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フィリップスライティングのテオ・ファン・デュルセンCEO
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フィリップスライティングの最高経営責任者(CEO)である、テオ・ファン・デュルセン(Theo van Deursen)氏が来日。日本における戦略および地球温暖化や省エネに対する取り組みについて発表した。
デュルセンCEOは、「日本は世界的に見ても、最も効率の悪い照明の使い方をしている国である」とし、「世界の全電力消費に占める照明機器の割合は約19%。これが欧州地区に限定すると14%となっている。欧州では、エネルギー効率が高いものを利用しており、これが低い数字につながっている。しかし、日本では、照明機器の占める割合が20%以上に達しているのではないだろうか。日本では街頭で使っているものの70%が水銀灯となっており、大変効率の悪い使い方といえる。日本は、CO2排出量は2010年までに6%削減を目指しているが、2005年にはCO2排出量は8%増えている状況だ。これを新たなテクノロジーによって、改善していく必要があるだろう」と語る。

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フィリップス エレクトロニクス ジャパンの照明機器事業・横田親弘部長
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同社では、独自の省電力技術を採用することで、照明器具における大幅な電力消費の削減を実現。今後、これらの技術を搭載した製品を、日本市場に積極的に導入するという。
フィリップス エレクトロニクス ジャパンの照明機器事業・横田親弘部長は、「水銀灯は125Wの消費電力であるのに対して、来年にも日本市場に投入する当社のコスモポリスは、60Wで同じ明るさを実現する。57%の省エネが可能であり、109kgものCO2を削減できる。しかも、消すといった手間を不要にして、消費電力を削減できるメリットは大きい」と語る。同社では、店舗でのハロゲンランプを同社のCDMに変えるだけで80%の省電力化が、また、一般照明でも85%の省電力化が可能だとする。
これまで日本市場においては、ランプおよび安定器を中心に、一般照明、特殊照明、自動車、デジタルプロジェクションの4つの分野に特化した事業展開を行ってきた。「日本における事業は、光源としてのランプにフォーカスしてきた。リアプロジェクションテレビのランプや、日焼けサロンなどで採用している肌を焼くためのランプ、あるいは、店舗やショールームの照明の光源などで実績がある。自動車のキセノンランプでは70%のシェアを持つ」(横田部長)という。
だが、一般家庭向けやオフィス向けの製品を投入していなかったこともあり、全世界に占める日本市場の売り上げ構成比は3%以下に留まっていた。デュルセンCEOは、「今後、日本での事業拡大に取り組む。日本市場において年率20%以上の成長を期待したい」と語る。
同社では、TL5型蛍光ランプ搭載のトラフ型照明器具「PenturaII(ペンチューラ2)」を今年6月から投入。さらに、9月には同じくTL5型蛍光ランプ搭載のウルトラスリム照明器具「Adreno II(アドレノ2)」を発売することで、一般照明市場への参入を図る。
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日本市場に投入するTL5型蛍光ランプ搭載のトラフ型照明器具
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TL5型蛍光ランプの特徴
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蛍光ランプには電球色(3000k)、白色(4000k)、昼白色(5000k)、昼光色(6500k)の4種類を用意した。TL5型蛍光ランプは、専用インバータとの組み合わせによって、100lm/Wの高効率を実現。さらに、従来製品に比べて約1.6倍となる2万時間の長寿命を達成している。そのほか、使用1万時間時に、光束維持率が約90%となり、明るさを維持することが可能。また、直径16mmのスリムなガラス管を採用していることから、これを搭載する器具もコンパクト設計が可能となる。
同社では、これをグリーンフラッグシップ製品と位置づけ、日本のグリーン購入法適合商品としても登録。電材総合商社のチャネルを活用することで、住宅やオフィス、倉庫などを対象に、新築にる新規需要、およびリフォームの際の置き換え需要を中心に、初年度20万台の販売を目標としている。
「日本で普及している蛍光ランプに比べると価格は1~2割高い。しかし、照明器具全体としてみた場合には、それほど価格差がないと考えている。さらに、初期の費用は少し高くても大幅な省電力化ができるメリットは大きい。寿命も2万時間としているが、これは当社の実績から算出したものであり、今後、年を追うごとにデータが蓄積され、さらに発表できる数字は伸びることになる。6万時間までは大丈夫だろう。この点でも、他社には負けない。まずは、電材チャネルを活用して、日本の一般市場に展開し、将来的には、蛍光灯のラインアップの強化にあわせて、量販店チャネルにも展開していきたい」(横田部長)としている。
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デュルセンCEOが右手に持つのが日本で一般的に普及しているランプ
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TL5は細い分、材料や梱包材が少なく環境にも配慮しているという
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全世界70都市の街頭で採用されるコスモポリス
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一方、デュルセンCEOは、今後、LEDによる照明事業を本格展開する方針を示した。フィリップスライティングでは、2003年度以降、成長戦略を打ち出し、「新興国市場」、「ソリッドステートライティング(LED)市場」、「エネルギー節約」という3つの分野にフォーカスした戦略を推進してきた。
2004年から2006年にかけては売上高で5%の成長を維持。2007年度の第1四半期および第2四半期は7%増の成長を維持しているという。LED製品に関しては、今年度中に新製品を投入する計画を明らかにし、「将来的には、蛍光灯を置き換えていくことになるだろう。さらに、その先には、有機LEDによる照明へと進化する。この分野には、積極的な投資を行っていく」とした。
しかし、その一方で、「LEDの拡大には、かなりの時間がかかると考えている。現行の蛍光灯のソケットが、市場からすぐに無くなることはないだろう。価格の面でも、TL5に追いつくには10年以上の時間がかかる。LEDの良さが理解されるには、時間をかける必要がある」として、長期的な視点で取り組んでいく姿勢を見せた。
また、エネルギー節約については、「当社では、コスモポリスと呼ぶ街頭システムを投入しているが、これを全世界70都市が導入する計画だ。ロンドンでは、50%ものエネルギー消費の削減を実現し、さらに、コスモポリスを導入した道路の近辺では、従来よりも明るくなり、安全性が増したことで不動産価格が上昇した。電気を消すとか、照明の数を減らすということをせずに、当社の製品を利用するという、誰にでもできる簡単なことで、電力消費を40%も削減できる可能性がある。これを全世界で実行すれば、年間1000億ユーロの削減に匹敵し、CO2排出量では5億トンの削減、15億ユーロもの石油や、530の発電所を削減できる計算になる。今後も、エネルギー効率を高めるソリューションを提供していく」とした。
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売上高の内訳。ランプは43%を占める。また、アジア地域の売り上げが急成長している
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日本におけるこれまでの実績。特定分野において高いシェアを持っている
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フィリップスの照明器具を利用すると、これだけの削減が可能だという
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今後の日本における製品計画
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蛍光灯シリーズにおいての今後の製品計画
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また、「バッキンガム宮殿のライトアップはフィリップスライティングが担当しており、1時間45セントしかかからない」としたほか、「欧州では、まだ75%のオフィスで効率の悪い照明を使っている。これは日本のオフィスと同じぐらい、悪い水準だ。欧州と日本のオフィスはまだ改善の余地がある」などとした。
「当社は、照明機器のトップメーカーとして、人々を理解し、照明機器で生活を豊かにすることを目指す。そして、照明市場において、明確なリーダーとして、先導役を果たす」と、デュルセンCEOは強調する。
将来的には、スイッチひとつで店舗内の季節感を照明によって演出する仕組みや、機器を洋服にタッチし、それを壁に向けると、自動的に洋服の色にあわせたライティングに照明が変化するといったソリューションの提供などにも取り組む姿勢を見せた。
■URL
株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン
http://www.philips.co.jp/index.html
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