東芝、“業界で唯一”消費電力をリアルタイム表示するエアコン「大清快」を披露

~ダブルで除菌する「スゴイオン」は“他社を圧倒するスピード”

 東芝キヤリアは、同社が11月30日に発売するエアコンの最上位モデル「大清快 UDRシリーズ」について、報道関係者に向けた説明会を開催した。価格はすべてオープンプライスで、シリーズ全体の店頭予想価格は20~33万円前後。ラインナップは以下の表の通り。

大清快 UDRシリーズ クリスタルゴールド クリスタルホワイト

品番冷房能力冷房時の
適用畳数
電源期間消費
電力量
APF
RAS-221UDR2.2kW~6畳単相100V668kWh6.6
RAS-251UDR2.5kW~8畳759kWh
RAS-281UDR2.8kW~10畳850kWh
RAS-361UDR3.6kW~12畳1,244kWh5.8
RAS-401UDR4.0kW~14畳1,382kWh
RAS-402UDR単相200V1,336kWh6.0
RAS-502UDR5.0kW~16畳1,822kWh5.5
RAS-632UDR6.3kW~20畳2,525kWh5.0
RAS-712UDR7.1kW~23畳3,162kWh4.5


「除湿と冷房、どっちが省エネ?」が、数字で分かる「とくダネ! モニター」


室内機右側に「とくダネモニター」を設置
 UDRシリーズは、同社のエアコンの最上位モデルに当たるエアコン。従来モデルに引き続いて、“業界で唯一”となる、エアコンの消費電力を表示する「とくダネ! モニター」を、室内機前面に搭載した点が特徴となる。

 モニターでは、15秒ごとに現在使用中の消費電力を5W刻みで表示する。例えば、ドアを締め切って暖房運転している時にドアを開けると、冷気が部屋に入り込むためエアコンの運転パワーがアップ。それにつれて、モニターの消費電力表示も上がる。逆に、開いているドアを閉めた場合、冷気が室内に入り込まないため、消費電力はドア開放時よりも下がる。これにより、ユーザー自らがモニターを見ながら、より省エネ運転ができる仕組みになっている。

モニターが消費電力を表示しているところ。リアルタイムで消費電力が表示できるのは東芝だけだという数値の変化によって、よりエコな使い方ができるというドアを開ける、閉めるだけでも、モニターの表示に変化がある

東芝キヤリア 企画本部 販促企画部長 高野哲宏氏
 「暑い夏の昼間にエアコンを使うときはカーテンを使ったり、設定温度を低めにすると省エネと言われているが、なかなか実感できないという現実がある。大清快なら、モニターがリアルタイムで変化するため、その省エネ効果が理解できる。他社でもモニター機能を搭載している製品はあるが、今使っている消費電力を表示するのは、東芝の大清快だけ」(東芝キヤリア 企画本部 販促企画部長 高野哲宏氏)

 またこのモニター機能を使うことで、部屋を涼しくしたい場合に、除湿と冷房のどちらの運転の方が電気代が少なく済むか、という疑問も解決できるという。

 「よく『除湿と冷房、どっちが節電?』という質問を受けるが、実際のところは使用環境によって異なる。大清快ならユーザー自身がモニターを見ればすぐにわかる」(高野氏)

モニターの表示は5W単位。写真下のような高精度のワットチェッカーと比べると誤差があるが、これは表示がうるさくならないためだという
 UDRシリーズでは、新たに1時間当たりの電気代の表示機能も搭載。このほか、スイッチを入れてからの電気代、室温や運転パワーとモード、コンプレッサーの運転状況を知らせる表示もできるようになった。モニターは消灯することもできる。

 なお、モニターが15秒ごとの更新で5W刻みなのは、表示がコロコロと変わってうるさくならないための配慮だという。

モニターはリモコンのボタンを押すことで切り替わる。表示順は、現在の消費電力→運転を開始してからの電気代の目安→一時間あたりの電気代→室温→運転パワー→コンプレッサーの運転具合→消灯→現在の消費電力…

東芝伝統の「デュアルコンプ」を採用、低能力時の高効率運転で“扇風機並みの消費電力”


東芝独自の「デュアルコンプレッサー」。内部にシリンダーを2つ搭載している
 UDRシリーズのコンプレッサーには、従来モデルに引き続いて「デュアルコンプ」を採用。デュアルコンプは、コンプレッサー内部にシリンダーを2つ搭載しており、低負荷時には片方を自動でストップし、もう片方だけで運転するというもの。室温が設定温度に到達した後でも、低能力で運転できるため、一般的なコンプレッサーよりも、省エネ効果が高くなるという。

 説明会では、室外の温度が29℃でリモコンの温度設定が27℃の運転時の場合、UDRシリーズの平均消費電力は、他社よりも63%も低い数値になったというデータが公開された。

 「能力を絞れない他社製品は、一度運転を止めてON/OFFを繰り返しているため、温度変化が多い。一方、デュアルコンプは小さい消費電力で運転できるため、部屋の温度変化も少なく、実使用上での低消費電力が図れる」(高野氏)

 このデュアルコンプを活かした運転モードとして、“扇風機並み”の最小消費電力45Wで冷房を行なう「涼風運転」機能を、従来に引き続いて搭載。1時間当たり1円の電気代で、木陰にいるような快適な冷房運転ができるという。高野氏は「(涼風運転は)昼間の暑いときには難しいが、夜間なら、扇風機よりも大清快の方が冷えすぎを防げるため良い」としている。

「デュアルコンプ」により、低能力電力時の効率が向上“扇風機並み”という、1時間1円の電気代で運転できるという低能力運転時でも、連続運転が可能。他社製品では細かい調節が利かないため、断続運転をしてしまうことも

 省エネ運転に加え、起床時や帰宅時、寝る前の部屋をすぐ暖める「朝ダッシュ」「夜ダッシュ」機能も搭載。朝と夜の同時利用も対応する。


空気中にイオンを放出して捕集、室内機内部で本格除菌――「スゴイオン」

室内に放出するイオンと、室内機内部で除菌するイオンという“2段構え”の除菌機構「スゴイオン」を搭載
 除菌/脱臭機能としては、新たに「スゴイオン」というイオン発生機構を搭載した。

 スゴイオン機能の仕組みは、まず室内機の吹出口にあるイオン発生装置が、室内にプラズマイオンを放出、プラズマイオンが室内のウイルスや細菌、カビや花粉などをキャッチする。プラズマイオンが捕集したウイルス類は、室内機内部に搭載された「プラズマイオンチャージャー」により、室内機内部に集められ、熱交換器内部に搭載された特殊樹脂コーティングの力で無力化されるという構造となる。

 「スゴイオンは、室内に放出した『とびだせイオン』でウイルスなどを捕らえ、帯電することで室内機に吸い込み、室内機内部で放出する『まちぶせイオン』と熱交換器で処理する点がポイント。熱交換器が吸着し、無力化されたウイルス類は、ドレン水が洗い流す仕組みになっている」(高野氏)

 室内にイオンを放出するエアコンは他社でもあるが、大清快は室内に放出したイオンで除菌するのではなく、室内機内部に取り込んで除菌するために、室内にイオンを放出する点が特徴となる。同社では、ウイルス菌の代用としたタバコ煙による濃度減衰試験では、濃度が1/3になるまでの時間が、他社が34~90分掛かっていたのに対し、スゴイオンでは16分でできるという試験結果を発表している。同社ではこの結果を「他社を圧倒するスピード」としている。

 説明会では煙を用いた他社製品との比較実験が行なわれた。他社製品は煙の除去に3分以上を要していたが、大清快では運転後すぐに煙が除去される模様が見られた。

ウイルス、菌、カビを99.99%以上除去できるという庫内のイオンに加えて、特殊コーティングの熱交換器に付着することで、ウイルスを除去する効果もあるタバコの煙を使った、濃度減衰効果の比較。他社のエアコンよりも効果が高くなっている

説明会で公開された、煙を使ってのスゴイオンの除去効果。運転をスタートして、あっという間に煙が消えた。ちなみに右隣では、室内にイオンを放出する他社製品でも同様の実験が行なわれたが、煙がなくなるまで3分以上掛かっていたこちらはプラズマイオンを放出することによる、熱交換器への付着効果を示す動画。筒内部にイオンを放出すると、小さなゴミが熱交換器の素材に付着している


リモコンは完全リニューアルで大画面化。周囲を効率的に空調するモードも


リモコンは従来製品から大幅にリニューアル。画面を大型化し、サイズも大きくなった
 UDRシリーズでは、従来まで採用してきたリモコンをいリニューアル。画面サイズを大型化し、より大きな文字で老若男女を問わず簡単に操作できるという。

 また、より節電の意識が高められるよう、表示項目も追加。一昨日/昨日/今日の電気代を数値とグラフで表示するほか、「運転時間と電気代」、「CO2の排出量」、「今月の電気代」が数値で確認できる。

 さらに、リモコン内に搭載したセンサーにより、周囲のみを効果的に空調する機能も搭載。通常運転時と比べ、冷房時で最大48%、暖房時で最大14%の省エネ効果が発揮できるという。

電気代など“家計簿”的な役割を持たせている写真はCO2排出量の表示
今月の電気代過去3日間の電気代電気代はグラフ表示も可能


 高野氏は、UDRシリーズについて「家庭における消費電力のうち、エアコンなど空調機器は全体の25%も占めているが、UDRシリーズは、基本性能の省エネ性向上に加え、エアコンの消費電力をリアルタイムで認識することで、ユーザー自身が節電できる。ユーザーを巻き込んだ新しい『エコ』に進化を遂げておきたい」と、基本性能はもとより、使い方によってはさらに省エネ効果があることをアピールした。



(正藤 慶一)

2009年11月5日 14:07