家電レビュー

SwitchBotスマートロック「プロ」何が違うの? 二重ロックの自宅に導入

「SwitchBot ロック Pro」2台を使って、家のカギ開け閉めをラクにできる? 自宅に導入してみた

玄関ドアに後付けできるスマートロック「SwitchBot ロック」を1年半ほど使い続けてきた筆者宅。わざわざカギを取り出して開け閉めする必要がなく、専用キーパッドなどとの組み合わせで快適にスマートロック生活を満喫してきたのだけれど、そこに「スマートロックの最高峰」をうたう「SwitchBot ロック Pro(プロ)」が新登場。いてもたってもいられずアップグレードした。

玄関扉は鍵(サムターン)が2個ある二重ロックなので、2個とも一気に交換だ。従来製品のSwitchBot ロックは価格が11,980円、対する「Pro」は15,980円。差額は4,000円(2個だと8,000円)だが、これが果たして大きいのか小さいのか、いろいろと確かめてみた。

「SwitchBot ロック」ってどんな製品?

「SwitchBot ロック Pro」

SwitchBot ロックシリーズは、玄関扉などのドアのサムターンをスマートフォンなどから操作できるようにするスマートロック。既存のドアを改造したり、工事したりすることなく、ドアのサムターンに後付けして鍵の開け閉めをスマート化できる製品だ。

最近は住設メーカー各社も一部フラッグシップモデルの玄関扉にデバイスを内蔵する形でスマート化してきているけれど、エントリーモデルや集合住宅の各戸の玄関扉はスマート化されていないことが多い。新築時にスマート化していなければ、SwitchBot ロックのような後付けのスマートロック製品を導入するのが最もお手軽ということになる。

こういった、よくある玄関扉の鍵をスマート化できる

今ではそんな後付けスマートロックの種類も増えてきているなかで、SwitchBot ロックシリーズは解施錠(カギの開け閉め)方法の多彩さが強みの1つだ。スマートフォンアプリからの操作だけでなく、NFCタグにスマートフォンをかざすことによる解施錠に対応し、解施錠用のApple Watchアプリも用意されている。

多彩な解施錠方法がSwitchBot ロックシリーズの強み

別売またはセットモデルの各種オプション製品を組み合わせることで、さらに解施錠方法の選択肢が増える。外出先からの施錠状態の確認や操作、離れたところからのボタン操作に加え、パスコード入力、指紋認証、NFCによる解施錠が可能。スマートスピーカー/ディスプレイからもコントロールできる。もちろん、取り付け後も今まで通りのカギ(物理鍵)で解施錠することが可能だ。

また、スマートロック本体の調整機構などによって、あらゆるドアやサムターンの形状に合わせて取り付けられる対応範囲の広さも兼ね備える。万一対応できない形状だったとしてもメーカーに連絡することで、独自形状のアタッチメントを3Dプリンターで作成してくれるほどのサポートの手厚さも魅力だ。

Proで変わったところ1:質感、重さ、大きさがアップ

メタルボディで質感がアップしたSwitchBot ロック Pro

従来の「SwitchBot ロック」と新しい「SwitchBot ロック Pro」とでは、やはり外観の違いが目立つ。従来製品のプラスチックボディから、Proではアルミボディとなって質感がアップした。ダイヤル形状になったノブのデザインと相まって高級感が漂う。

Proはプレートの接着面積が広がっている

アルミ素材を採用したためか、後述する電池の違いによるものか、重量は大幅にアップしている。従来製品が253g、Proは450gで、倍増とはいかないまでもそれに近い増量だ。取り付けは両面テープでこれまでと変わらないので、重量が増えた分、接着面積が大きくなっている。

外出中にもし脱落するようなことがあれば家に入れなくなるので、取り付け作業は確実に行ないたいところ。そういうこともあって、重量が増えたProでは一段と対策を強めている。付属品に「固定補強テープ」が加わり、取り付けたスマートロックをこれで長時間(説明書では48時間)押さえつけることで、より頑丈に接着できるのだ。

Proの付属品一式
取り付け後48時間はこのように「固定補強テープ」を使って強く押さえ続け、接着力を強められる

重量だけでなく本体サイズも大きくなった。特に厚みは10mmあまりアップしたことで扉から飛び出る量も増えているので、場合によっては出入りする際に身体や荷物を引っ掛ける可能性が上がるかもしれない。慣れるまではその厚みを少し気にしながら開閉した方が良さそうだ。

Pro(左)と従来製品(右)
Proは10mm余り分厚くなっている

ちなみに従来製品からProへ置き換える人向けに、接着するプレート部分を流用できるようにするアダプターもProに同梱されている。従来製品を完全に取り外すとき、両面テープをきれいにはがすのは難しいので、そこだけ残してスマートロック本体だけを差し替えられるようにするものだ。

ただ、重量が増えたProにすることで接着力が不足する可能性もゼロではない。なので、今回はいったんきれいにはがして、改めてProを取り付けている。

従来製品のプレートを流用するためのアダプター
ドアの開閉を認識するためのマグネットは、おそらく位置変更が必要。これは以前のマグネット位置
Proではダイヤル部分に近づける

Proで変わったところ2:アタッチメント改善で正確に固定、電池が長寿命に

構造的な違いは、サムターンに取り付けるときのアタッチメント部分がわかりやすい。従来製品はサムターンの厚みに応じて差し替えられる3種類のアタッチメントが標準で付属していたが、Proは1種類のみ。代わりに、サムターンを挟む部分の幅を無段階で調整できるようになった。

Proのアタッチメント(左)と従来製品のアタッチメント(右)
アタッチメント側面のねじをドライバーで回すことで挟む部分の幅を変えられる

これにはいろいろなメリットがあって、まずサムターンとアタッチメントとの隙間を最小限にして“遊び”を減らせるのが1つ。遊びがあるということは、スマートロック側でのアタッチメントの回転量とサムターンの回転量が一致しないことがある、ということでもある。従来製品だと、この遊びによる微妙なズレによって取り付け位置や解施錠設定の調整が難しくなる場合があった。

Proでは遊びを減らせる分、そうした位置決めや設定調整の難しさが軽減されている。そのうえ、アタッチメントをいったん取り外して、それをサムターンに半ば固定した状態にしてからスマートロック本体の取り付け位置を試行錯誤できるので、正確に位置決めしやすい。

サムターンに合わせてアタッチメントを調整
適切な位置や高さを探っていく

強力な粘着テープで貼り付けるのが基本ということもあって、作業内容自体は難しくない。が、仮留めがしにくいので取り付けはある意味“一発勝負”だ。従来製品では多少のズレを覚悟の上、エイヤッで取り付けていたが、Proではサムターンの中心位置を慎重に探りながら固定できるようになった。

サムターンとアタッチメントの中心軸を正確に合わせられると、解施錠の操作でサムターンを回転させるときに、スマートロックや鍵にかかる負担を少なくでき、動きがスムーズになる。物理鍵で解施錠しようとするときの“重さ”にも直結するので、この取り付け作業を正確にできる構造の変更はすごくありがたい。

接着するプレートの高さも調整
念のためマスキングテープで良さげな位置をマークし、最後に両面テープの保護シートをはがし、接着した
固定補強テープで2個のProを押さえつけて、48時間放置すれば設置完了

もう1つの違いは電池。従来製品は古いカメラなどに使われることがあったリチウム電池2本だったところ、Proはより安価で入手しやすい単三形電池4本で動作するようになった。稼働時間は6カ月から9カ月へと延長し、その分電池交換の頻度も少なくなるため、コスト的なメリットは一段とアップしている。

マグネットで固定された本体前側のフタを取り外せば電池にアクセスできる
単三形電池を4本使用。安価で入手しやすいのがありがたい

Proで変わったところ3:プッシュで簡単に解施錠

Proにアップグレードしても、実は「スマートロックとしてできること」にはほとんど違いはない。たとえば解施錠の方法は従来製品もProも変わらず、「SwitchBot 指紋認証パッド」などのオプション製品もそのまま流用できる。

「SwitchBot 指紋認証パッド」

このキーパッドを使えばパスコード(数字)入力や指紋認証、NFCカードによる解錠が可能になり、スマートフォンアプリを操作するよりも圧倒的に楽になる。家族全員が解錠できるようにしたいときも、パスコードを共有したり、指紋を登録したりすればいいだけなので、物理鍵を余計に増やして紛失リスクを高めることもない。

何も持たず、素早くカギの開け閉めができる指紋認証が筆者としてはお気に入り
あらかじめ登録しておいたNFCカード(キーパッドに1枚付属)での解錠にも対応する

今回2個のSwitchBot ロックをProに置き換えたが、2つのサムターンに取り付けたとき、両方のスマートロックを連動させられるという点でも変わらず便利。連動設定すると、一方のスマートロックを操作したときにもう一方が同じように動作して解施錠するし、アプリでは一度の操作で両方の解施錠を実行してくれる。2つをまるで1つのスマートロックとして扱えるのだ。

SwitchBotアプリ上で2つのスマートロックを連動するよう設定
設定後はあたかも1つのスマートロックのように扱える

ただ、使い勝手が変わる良い部分が1つある。ダイヤルを回すだけでなく、プッシュすることでも解施錠できるという点だ。ダイヤルを回す操作も、スムーズに動くこともあってこれはこれで味があるし、気持ち良さがあったりもするのだけれど、ワンプッシュだけで解施錠してくれるのはとにかく楽。

ダイヤル中央をワンプッシュするだけ。自動でダイヤルが回転して解錠/施錠してくれる

似たようなプッシュ操作による解施錠は、オプション製品の「SwitchBot リモートボタン」を組み合わせることでも実現できるが、Proはダイヤル(ボタン)が大きい分、ヒジなどでも押しやすいので、両手が荷物でふさがっているときでも手間取ることなく解施錠できる利点がある。

SwitchBot ロック Proは買いなのか?

従来製品よりもクイックに思える動きと、鋭くなったモーター回転音になんとなく“上位機種の威厳”みたいなものを感じさせるPro。あいにく筆者宅の玄関扉はグレード低めの製品なうえに薄汚れつつあり、Proのデザインとのバランスがイマイチ取れなかった気もするのだが、特にグレードの高い玄関扉の家庭では見た目のフィット感という意味でも満足度は高くなるのではないだろうか。

従来製品とProの1台あたりの差額は4,000円で、極端に値段が変わるわけではない。初めてスマートロックを導入するのであれば、少々値が張ってもデザインや性能の面で優れるSwitchBot ロック Proが間違いなくおすすめできる製品だ。

一方で、筆者のようにすでに従来製品を使っていてProにアップグレードするのは、機能がほとんど変わらないので慎重になっても仕方がない。デザイン性が高まり、スムーズさが増して、電池が長持ちする、といったあたりをどれだけ価値として感じられるかによって意見は分かれそうだ。

今はスマートロック本体だけで運用しているということであれば、Proに置き換えるより「SwitchBot 指紋認証パッド」や「SwitchBot リモートボタン」などを追加し、使い勝手を高める方向でアップデートしていく方が利便性向上を実感しやすいかもしれない。そうやってさまざまなオプション製品との組み合わせが楽しめるのも、SwitchBotの良さなのだ。

日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。