世界最大の燃料電池展「FC EXPO 2009 ~第5回 国際水素・燃料電池展~」が、25日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は2月27日までの3日間。入場料は5千円だが、Web上の事前登録で無料招待券が入手できる。。家電Watchでは、会場にて展示された家庭用の燃料電池など、一般消費者向けの製品を中心に紹介する。
● 燃料電池とリチウムイオン電池を併用する、“ハイブリッド”な充電器とスピーカー
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「ハイブリッド燃料電池」システムを採用した、携帯型充電器。テストモデルのため、製品化については未定
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ソニーのブースでは、燃料電池とリチウムイオン電池(Li-ion)を備えた“ハイブリッド燃料電池”の充電器2機種とスピーカーを公開した。いずれも試作品で、製品化は未定。
ハイブリッド燃料電池は、メタノールから電気を取り出す燃料電池に加えて、リチウムイオン電池を搭載したシステム。例えば充電器に電子機器を接続した場合、燃料電池で発電した電力の余剰電力を、リチウムイオン電池に充電する。接続機器への出力が高くなった場合は、燃料電池とリチウムイオン電池の双方で電力を供給する。また、リチウムイオン電池のみで電力を供給するモードも用意されている。
接続機器の電力需要とリチウムイオン電池の残量によって、運転モードは自動で切り替わる。これにより、余剰電力が有効利用でき、また高出力の機器への電力供給も期待できる。
充電器は、持ち運びを考慮したコンパクトな「携帯型」と、室内に置いて使用する「インテリア型」の2パターンが用意された。「携帯型」では、現行の携帯電話を1週間分、「インテリア型」では1カ月分が充電できるという。インテリア形ではUSBポートを2つ備えており、2台同時の供給も可能だという。
スピーカーは、燃料電池で電力をすべてまかっており、電源ケーブルが不要のコードレス仕様となる。使用中はLEDの光で燃料電池の液体(メタノール)がカラフルに照らされる。映画を週1回鑑賞した場合、1回の燃料補充で1年間視聴できるという。
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「携帯型」には、USBポートが1つ用意されている。ここから携帯電話などのモバイル機器に給電できる
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室内で使用する「インテリア型充電器」は、メタノールが携帯型よりも多い。USBポートも2つ備わっている
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スピーカー。電源はハイブリッド燃料電池から供給される。コンセントが不要なので、設置場所の自由度が高い
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燃料電池とリチウムイオン電池を併用
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使用イメージのグラフ。使用状況に合わせてそれぞれの電池の単独で動かすなど、自動で運転を切り替える
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携帯型充電器を腰に装着したイメージ画像。なお、会場では製品を手に取ることはできない
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● ブドウ糖で発電する「バイオ電池」は、小型化と効率化を実現
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ブドウ糖で発電する「バイオ電池」
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このほか、ブドウ糖の分解作用で発電する「バイオ電池」について、従来よりもコンパクト化した新モデルを公開した。
ソニーのバイオ電池は、ブドウ糖の水溶液を酵素で分解し、その際に発生する電子によって電力を取り出すという仕組み。環境負荷が低く、同社では「安全な未来のエネルギーデバイス」としている。なおブドウ糖は、甘みの元として清涼飲料水に含まれている。
ソニーでは2007年の8月にすでにこの技術を発表しているが、今回展示されたバイオ電池は、発電ユニットの体積を半分に縮小。また、水溶液1cc当たりの出力は2倍の2.5mWに向上している。
会場では、バイオ電池を使ってデジタルオーディオプレーヤーを再生したり、コーラをバイオ電池で電気分解し、小さなプロペラを回す実演が行なわれた。
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2007年に発表された燃料電池と比べると、1ユニット当たりの体積を半分にし、さらに発電効率がアップしている
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バイオ電池の仕組み。環境負荷が低く、また温和な条件下で大容量の電気エネルギーが取り出せる特徴がある
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ブドウ糖は清涼飲料水などで甘み成分として使用される
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コーラから電力を取り出してプロペラを回す実演も行なわれた
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■URL
ソニー
http://www.sony.co.jp/
FC EXPO 2009 ~第5回 [国際]水素・燃料電池展~
http://www.fcexpo.jp/2009_jp/index.phtml
■ 関連記事
・ ソニー、ブドウ糖で発電するバイオ電池を開発(2007/08/23)
・ 第31回:燃料電池とは(2009/01/09)
( 本誌:正藤 慶一 )
2009/02/25 16:28
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