やじうまミニレビュー

アウベルクラフト「手作り納豆キット(温度計付き)」

~自宅で糸引き納豆が作れる手作りキット
by すずまり


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


スーパーの棚から納豆が消えて……

アウベルクラフト「手作り納豆キット(温度計付き)」

 震災後、スーパーの棚から納豆が忽然と消えて驚いた。当初は「買い占めるにしては、保存食ではないし、あまりにピンポイント過ぎる」と不思議だったのだが、工場が被災されたこと、計画停電が発酵に打撃を与えていたこと、あの独特の容器が不足したなどという話を後から知った。

 毎日必ず食べていたわけではないが、あって当たり前だと思っていたものがなくなると、余計食べたくなってしまう。「食パンみたいに自宅で作れたらいいのにね~」なんて冗談半分に言っていたら、可能だというではないか。それが今回紹介するアウベルクラフトの「手作り納豆キット(温度計付き)」である。そもそも納豆がどのようにしてできあがるかを、まともに考えたことがなかったのだが、いい機会だと思ってオーダーしてみた。




メーカーアウベルクラフト
製品名手作り納豆キット(温度計付き)
希望小売価格3,400円
購入場所直販サイト
購入価格3,400円


 届いた箱の中には、スチロール製の発酵ボックス、色の違う2種類のマジックテープ(白20cm分、茶色9cm分)、シール、国産大豆スズマル80gを2袋、ミニ温度計1本、棒温度計1本、ゴムプッシュ1つ、使い捨てカイロ2つ、納豆菌1箱、記録表2枚、説明書が入っていた。発酵ボックスのサイズは300×200×110mm(幅×奥行き×高さ)で、それほど場所を取らない。

 1回に使用するのは国産大豆80g1袋で、これで3~4人分の納豆ができるのだという。さっそく納豆作りに挑戦である。(横30×縦20×高さ11cm)

箱以外のパッケージに入っていたものは、左から、大豆、シール、納豆菌、ミニ温度計、使い捨てカイロ、棒温度計、マジックテープ2種大豆はスズマルという品種を使う。納豆用の大豆らしいスチロール製の発酵ボックスの中は空っぽ

納豆完成までの所要時間は45時間+熟成数日!

冷蔵庫に記録表を貼り付けて、逐一メモする。結局忘れてしまったが……

 説明書によれば、納豆作りは、「大豆を洗う→冷蔵庫で24時間水に浸す→圧力鍋で1時間蒸す→大豆に納豆菌液をまぶす→容器に入れる→発酵ボックスで18~20時間発酵させる→3~5日冷蔵庫で熟成させる」という流れになる。

 さらっと文字にしてしまうとあっけないが、その時間のかかりように驚いた。納豆完成までの所要時間は約45時間。発酵が終わればすぐに食べられるのだが、おいしさのためには、さらに数日冷蔵庫で寝かすほうがよい。つまり、おいしい納豆ができるまでには、トータルで1週間程度かかるのである。

 そのため、本体には記録表がついている。それぞれ必要な時間を守らなければ、おいしい納豆はできない。だから、食べたい日や時間にあわせて、逆算してあらかじめ予定を作成してから作業に取りかからねばならないのである。これは大変なことになってきた(苦笑)

 この時点で「スーパーで食べたいときにサッと買えるって、ほんとうにありがたいことなのね」と感じた次第だ。

 なお、「セット一式」に加えて、作業には、鍋に入るザル、または皿とキッチンペーパー、圧力鍋(通常の鍋でもよい)、発酵用の容器(納豆が入ったスチロール製の容器の代わり。タッパでもよい)、納豆菌液作り用のカップ、納豆菌を混ぜるためのスプーン、消毒用の熱湯が必要になる。

まずは発酵ボックスを作る

 何はさておき、まずは発酵ボックスを完成させる作業だ。付属のシールを発酵ボックスに指示通り貼り付ける。蓋の留め具としてマジックテープを使用するのだが、剥がれやすいため、その下地なのだ。マジックテープは、白は8等分、茶色は紐状に4等分に切り取り、シールを貼った場所に貼り付ける。白いマジックテープの上に茶色のマジックテープを貼り付ければ完成だ。

 蓋の右上に外気温が分かるミニ温度計を貼り付け、蓋の中央には穴を開けて、ゴムプッシュを通した棒温度計を差し込む。これで発酵ボックス内の温度が分かる仕組みだ。

 以上で発酵ボックス作りは完了。意外と簡単だ。一度作ってしまえば、壊れるまで何度でも再利用できそうである。

マジックテープをカットするシールを発酵ボックスに貼り付けるカットした白いマジックテープをシールの上から貼り、茶色のマジックテープで蓋を留める
ミニ温度計を貼り付ける蓋の中央に棒温度計を差し込み、発酵ボックス完成

いよいよ納豆作り

 大豆を傷つけないように洗ったら、小ぶりのボウルに約500mlの水とともに入れ、そのまま冷蔵庫で24時間浸す。この浸し時間は、水温によって変わる。水温10℃で23~24時間、25℃以上では7~8時間と大きく違う。おいしい納豆を作るためには、雑菌の繁殖を抑え、低温で浸けるのがよいのだという。冷蔵庫は温度を一定に保てるため、水温管理もしやすいというわけだ。

 水につける前と後とでは、大豆の重さが2.3~2.4倍になるまでという条件があったが、浸す前に計量し忘れてしまったので、浸し後の大豆の断面で具合を判断することにした。約24時間後、大豆を包丁でカットしてみたところ、合格ラインである“大豆の中心に隙間がない状態”になっており、無事浸しは完了した。

水にいれたばかりの大豆24時間後の大豆。膨らんでいるのが分かるカットしてみると、十分水を吸っていた

 次は圧力鍋を使って、軽く指で押してつぶれる程度まで大豆を蒸し上げる「蒸煮(じょうしゃ)」という作業だ。圧力鍋に水を1cm程度入れ、台となる中ぶたを入れたら、その上にキッチンペーパーを敷いた器を入れて、水を切った大豆を入れた。本来は金ザルをを使うようだが、今回はなかったため、キッチンペーパーで代用した。

 加圧時間は60分である。60分後、火を止めて5分蒸らしたら、蒸気を抜いて中をチェックした。大豆がふんわり柔らかくなっていたのを確認できた。圧力鍋がないときは、約9時間ほど煮込んでもよいようだ。

圧力鍋に水を入れ、内蓋をしく皿にキッチンペーパーを敷き、水を切った大豆を入れる

 蒸煮中に「納豆菌液」を用意する。熱湯をかけて消毒した小さめの容器に、冷ました滅菌水を約10ml入れる。筆者は冷ました熱湯を10ml用いた。ここに納豆菌を付属の計量スプーンで山盛り1杯入れ、よく混ぜるのだ。あとはホコリが入らないようラップをしておく。

 蒸煮が終わったら、大豆を圧力鍋から出さずに、熱いうちに作っておいた納豆菌液をふりかけ、熱湯をかけて消毒したスプーンでまんべんなく混ぜた。熱いうちに行なうと、納豆菌がより活発になるのだそうだ。

粉末の納豆素中には、納豆素3g入りの小瓶と、専用のスプーンが入っている納豆菌液を用意する。一度煮沸した水に、納豆素をスプーンに山盛り1杯入れてよく混ぜておく
ゴミが入らぬよう、ラップしておく蒸煮60分後の大豆は、指で簡単に潰れるほど柔らかい納豆菌液を全体にふりかけ、優しくよく混ぜる

 納豆菌液をまぶし終わったら、豆が3段以上重ならないよう気をつけながら、熱湯消毒済みの発酵用の容器に、大豆を移し入れた。その容器にキッチンペーパーをかぶせ、さらにその上に蓋を軽く乗せた状態で発酵ボックスに配置した。きっちり蓋をしないのは、酸素を送り込むためらしい。

 ここで付属の使い捨てカイロ登場。なんとこれが発酵用の熱源なのだ。さすがに工場生産で使い捨てカイロを使うわけにはいかないだろうが、家庭用の手作り納豆ならこれで十分のようだ。この使い捨てカイロを発酵ボックスの中に入れて蓋をし、マジックテープで固定する。これでいよいよ発酵開始だ。発酵時間は19時間だ。

 発酵ボックス内の温度は、37度~40℃が適温。しかし、当初なかなか37℃まで到達せず、33~34℃止まりで悩んだ。よく見ると蓋が微妙に開いていた。マジックテープの力に負けて、シールごと剥がれてしまうのだ。これではいかんとガムテープで固定してみたが、やはり剥がれてしまう。そこで発酵ボックスの上からタオルを巻き、さらに箱の底に使い捨てミニカイロを2個置いて保温に努めた。熱が伝わる保証はないが、念のためである。するとなんとか37℃に到達。後半は40℃近くまで上昇した。

容器に大豆を敷き詰める。このとき大豆が3段以上重ならないようにする。酸素が渡らなくなるかららしい発酵ボックスの中に蓋をのせた容器と、使い捨てカイロをセット。使い捨てカイロは箱の中央がベストだという油断していると、このようにシールが剥がれて蓋が浮きあがり、温度が上がらなくなるので要注意
ガムテープで固定するも、剥がれてしまうことが判明全体をタオルで覆い、箱の底(外側)にミニカイロを2つ入れてみたようやく温度が40℃に

 説明書には、「発酵の終盤はボックス内が48~50℃くらいまで上がりますが、これは納豆菌の発酵熱によるもので問題はありません。むしろこの状態になったほうが良い結果になります」とあった。しかし見たところそこまで上昇した気配はなく、そのまま19時間を迎えてしまった。

納豆ができてる!

 19時間後、容器を開けてみると豆の表面が白くなっていた。どうやら無事発酵できたらしい。ニオイを嗅いでみると、独特の生臭さを感じた。できたての納豆の匂いを知らないのだが、食べられそうな匂いであり、雑菌が繁殖した結果ではないのは分かった。確認をしたらすぐ容器の蓋をしっかりしめて、冷蔵庫へ移した。

発酵19時間後の大豆の様子。白い膜で覆われている。つまり、これができたての納豆である蓋をして冷蔵庫でさらに熟成させる

 5日後、いよいよ実食である。かき混ぜる前に匂いを確認すると、できたてよりも抑えられている。無臭とはいえないが、かなりライトだ。箸でかき混ぜてみたところ、見事に糸をひいてくれた。ただし持続性はあまりなく、市販の納豆に見られるような、延々と伸びて切れないといった、しつこい粘りもなかった。もしかすると、温度上昇が足りなかったせいで、発酵が十分とはいえない状態だったのかもしれない。

 食べてみると、これが実にさっぱりしているので驚いた。説明書には、発酵が不十分だと糸引きが弱く、煮豆の味が残るとあるが、味はしっかり納豆の味になっている。ただ、臭みが少ないとでもいおうか。

 シンプルに刻んだネギと醤油を加えてご飯にのせていただいたが、だし入りの醤油や辛子など要らないおいしさだった。粘りがやや弱いところが、むしろ糸切れのよさにつながって食べやすく、食後の食器も洗いやすいというメリットにもなった。

熟成後の納豆。匂いはほとんどない混ぜてみた。糸は引くが、泡立つほどではない醤油とネギでシンプルに。とてもおいしい!

冷蔵庫でさらに5日間熟成させた納豆を混ぜてみた。若干発酵が足りない感じもするが、立派な納豆である

子供から大人まで楽しめ、実用性の高い経験に

 スチロールの箱と使い捨てカイロで、納豆ができてしまったのには驚いた。粉末の納豆菌は残っているので、納豆用の大豆さえ手に入ればまだまだ納豆は作れるわけだ。そうこうしているうちに、スーパーの棚の納豆も十分供給され始めたので、ムキになって自作する必要性は薄れたが、洗いやすい、あっさりとした粘りは捨てがたく、好みの納豆を作り出すというチャレンジをするのも面白いかもしれない。

 非常にユニークな経験なので、納豆が好きな方にはぜひチャレンジしていただきたいと思う。また、お子さんがいるご家庭なら、自由研究にもなりそうだ。

 発酵ボックスのマジックテープが、割と剥がれやすい点は要注意だ。気づいたら蓋が開いていたということがないよう、ヒモなどで縛ってしまってもいいかもしれない。

 後から気づいたのだが、説明書を読むのに必死になっているうちに、記録表の存在をすっかり忘れていた。発酵は温度管理さえすれば、記録表にメモをとらなくても納豆は完成するので、あまり神経質になる必要はなさそうだ。しかし、発酵させすぎるとアンモニア臭を発するということなので、真夜中に発酵終了ということがないよう、時間の計画は立てた方が良いだろう。

 納豆ができるまでを体験したことで、スーパーの納豆のありがたさがよく分かるようになった。再び陳列棚から納豆が消えるようなことは、二度と起きて欲しくないものだ。




2011年 5月 10日   00:00