなった羽は、内釜とかまどヒーターの間にできる空間の蓋の役目となり、羽下の熱を閉じ込めるフォルムになった。本体への内釜の収まりも良い。

 もう1つは釜底のフォルムも変わった。釜底の平らな部分は前モデルより狭くなり、その周囲から釜側面に向かってせり上がるような角度がついた。平らな釜底付近からは垂直方向の対流が、角度のある釜底からは鍋側面に沿うような対流が生まれる。つまり、向きの異なる対流が立体的にぶつかり合って複雑な対流を起こし、炊きムラを抑えるという。

新しく設計された南部鉄器の羽釜。羽が大きくなり、釜底に角度がついた

内釜の羽が、かまどヒーター(ステンレス部)を覆い、熱を閉じ込める

 内釜の形状が変わっても、900余年の伝統ある岩手県は水沢の技法によって作られた「南部鉄器」であることに変わりはない。鋳込み(いこみ)、型開け(かたあけ)、切削(せっさく)されたものに、別工場での焼鈍(しょうどん)という工程を加え、丁寧に作り上げられる。匠のものづくりの技が細部まで宿る南部鉄器の内釜だ。

●最大1,450Wの高火力と1.5気圧の「追い加圧」

 新しくなった内釜に合わせて、羽下にあるかまどヒーターも強化された。

 かまどヒーターの熱を、大きくなった斜めの羽の下で受け止め閉じ込めることで、内釜の側面にできる空間で熱対流が大きく発生。側面からの熱ムラが以前よりも抑えられるようになった。

 NW-AS10の加熱方式をまとめると、大きなIHヒーター部は釜底全体、今回強化されたかまどヒーターと大きな羽で起こる熱対流が羽下の側面、さらに羽の上は胴ヒーター、上からはふたヒーターと、内釜を全方位から包み込むように加熱する。温度ムラが抑えられた釜内ではいっそう激しい熱対流が起こり、炊きムラを抑えるという。

内釜の羽の下全体をかまどヒーターが包む

 単に内釜を全方向から熱で包みこむだけでなく、火力も圧力もテコ入れされている。粒が立ち、ごはんの噛んだ時の弾力を生み出すのに大事なのは、予熱後一気に沸点に持っていく事(いわゆる中パッパ)。ダラダラと加熱すると、α化したデンプンが溶けて米が煮崩れを起こしてしまうからだ。

 一気に沸点に持っていくため、NW-AS10は最大1,450Wの高火力を投入。白米の「ふつう」メニューでは、沸点まで達したらそこから1.15気圧をかけ続けながら沸騰を維持し、甘み成分をたっぷりと引き出す。沸騰維持の最後に1.5気圧の「追い加圧」をかける。この追い加圧で、お米の表面にコーティングされた甘み成分を、お米の中へ染みこませるという。

 新たに設計された羽釜、かまどヒーター、中パッパの高火力、追い加圧が四位一体となったのが、象印が謳う「プレミアム対流」だ。お米を豪快にかき回し、芯まで甘く、弾力のあるふっくらとしたごはんを炊き上げるという。

 説明はここまで。いよいよ実際に使いながら炊いてみよう。ここからは、名称をNW-AS10から「南部鉄器 極め羽釜」と記す。

操作は簡単

 南部鉄器 極め羽釜は、細かな好みに応じた炊き方のメニューが豊富にあり、ディスプレイには、好み、目的に応じた20種類以上のメニューがズラリと並ぶ。さらに121通りの細かな好みが追求できる「わが家炊き」も選択できる。

 操作は極めて簡単だ。最初に「お米選択」ボタンを押して「白米」「無洗米」「玄米」のいずれかを選択。次に「メニュー選択」の矢印ボタンを押して、表示される炊き方を選び、中央にあるオレンジ色の「炊飯/再加熱」を押せば炊飯が開始する。

操作部の様子。メニューの選択肢は20種類以上あるが、ボタン数は少ない

 鉄製の内釜は約1.8㎏と重い。だが、羽とは別に指当たりの良いフチがあるので取り出しはラク。内面はフッ素で覆われており、内釜を使って洗米もできる。メニューに応じた水位目盛りもハッキリと読みやすい。

鉄製の内釜は約1.8㎏と重いが、手に取りやすい

メニューに応じた水位目盛りが見やすい。洗米もOK

炊飯中から、もう美味しい!

 まず、「白米・ふつう」メニューを試してみた。これは象印が考える美味しさの基準だという。使用したお米は近所のスーパーで手に入れた、熊本産のこしひかり。炊飯量は3合だ。

 炊飯ボタンを押すと、炊き上がりまでの目安の時間が59分と表示され、炊飯がスタートする。直後は予熱で吸水の時間にあてられるので、洗米してすぐにスイッチを入れられる。25分過ぎに「カタンッ」と鳴って、ディスプレイに「圧力」と表示され、炊飯がいよいよスタートする。圧力がかかっている時、蓋は自動でロックされるので安心だ。

 30分が過ぎた頃には、蒸気がシューシューと盛大に立ち上り、甘い香りが辺り一面に広がり始めた。この時、アレッ? と気づいた。その香りは普通の炊飯器から立ち上るそれとは違い、直火で炊いた時の香りを思い出した。この時点で、もうワクワクしてしまった。

 その後何度か、カタンッという音が響き、蒸気が盛大に立ち上ったり、収まったりを繰り返し、目安時間よりも5分早い54分でメロディーが鳴り、炊き上がった。蒸らしも完了しているので、炊き上がったらすぐに食べられる。

 その炊き上がったごはんを見て思わずニッコリ。お米は一粒一粒がキリッと粒立っており、ツヤッツヤ!ごはん粒はぷっくりと膨らみ、半透明で芯まで火が通っているのが見ただけでもわかる。甘く力強いごはんの香りが鼻をくすぐり、食べる前から美味しいに決っている、と確信する。

「白米・ふつう」で炊き上がった様子。お米がよく膨らみ、粒立ってツヤツヤだ

ごはん粒は半透明で、右側の炊飯前のお米よりも倍以上大きく、ぷっくり・みずみずしく膨らんでいる

 茶碗によそって一口パクリ! 確信が実感へと変わった瞬間だ。もっちりとした弾力があるのに、噛むとふっくらと柔らかい。粘りがあるのに、お米同士は口の中でサックリと解ける。そして、鼻から良い香りがふわりと抜け、ごはんの甘みが口の中にパーッと広がる。

甘くもっちりでふっくら。美味しい!

 「お、お、お、美味しい!」つい声が出てしまった。メニューの一発目でノックアウトを食らった気分だ。とても電気炊飯器で炊いたとは思えないほど、美味しいごはんが炊き上がった。

 続いて「白米・ふつう」のメニューのまま、最小炊飯量の0.5合と最大炊飯量の5.5合も試してみた。結果はお見事としか言いようがない。ご飯茶碗たった1膳分の少量でも、5人家族全員がおかわりしても足りる5.5合でも美味しく炊けた。5.5合でも、釜底のごはんが潰れていない。全員が、最後まで美味しくいただけるだろう。

左から、0.5、3、5.5合を炊飯した様子。茶碗1膳分からたっぷり美味しく炊けた

5.5合を炊いた釜底のごはん。粒がまったく潰れていない

0.5合炊いても、内蓋におねばが届いていた。豪快な対流が起こった証拠だろう

 それぞれの使用した消費電力量は0.5/3/5.5合の順に、0.17/0.21/0.28kwh。炊き上がるまでの時間は、54/54/56分だった。同じメニューでも、お米の量に応じて炊きわけているのがわかる。

同じお米、水、水加減のまま、食味も食感も変えられる!

 南部鉄器 極め羽釜は、ごはんのもちもち度が「しゃっきり」「ややしゃっきり」「ふつう」「ややもちもち」「もちもち」の5段階に炊きわけられるのも特徴的だ。すでに「ふつう」は味わったので、もちもち度の弱い「しゃっきり」と、もちもち度が強い「もちもち」を食べ比べた。

左から、しゃっきり、ふつう、もちもちメニューで炊いた様子。見ただけでもお米の表情が違うのがわかる

 困ったことに、いずれも美味しい。

 「しゃっきり」は、口に含んだ瞬間からフワーッと甘さが広がる。粘りは「ふつう」よりも少なめで、口の中で軽くホロリと解ける。それでいて水っぽさは無くふっくら。噛むほどに米の甘さが広がる。

しゃっきりは、口に含んだ瞬間からフワーッと甘さが拡がった。水っぽさは無いのにふっくらだ

 「もちもち」は、白米なのにまるでもち米のような強い弾力が楽しめる。「ふつう」よりも、お米にパンッという張りがあり、粒も大きく見える。ごはんのツヤ感も甘みも強い。個人的に、硬めのもちもちが好きなので、おかずがなくてもパクパクと一膳食べきってしまったほどだ。

もちもちは、もち米のような強い弾力が楽しめる。粒が大きく張りがあり、ツヤも甘みも強い

 驚きなのが、「ふつう」で3合を炊いた時と同じ米、水、水加減なのに、食味、食感がガラリとかわる。しかもそれぞれがいちいち美味しい。

 消費電力量は、しゃっきり/ふつう/もちもちの順に0.21/0.21/0.22kwhと大きく変わらない。だが、炊飯時間は43/54/63分と変わる。もちもちになるほど、時間をかけて炊いている。

 もちもち度を変えるだけでも十分美味しいのに、南部鉄器 極め羽釜には銘柄に関わらず、好みの食感を調節できる「わが家炊き」メニューもある。かたさ(かため← →やわらかめ)と粘りの強さ(もちもち← →しゃっきり)を各11段階に分けた組み合わせは、なんと121通り。より好みの食感が追求できる。

 121通りと聞くと難しそうな印象だが、設定は簡単だ。最初に食べたお米の食感が少し違うなと思ったら「わが家炊き」メニューを選び、その「感想」を入力していく流れとなる。「わが家炊き選択」ボタンを押すとディスプレイは感想入力画面に切り替わり、矢印ボタンを押して1段ずつ選択していく。

各11段階のごはんの「かたさ」と「粘りの強さ」が簡単な操作で組み合わせ、記憶できる。どんなお米でも、好みの食感が引き出せる

 再び「わが家炊き」ボタンを押すと、新たな組み合わせが「わが家炊き」メニューに記憶され、次に炊いた時に反映される。炊き上がりが満足ならばそのまま、変えたければ新たに感想を入力する。一段ずつ徐々に追い込んで行く方法だ。

 初期設定時の食味、食感、消費電力量、炊飯時間は、「ふつう」と全く同じだった。「わが家炊き選択」ボタンを長押しすれば、工場出荷時の設定に簡単に戻せるので、お米の銘柄を変えた時に便利だろう。

美味しさをさらに引き出す豊富なメニュー

 南部鉄器 極め羽釜には、その他のメニューも充実している。その中から、「お弁当」「玄米」メニューの2つを紹介しよう。お弁当メニューは、前章と同じく3合で、水、水加減は全く変えずに炊いた。

●冷めても美味しい「お弁当」メニュー

 実用的だと感じたのは、冷めても固くなりにくい「お弁当」メニューだ。1.5気圧の高圧力を生かし、お米の中に水分をぎゅっと閉じ込め、みずみずしさを保つという。

 炊きあがりまで59分(0.23kwh)で、「もちもち」よりも僅かに炊飯時間が短い。炊きあがりは、フワリと甘い香りが鼻にぬけ、もっちりとした噛みごたえがありとても美味しい。そんな炊きたてを弁当箱に200g詰め、15分ほど粗熱をとってから蓋をして常温で放置した。

1.5気圧の高圧力を生かしてお米の中に一層水分を閉じ込めたぎゅっと閉じ込めた「お弁当」メニューで炊き上がった様子。このまま食べても美味しい

 6時間後に蓋を開くと、お米はツヤツヤと半透明なまま。完全に冷めているだけで、見た目では蓋をする前と違いがわからないほどだ。食べてみると、冷めているのにもっちりと粘りがあり、噛むほどに甘さが広がり美味しい。

炊きたてを弁当箱に詰めて15分粗熱を取って(上)から蓋をした。6時間後でも米粒は半透明。見ただけでは違いがわからない

 一方、「ふつう」も同じ条件で食べ比べてみた。味は悪くないのだが、ふつうはポロポロと固い。心なしか水っぽい感じもする。迷うことなくお弁当メニューに軍配があがる。

 その美味しさは、高級な仕出し弁当にも劣らないものと言って過言ではない。食べ終えて200gでは足らず、おかわりが欲しいとさえ思ったほどだ。このメニューで炊いたごはんなら、お弁当の時間がきっと待ち遠しくなるだろう。

家庭で作ったお弁当のごはんが、高級仕出し弁当と遜色ないほど美味しい。お弁当が楽しみになるだろう

●ふっくら、もっちりで、冷めても美味しい!「玄米」メニュー

 玄米メニューは白米のメニューと違い、1.5気圧の圧力をかけ続け、112度の高温で炊き上げる。玄米3合を炊飯したところ、71分(0.32kwh)で炊き上がった。

玄米も見るからにふっくらツヤツヤに炊き上がった

玄米なのにとてもやわらかく、もっちりとして食べやすく、食感も良い。玄米が苦手な人にもぜひ試して欲しい美味しさだ

 いただいてみるとみずみずしく、もっちりやわらかく、とても食べやすい。パサパサとはまるで無縁な食感だ。お米らしい粘りもあり、芯までしっかり火が通っており美味しい。ぬか層は本来かたいはずなのに、軽く噛んだだけでプチッと簡単に弾けるような食感も楽しい。噛むほどに甘さがじわりと広がる。

 玄米は精米に比べて吸水が遅いので、普通なら一晩は浸水させる必要がある。だが、南部鉄器 極め羽釜ならば洗米してすぐに炊飯しても芯までやわらか。おにぎりを作って6時間後にいただいたが、冷めてもしっとりもっちりでとても美味しかった。

 浸水に時間がかかる面倒さ、固くパサパサした食感から、これまでは玄米を敬遠しがちだった。だが、南部鉄器 極め羽釜ならばハナシは別。美味しいごはんのバリエーションがもう1つ増えるだろう。

 ここまで使って、便利だと感じるのは、内蓋についた水滴がごはんに落ちにくい点だ。内蓋のパッキンの下方は高さがあり、水滴をしっかりキャッチしてくれる。小さな工夫かもしれないが、このような心遣いは嬉しい。

内蓋についた水滴はごはんに落ちて来ない。背の高いパッキンがしっかり受け止めてくれるのが嬉しい

 また、炊飯をスタートすると炊き上がり予定時間がカウントダウンされるので、料理を始めるタイミングも図りやすい。メニューによって炊飯時間が大きく変わるので、スタート直後なら「とりけし」ボタンを押してメニュー変更も迷いなくできる。

メニューに応じて炊き上がり予定時間がハッキリと表示される。料理を始めるタイミングが図りやすい

使いやすさも配慮

 他に類を見ない特徴として、ボタンを押すと、蓋が自動で閉まる機能も挙げられる。手がふさがっている時にはとても便利だ。

業界初(2016年7月28日発表による)のスマートクローズ。蓋のボタンを押すと、自動で蓋が閉まる。手がふさがっている時に便利な機能だ

 毎回の手入れも簡単。2枚の内蓋はワンタッチで外せる。以前のモデルまであった蒸気口セットは省略され、洗うものは内釜と、2枚の内蓋の3点だけ。内釜周りのフレームはステンレス製で、拭き取りも簡単。手入れがグンとラクになった。

2枚の内蓋は簡単に外せる

普段洗うのは、内釜と2枚の内蓋だけでOK

納得の家電大賞炊飯器部門 2年連続受賞!

 白米・玄米と合わせて5㎏以上を様々なメニューで炊いたが、玄米以外、銘柄を変えていないにもかかわらず、メニューを変えるたびに、新しい食味・食感のごはんが炊き上がる。どれも試食する度に美味しくて、驚きと共に幸せも噛みしめてしまった。

 というのも、炊き上がる度に「この炊き方は、美味い刺身と食べたい!」「これなら肉料理」「これはむしろシンプルに、漬物だけで味わってみたい」……と、食への欲望が次々とかきたてられたからだ。

主菜に合わせて炊き方も変えれば、食事がますます愉しくなる

 南部鉄器の新しいフォルムの内釜に、大火力と高圧力が揃う、象印の「南部鉄器 極め羽釜」だからこそ得られる愉しさだろう。「家電大賞 炊飯器部門 2年連続受賞」というのも、こんな点からも大いに納得がいく。美味しいごはんを中心に、日々の食事がますます愉しくなることうけあいだ。