燃料電池は2025年度に1兆円市場へ成長――富士経済調べ

~自動車が6割、住宅は3割

水素と酸素を利用して発電する燃料電池。家庭向けでは、熱源機として「エネファーム」が展開されている
 富士経済は、燃料電池の市場動向についてまとめた調査レポート「2010年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望(上巻)」の販売を開始した。価格は101,850円。

 同社ホームページで公開された概要では、2009年度は163億円と見込まれている燃料電池市場が、2025年度にはその99倍となる1兆6,133億円に成長すると予測。2018年度までは家庭向けの燃料電池「エネファーム」など住宅分野が牽引し、その後は自動車分野が拡大、2025年度には自動車が市場全体の61%、住宅分野が31%と、二大市場を形成するという。なお2009年度では、住宅分野は全体の約9割を占めているが、自動車市場はわずか4%ほどとなっている。

2025年度における燃料電池の分野別市場予測(富士経済調べ)

 発電方式別では、家庭向けや自動車用で主流となるPEFC(固体高分子形燃料電池)が、2025年度には2009年度の90倍となる1兆2,980億円市場に成長すると予測。このうち、約2割に当たる2,730億円が家庭用、約8割の9,900億円が自動車向けだという。

 同社は家庭用のPEFCについて、2008年度まで行なわれた4年間の大規模実証事業において、エネルギーコストの低減とCO2の抑制効果が高いことが実証されていると評価。そのうえで、「出荷台数は順調に推移している。今度はイニシャルコストをどこまで低減できるかが鍵」としている。また、市場に出ている家庭用熱源機には、都市ガスやLPG、灯油や電機など、さまざまな種類の燃料が必要になることから、「家庭用燃料電池も多様な燃料種に対応する必要がある」としている。

 また、PEFCよりも高効率とされるSOFC(固体酸化物形燃料電池)については「家庭用の技術開発が進展している」として、2,488億円市場になるとしている。

 ポータブル機器の充電として期待されるDMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)は、588億円市場と予測。同社では「商品化しているメーカーは国内では東芝1社」としながらも、従来バッテリーよりも利便性が高められることから「一定規模の出荷が始まれば、採用製品の多様化により市場が拡大していく」と見込んでいる。
2025年度における燃料電池の発電方式別の市場予測(富士経済調べ)



(正藤 慶一)

2010年2月3日 12:57