松下電器産業は、7月1日、松下ホームアプライアンス社のエコアイディア工場びわ湖(草津工場)において、家庭用燃料電池の出荷式を行なった。
来年4月から東京ガスを通じて発売される「ENE FARM」の2008年モデルの量産第1号機を出荷したもの。
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松下電器が7月から出荷する燃料電池コージェネレーションシステム
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出荷式に参加した松下電器の幹部
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経済産業省、東京ガスなどの関係者
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松下電器の大坪文雄社長
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松下電器の大坪文雄社長は、「松下電器は、中期経営計画GP3において、収益を伴った着実な成長とともに、すべての事業活動で環境負荷を削減することを掲げ、成長戦略と環境戦略を両輪に位置づけ取り組んでいる。とくにこれまでは、商品の省エネに取り組んできたが、これからは創エネという領域も踏み出していく考えであり、エコアイディアを実践していく上で家庭用燃料電池は象徴的な製品。また、当社の創エネ第1号商品として、新たな領域に踏み出したものになり、燃料電池は21世紀の発電装置の本命になると確信している。次期中期経営計画においては、具体的なビジネスとして、指標を打ち出すことができるだろう」などとした。
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テープカットに臨む(左から)、松下ホームアプライアンス社の榎坂純二社長、松下電器・大坪文雄社長、経済産業省資源エネルギー庁燃料電池推進室・遠藤健太郎室長、東京ガス 鳥原 光憲代表取締役社長、東京ガス杉山 昌樹取締役常務執行役員
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松下電器では、1999年から燃料電池の開発に着手しており、2003年からは、「燃料電池事業化プロジェクト」による全社プロジェクト体制とし、松下ホームアプライアンス社、くらし環境開発センター、生産革新本部、半導体社、松下電工、松下テクニカルサービスが連動した開発、生産体制を確立している。
2004年に出荷した第1号製品は首相官邸に設置。また、2005年度からの大規模実証実験の開始にあわせて、これまでに2005年度に74台、2006年度に88台。2007年度には123台の家庭用燃料電池を設置した実績を持つ。
2008年度からは、実証実験が新たなフェーズへと突入するとともに、2009年度からの補助金事業の開始にあわせて、高効率化を実現した新たな製品を開発するとともに、今年度から、本社R&D部門と大阪府守口市の生産拠点に分散していた体制を、エコアイディア工場びわ湖に集約。それにあわせて、6月からエコアイディア工場びわ湖で量産を開始していた。
今回の第1号機の出荷を皮切りに、2010年度には約1万台強、2015年度には20万台の年間出荷規模を目指すという。
「家庭用燃料電池は、松下グループの最重点商品として、リソースを重点配分していく。松下の重点事業という意味では、1,000億円規模の売上げは必要。当初から、日本だけでなく、海外に発展させることを視野に入れており、早期に数千億円規模にまで拡大させたい」(大坪社長)とした。
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経済産業省資源エネルギー庁燃料電池推進室・遠藤健太郎室長
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出荷式には、松下電器の関係者のほか、経済産業省資源エネルギー庁燃料電池推進室・遠藤健太郎室長、東京ガスの鳥原光憲社長などが来賓として招かれた。
経済産業省の遠藤健太郎室長は、「燃料電池は、エネルギーの多様化、地球温暖化への対策、新たな事業創出として期待できるものである。2050年にCO2排出量を半減するクールアース50で打ち出された21の技術の1つにもなっている。松下電器が世界に先駆けて家庭用燃料電池の量産化工場を作ったことは、大変心強く思う。信頼性向上、低コスト、耐久性向上といった課題もあるが、政府としても基礎研究をはじめとする技術分野での協力や、来年度から導入支援策を開始することで支援していく」などとした。
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東京ガスの鳥原光憲社長
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また、東京ガスの鳥原光憲社長は、「家庭用燃料電池は、地球温暖化対策の切り札であり、業界としても待望の商品である。今回の普及モデルの出荷は大きな節目を迎えるとともに、新たな一歩を踏み出したものと考えている。燃料電池の価値を幅広く訴求し、実感してもらうことが必要。当社が持つ販売、施工、メンテナンスのネットワークを、燃料電池に素早く展開し、環境の世紀に相応しい商品として広げることを使命としていきたい。日本から世界に向けて、燃料電池が広がっていくことを夢見たい」とした。
出荷にあたり、東京ガスの鳥原社長から松下電器の大坪社長に、記念品が授与された。
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松下ホームアプライアンス社の榎坂純二社長
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量産出荷した家庭用燃料電池について、松下ホームアプライアンス社の榎坂純二社長は、「2008年モデルは、発電効率は39%という世界最高レベルの高い発電効率性を持ち、連続4万時間、起動停止4,000回という耐久性、多重安全機能の搭載による安全性を実現した商品。大規模実証実験を通じて経験を積み、改善、改良を加え、住宅設備として利用できる耐久性、安全性を実現した。自信を持って、家庭用燃料電池市場に参入できる。2008年度を燃料電池元年といえるように、これからも努力していく。2014~2015年にかけては、納入価格として60万円程度の価格を目指したい。また、2011年以降、欧州、中国などにも展開してきたい」とした。
2008年度から2015年度にかけて、200億円の開発投資を計画しているという。なお、設備投資に関しては未定とした。
なお、出荷式では、松下電器の社員で構成される松鼓会による和太鼓演奏や、社員有志による三三七拍子が行なわれ、出荷を祝った。
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三三七拍子で出荷を祝う
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松下グループの家庭用燃料電池の関係者が一堂に介した
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工場から運び出されフォークリフトでトラックに積み込まれる第1号機
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■URL
松下電器産業株式会社
http://panasonic.co.jp/
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( 大河原 克行 )
2008/07/02 13:07
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