三洋電機株式会社は、同社が開催するデザインコンペ「SANYO International Design Competition 2007」の受賞式を、5日、東京・港区にて開催した。
「SANYO International Design Competition 2007」は、三洋電機のブランドビジョン「Think GAIA」に基づいた生活プロダクトをテーマとしたデザインコンペ。同社の3つのキーテクノロジー「水の技術」「空気の技術」「エネルギーの技術」を参考に、「今までの常識にとらわれない新しい視点から、地球といのちが共に喜び合える生活プロダクト」のイメージ案を募集した。応募は2007年2月から5月まで受け付け、24カ国、計230の作品が寄せられたという。
最も優れた作品に贈られる「グランプリ」には、行徳達之さんと金築尚絵さんの共作による、乳児用のベッドの上に吊り下げる玩具「メリー」を模した空気清浄機「air go round」が選ばれた。これは、本体上部の除菌フィルターを搭載した空気清浄ユニットが、部屋の空気を除菌し、その下の何本ものファイバーから、除菌・脱臭効果のある電解水のミスト(霧)を、メリーの回転とともに発するというもの。吊り下げタイプのほか、フロアスタンドタイプなど、さまざまなバリエーションでも使用しうるという。
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グランプリを受賞した「air go round」。表彰式では受賞作品はすべてパネルのみで、実物は公開されなかった
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メリー上部の空気清浄ユニットから、除菌された空気が噴き出る
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何本もあるファイバーの1本1本から、除菌・脱臭効果のある電解水のミスト(霧)が出る
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フィルターによる除菌と、ミストによる除菌・脱臭という2段構造で空気清浄を行なう
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吊り下げ型のほか、スタンドタイプも可能だという
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「air go round」のデザインを務めた行徳達之さん(左)と金築尚絵さん(右)。賞金200万円を獲得した
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受賞理由について、審査員を務めるプロダクトデザイナーの岩崎一郎氏は「しっかりと機能が考えられており、機能の表現が詩的で美しい。目に見えない空気や水を形にすることで、今までの製品とは違う魅力が表現できている」と評価した。同じく審査員であるインダストリアルデザイナーの柴田文江氏は「技術を人間のフィーリングに訴えかけてくれるデザイン。『Think GAIA』は非常に大きなテーマだが、それをメリーの型に落とし込むことで、その全体的なデザインを気付くことができる」と称えた。
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審査員のプロダクトデザイナー・岩崎一郎氏
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同じく審査員の、インダストリアルデザイナー・柴田文江氏。象印の家電シリーズ「ZUTTO」のデザイナーでもある
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次点の優秀賞に選ばれたのは、蚊帳をイメージした個人用のクリーンルーム「kaya」、水道水を除菌・消臭効果のある電解水に変える充電式の装置「Water Electrolyzer」、有機ELで発光し、視界の悪い雨の日でも人の存在を知らせる傘「Luminous Umbrella」、オゾンで空気中のバクテリアを除菌する小型の空気清浄機「nature pot」の4点。このうち「nature pot」は、韓国の学生からの応募作品だという。
このほか、技術的・事業でのユニークな提案に贈られる「技術アイデア賞」には、ハンガーラックに空気清浄機能を内蔵した「Air plat」、ニッケル水素充電池「eneloop」の充電器を公衆の場に設けた「Share loop」が選ばれた。このほか、グランプリの「air go round」と、優秀賞の「Water Electrolyzer」も、技術アイデア賞を同時受賞している。なお、本コンペで受賞した作品の製品化についてはすべて「検討中」とのこと。
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「WATER ELECTROLYZER」は、水道水を電解水に変えるユニット。リチウムイオン電池を搭載しており、充電すればどこでも使用できるという
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パーソナルクリーンルーム「Kaya」。喘息や花粉症、病気の療養中の人など、アレルギーやウイルスに苦しむ人向けのものだという
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傘が光ることで人が居ることを知らせる傘「Luminous Umbrella」。光源には有機ELを使用
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オゾンを使った小型の空気清浄機「nature pot」は、韓国の学生からの応募作品
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ハンガーのように洋服が掛けられる空気清浄機「Air plat」。4色の光を放って運転モードを知らせる機能が評価された
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三洋のニッケル水素充電池「eneloop」が道端で充電できる「Share loop」
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三洋電機株式会社 ブランド本部 アドバンストデザインセンター 所長 清水正人氏
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三洋電機株式会社 ブランド本部 アドバンストデザインセンター 所長 清水正人氏は、今回のデザインコンペの意義について「三洋電機は改革の中にあり、2年前からデザインの改革に着手していた。今後も改革の手を休めることなく次のステップにつなげてゆくが、そのための新しいものの見方を(大賞を受賞した)2人から提案していただけた」とコメントした。また、10月25日に三洋電機の「eneloop universe products」がグッドデザイン大賞を受賞したことについて触れ、「一筋の光明が見えてきた。今後も三洋のブランドイメージを高める改革を進めてゆきたい」と展望を述べた。
■URL
三洋電機株式会社
http://www.sanyo.co.jp/
SANYO International Design Competition 2007
http://compe.designtope.net/sanyo2007/
■ 関連記事
・ 「eneloop universe products」が2007年度グッドデザイン大賞を受賞(2007/10/26)
( 本誌:正藤 慶一 )
2007/11/05 17:20
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