機械や装置の先端要素技術に関する情報交流を目的とするイベント「テクノフロンティア2007」が4月18日、幕張メッセにて開幕した。会期は20日までの3日間で、入場料は1,000円。本誌では、大阪産業大学、慶應義塾大学が公開するリチウムイオン電池を動力源とする電気自動車を紹介する。
● 大阪産業大学、シルクロードを横断した電気自動車の試乗イベント
|
大阪産業大学の電気自動車「Spirit OF OSU」号。トヨタのカリーナがベースモデル
|
大阪産業大学のEVプロジェクトは、トヨタのカリーナをモデルとした、乗用車タイプの電気自動車「Spirit of OSU」号を公開している。電源はリチウムイオン電池を採用しており、車のボンネット・トランク内に備えられている。また、補助用バッテリーとして、車体の表面に太陽電池を搭載する。満充電時の走行距離は250km以上。充電時間は4~5時間程度で、専用の充電器をコンセントにつないで充電する。最高速度は120km。
「Spirit of OSU」号は、四国で行なわれたラリーレースにて、四国一周(約800km)を2日半かけて完走するという成果を残している。さらに、2005年には、中国の西安から敦煌までの、いわゆる“シルクロード”を、8日間で走破している。
会場では、この電気自動車に試乗し、自分で運転することができる。
また、燃料電池、太陽電池を動力源とした電気自動車の展示も行なっている。両車とも、リチウムイオン電池を補助用のバッテリーとして使用している。
|
|
|
車体後部
|
トランクには、リチウムイオン電池が詰められている
|
ボンネット部の中にもリチウムイオン電池が入っている
|
|
|
補助電源として、太陽電池も使用する
|
「Spirit OF OSU」号のスペック
|
|
|
|
燃料電池式の自動車「FCV-3」も公開されている
|
水素を使って電気化学反応を起こすことで、電力をつくり出す
|
FCV-3のスペック表。リチウムイオン電池も使用している
|
|
|
|
太陽エネルギーを動力とするソーラーカーのカバー部分
|
シャーシ部分。この上にカバーをかぶせる
|
こちらもリチウムイオン電池を備えている。補助的な電源として使用するほか、太陽電池経由でも充電できる
|
● 慶應義塾大学、スポーツカーとセダンの融合を図った電気自動車「Eliica」
|
Eliica(エリーカ)
|
慶應義塾大学のEliicaプロジェクトは、複数の企業と共同で開発している電気自動車「Eliica(エリーカ)」のモデルを公開している。
Eliicaは、「高い運動性能を持つスポーツカー」と、「4人が乗れる高級セダン」を兼ね備えた“クロスオーバービークル”を謳った電気自動車。車体の床下にリチウムイオン電池などの主要な部品を埋め込んだ“集積台車”と呼ばれる構造が特徴となっている。
また、通常よりも小振りのタイヤを、前後左右に2カ所、計8カ所に設置することで、室内スペースを広くしたり、限界速度を高めるなどの効果があるという。
Eliicaには「記録挑戦車」と「公道実演車」の2種類があり、会場では公道実演車が展示されている。満電時の走行距離は300km、充電時間は30分。最高速度は180km。
残念ながら試乗はできないが、会場では記録挑戦車がテストコースで走行する様子が映像で紹介されている。
|
|
|
リチウムイオン電池は、車体床下に埋め込まれている
|
電池を始め、主要な部品を床下にまとめた“集積台車”を採用。車内空間を広く、軽量化するなどの効果がある
|
Eliicaの性能表。記録挑戦車と公道実験車の2種類で研究が進められている
|
■URL
テクノフロンティア2007
http://www.jma.or.jp/TF/
大阪産業大学
http://www.osaka-sandai.ac.jp/
EV 大阪産業大学 電気自動車プロジェクト
http://ev.osaka-sandai.ac.jp/
慶應義塾大学
http://www.keio.ac.jp/
Eliica 慶應義塾大学 電気自動車研究室
http://www.eliica.com/
■ 関連記事
・ オートイーブイ、家庭用コンセントで充電できる電気自動車(2007/01/25)
( 本誌:正藤 慶一 )
2007/04/18 17:20
- ページの先頭へ-
|