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コクヨ、CO2削減を目指す“エコオフィス”を開設

~センサー技術で省エネ。業務効率を上げるためのLEDも

「エコライブオフィス品川」内の庭園
 コクヨ株式会社は、CO2排出量の削減を目指す実験オフィス「エコライブオフィス品川」を、20日に東京・品川の同社ショールーム5階に開設すると発表した。正式オープンに先立って、18日、報道関係者向けに同オフィス内を公開した。

 「エコライブオフィス品川」は、オフィスでの快適性よりも、省エネルギーなど環境負荷の低減を重視した同社のオフィス。人を感知して運転のON/OFFを切替える空調やLED照明、自然換気・採光といった設備を採り入れている。このオフィスを同社の社員が実際に使い、自らの環境への意識を高めながら、CO2の削減を目指す。1年分のCO2削減目標は、現状の135tから41.5%減となる79tの予定。

 オフィスではまた、CO2削減とともに作業の創造性・生産性を高める実験も行なっており、プレゼンやミーティングなど、業務に最適なライトアップを行なう「知的照明システム」や、仕事中の眠気を覚まし集中するための照明といった設備も用意されている。


JR品川駅港南口から徒歩ですぐの位置にあるコクヨの東京ショールーム。この5階にエコライブオフィスが開設された エコライブオフィスの全景図。ワークスペースは春夏秋冬のイメージのもと振り分けられている 1年間のCO2排出量は、従来の135tから41.5%減となる79tと予想

コクヨ株式会社 黒田章裕代表取締役社長
 コクヨ株式会社の黒田章裕代表取締役社長は、エコライブオフィス品川を開設した理由として「オフィスのCO2の発生量は非常に増えており、工場や輸送などと比べると、これまであまり(CO2削減に)手が打たれずにいた」ことを挙げている。実際に、環境省の2006年の調査では、日本のオフィスから排出されるCO2の量は、1990年時点とくらべて39.5%増加している。

 「環境に対する意識を持つことは、企業が世界経済で生きていくためには必要欠くべからざるもの。『トイレを出たら電気を消しましょう』といった張り紙を貼ったり、『早く帰って家で仕事しましょう』と上から言い聞かせるような“やらされる”感ではいけない。自ら能動的に変えていくことが重要」(黒田代表取締役)

 本オフィスの開設費用は7億円。同社の営業部とオフィス家具部門の開発部が勤務する。





 では、同オフィスの省エネ設備と作業の創造性・生産性を高める取り組みを写真で紹介しよう。


人感センサーで無駄な電力を防ぐLED照明・空調――オフィス

オフィス内のようす。天井の照明はすべてLEDとなっている 照明のアップ写真。照度は基本的には700lxとなっている。なお、中央の穴は空調の通風口 人感センサー。人が不在の場合は照明を200lxに落とし、同時に空調を抑える

パソコンデスク周囲の照度は500lxと低め。そのためデスク中央部に円形のLEDデスクライトが設けられている。間接光がある場所では300lxとさらに照度は低くなる こちらは照度が2,000lxととにかく明るい「サーカディアンパネル」。オフィスを照らす照明ではなく、出勤直後や昼食後の眠気を覚まし、仕事に集中するための明かりだ。パナソニック電工が実験・検証を行なっているという

自然光・自然換気を取り入れる仕組み

オフィス中央には植樹スペースも設けられている。この周囲も作業スペースとなっている 左の写真では木の上部に照明設備が備わっているように見えるが、実は採光スペースになっている 室温が上がったためか、窓が自動的に開き、外の空気を取り入れている

電力の“見える化”で省エネを促進

オフィスの一部のデスクでは、個人/グループの消費電力量を測定する「電力計測付タップ」が設けられている 測定データをリアルタイムで計測・表示する「エネルギー遠隔監視システム」も採用

照度センサーで業務に最適の照明を提供「知的照明システム」

「知的照明システム」は、机の上の照度センサーと連動し、あらかじめ指定した照度に明るさをコントロールする照明 「知的照明システム」の図解。照度センサーと照明システムを連動させることで、業務に最適な照明環境が作れる。なお、このシステムは同志社大学の三木光範氏が開発した 写真のように、色温度も変えられる

さまざまな業務に適した照度がすでにプリセットされている。ミーティングやプレゼン、ディスカッションなど 写真は「プレゼンテーション」のようす。画面に近い照明が若干弱めの設定になっている ライト部のアップ写真。LEDは愛知県のミヤチ株式会社というところが製作したという

ノートパソコン用の電源を備えた充電式デスク

植樹スペース周囲でのパソコン作業には、写真のような電源付きデスクを使用する デスクの電池がなくなった場合は、ベースユニットに接続して充電する ベースユニットにはコネクタがあり、ここをデスクと接続する

四季の変化を感じるワークスペース――ガーデン

屋外ガーデンも設けられているが、休憩所ではなくワークスペース。快適な春や秋だけでなく、夏や冬もここで働くことで、「エコワーカー」への意識変革を促す狙いがあるという 取材時も仕事を続けるスタッフの姿が見られた。「年間1/3はガーデンで働く方針」だという 作業用の電源もテーブル下に備わっている

テラスには太陽光でeneloopを充電する「eneloop solar charger」も用意されていた 雨の日でも利用できるよう、雨よけシートが設けられているスペースもある ガーデンには四季を感じさせる植物も植えられている。写真は秋ということで「すすき」

オフィスとガーデンの間には、壁面に100インチの映像を映し出す「スタジオ」がある スタジオの脇には、パートナー企業や産学協同プロジェクトを迎える「プロジェクトルーム」が設けられる。写真は家具にスギの間伐材を利用した部屋「杉」 レセプションルームはガーデンとの一体感を高めたデザイン。実際に通り抜けできる

その他、オフィス内にあった気になったモノ

足元にあるペダルをこぐことで、携帯電話などが充電できる「メタボ対策人力発電ステーション」。仕事をしながらでも使えるとのこと。気分転換にも良さそうだ 折り紙のようにプレートを折って組み立てる家具「origami」。家具を自ら作って楽しめるほか、余分なパーツを減らすという狙いもある。いずれの製品も現在のところ発売されていない オフィス内部にはいたるところに植物が植えられており、仕事中も無意識のうちにエコが心がけられるようになっている




URL
  コクヨ株式会社
  http://www.kokuyo.co.jp/
  エコライブオフィス品川 ニュースリリース
  http://www.kokuyo.co.jp/press/news/20081118-888.html
  知的照明システム ニュースリリース
  http://www.kokuyo.co.jp/press/news/20081118-889.html

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第13回:LEDとは(2008/08/06)


( 本誌:正藤 慶一 )
2008/11/19 00:06

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