長期レビュー

GW直前企画! 春キャンプを楽しもう その1

~こんな時代だからこそ! 1家族5,000円から楽しめるキャンプのすすめ
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ディスカウントストアに行けば、古い型のテントが安く買えるので価格を調べてみるといい。ウチの古い装備ぐらいなら、かなり安いハズ

 今月末はゴールデンウィーク。暦どおりだとしても5連休、30日もお休みできれば7連休、さらに5月に明けて6,7日とお休みできれば最大11連休という大型のGWだ。

 とはいえ不景気で温泉に行ったりテーマパークに行なったりは、お金がかかってしまうもの。そんなときお勧めしたいのがキャンプだ。高速道路代はETCの休日割引を使えばかなりお得(だが、渋滞は避けられない……)。キャンプ宿泊代は、1家族(だいたい5人まで)で1泊しても5~6,000円程度だ。今どきこの値段で宿泊できる施設はそうそうない。というか、5,000円じゃ温泉に1人で泊まることすらできない!

 たしかに最初はテントを購入したりで数万円程度の出費もあるが、何回かキャンプすれば元も取れるし、ゲームばっかりしている子供を大自然の元で遊ばせるのにもってこい。はじめは「ゲームもできないところに行きたくない!」なんて言ってる子でも、いざキャンプに行ってしまえば、ゲームなんかサッパリ忘れて大はしゃぎ。焚き火遊びをしたり、野原や木々で自分なりの遊び方を見つけるから不思議なモンだ。

富士山が真正面に見える高原のキャンプ場。人気のキャンプ場なので、予約はお早めに!

 今回は3回に渡り、GW直前のキャンプ企画をお送りしたい。キャンプには必須のアイテムを紹介しつつ、家電Watchならではの視点で、炊飯器を持ち込んでみたり。キャンプというと大変――というイメージをお持ちの方にもぜひチェックしていただきたい。

 しかも! おそらく家電Watchで初のロケ・レビューだ! お世話になったキャンプ場は、静岡県裾野市にある「カントリーベアーファミリーキャンプ場」

 富士山の麓にある草原で空気も水(融雪水)もおいしい。普通のキャンプ場はお風呂が付いてても別料金だったり、近所の温泉に行かなければならないが、このキャンプ場は家族風呂(温泉)にも無料で入れるという点が魅力。一度場内に入ってしまえば、買い出し以外に外に出ることはないというほど、施設の充実したキャンプ場だ。

何はなくても炭火焼きグリルは必須! 家庭ではできない味に舌鼓

コールマン「クールステージテーブルトップグリル」。3~4人家族なら、これでまかなえる。コタツトップにも置けて非常に便利

 キャンプの楽しみは何と言ってもアウトドアクッキング。とはいえいきなりキャンプ用のガスバーナーなどを用意する必要はない。必要最低限の装備であれば、家庭用のガスコンロと炭火焼きグリルでOK。今回紹介するはコールマンの「クールステージテーブルトップグリル」だ。


メーカーコールマン
製品名クールステージテーブルトップグリル
希望小売価格3,255円
本体サイズ約400×280×165mm(幅×奥行き×高さ)
重量約2.5kg
網サイズ約225×345mm(縦×横)


炭床に2本の凸があるのが特徴。炭床下に水を入れなくても断熱できる点も便利だ

 側面が金属メッシュになっているので炭に空気がよく回るだけでなく、軽くて持ち運びにも便利。またテーブルの上に置いて利用できるので、家族みんなでコンロを囲み座りながら食事ができるというメリットがある。

 また一般的なテーブルグリルは、炭床が平らになっているが、この製品は2つの凸凹が付いているので炭同士の間に隙間ができ、風がよく回るため火力も強い。炭火起こしになれない人でも、楽に着火できるだろう。炭床の脇にも空気穴が設けられているが、これがランタン(キャンプ用の照明機器)の形になってるのもちょっとオシャレだ。

 渋滞をなんとか切り抜け、お昼ごろにキャンプ場に付いたら、まずお腹を満たす。じゃないと、子供たちの機嫌が悪くなるし、テントの設営に力が出ない。

 メニューは超簡単。ブタのヒレ肉を適当な大きさに切って、その周りにベーコンを巻きつける。これを割り箸に突き刺して下ごしらえの終わり。あとはグリルで焼くだけで、超おいしい立派な昼ごはんの完成だ。

淡白なブタヒレ肉にベーコンを巻くことでジューシーになるこぼれ落ちたステーキソースなどで軽くスモークされるのでおいしさも一際お箸の先を少し削って串にして焼いた。30分もあればこんな豪華な昼ごはんになる。おいしいよ!
ウマいものを食べると自然に笑顔がこぼれます! 「ウメー!」の連発で速攻完食。じゃ!テント張るぞ!

 味は塩コショーだけでもいい。でも、やっぱり家のガスコンロじゃできない、市販のステーキソースを直接ぶっかけるのがキャンプの醍醐味だ。ええ、家でやったら奥さんに大目玉ですから……

 調理時間30分もあれば、ご覧のような笑顔が見られるお昼ご飯となる。炭火グリルのいいところは、超高温の遠赤外線でこんがり焼きあがる点と、ベーコンの油が炭に落ちてヘルシーになるばかりでなく、たれ落ちたステーキソースとともに軽くスモークされる点だ。自宅では絶対にまねできないキャンプならではの味わいになる。


キャンプ豆知識 “はじめてのキャンプこそ2泊3日以上!”

 はじめてキャンプをするという人が一番間違えやすいのが宿泊日数だ。「テントで寝るのは辛いだろうから、1泊2日にしておこう」というのは大きな間違い。

 テントで寝るのは思ったほど苦痛にならないし、たとえ睡眠不足でも翌日キャンプ場で居眠りしていればいい。キャンプで一番大変なのはテント張りだ。でも1泊2日だと、昼にテントを張って一晩過ごし、翌朝起きたら早々に撤収の準備をしなければならない。たとえ寝不足でもだいたい12時にはチェックアウトしなければならないのだ。

 キャンプでの宿泊日数は、初心者であればあるほど2泊3日以上をお勧めする。筆者は10年以上キャンプをしていて、テントの設営もサッサとできるが、1泊2日のキャンプは超ハードで翌日は確実に筋肉痛になる。今回はレビューの撮影機材などもあるので、問答無用で2泊3日。それでも辛かった……

釣ったばかりの新鮮な魚を食す! ご飯は炊飯器がオススメ

 キャンプ場の近くにはたいてい川や海がある。釣りが趣味であれば、釣った魚をそのまま塩焼きにして食べるのが一番ウマい! たとえ釣りをやったことがなくても、近所に釣堀などがあれば現地調達してコレを食らう! ポイントは朝一で釣堀に行くこと。

 お腹を空かせた魚たちは、もう入れ食い状態で釣れること確実。昼過ぎになってしまうと、他のお客さんたちのエサで腹いっぱいの魚はぜんぜん食いつかず、魚の塩焼きがカップラーメンに変わってしまうので注意しよう。

近所の釣堀でマスをゲット! 朝一で行けば針を落とした瞬間に食いつく20分もしないうちに目標の4匹をゲット釣りは単純に子供でも楽しめるが、“命”を「いただきます」することも教育になる

 食材を調達したらキャンプ場に戻って調理。このとき魚のさばき方などをお母さんが教えてあげるといいだろう。はじめは怖がるが、それも鍛錬のうちだ。さばいた魚はタオルやキッチンペーパーでよく水分を取ること。これをやらないと、網にくっ付いてしまうのだ。あとはちょっと多いかな? というぐらいに塩を振って下ごしらえの終わり。その間に炭に火を起こして、焼き網をチンチンに熱しておこう。

アウトドアクッキングは、タイミングが大切。家族で仕事を分担して協力し合うのが重要だ網をよく焼いたら、水気を切った魚を並べる。炭用のトング(火箸)でも気にしないのだあひゃ~! 写真を見てたら食べたくなった

 炭は火力が強いので、魚なら10分も経たないうちにご覧の通りの焼き上がりに! これに平行してコンロで味噌汁などを作っておくと立派なご飯になる。

味噌汁は妹が担当。生卵を入れてかきたま味噌汁にご飯は家族の一員である炊飯器君が担当背中から豪快に食らい付く! 焼き魚にお箸は不要だ
コイツは2匹を食らいやがった!ソレ、俺のだぞー!

 テーブルの上にある炊飯器が気になるかもしれない(笑)。最近のキャンプ場は、100Vの電源を取れるところが多くあるので、ウチは必ず炊飯器を持参してのキャンプだ。本格的にアウトドアをやる人には邪道と言われるかもしれないが、限られた時間を効率的に使って遊ぶには炊飯器が一番だ。無理に飯盒(はんごう)や鍋でご飯を炊いて、時間をかけて失敗するより、初心者には炊飯器をお勧めしたい。

 現地調達した新鮮な魚を炭火コンロで塩焼きにすると、外は香ばしく中はフワフワの焼き魚になる。新鮮なので魚臭さもまったくないので、魚嫌いの子供でも食べられるようになるチャンスかも。


5月でも北のキャンプは寒さ対策も必須! 携帯ストーブ

 5月とはいえ、東北地方でキャンプをするとまだまだ寒さが厳しい。とくに標高の高い場所では、寒さ対策が必須だ。また関東・東海地方でも、晴れ渡った昼の日は放射冷却で冷え込むことが多々ある。

 防寒対策の決め手は厚着をしていくことだが、深々と冷える夜に夜空を見ながら酒を飲んでいると手がかじかむほどに冷たくなる。好きでやってるから文句言えないんだけど……また食器を洗ったりしたあとも、手が痛いほど冷たい。しかしテントやタープの中では、換気や安全の問題で焚き火することができない。

澄み渡った青空の昼のあとは、必ず冷え込む。とくに山の天気は注意が必要写真の左が昼の日光や夜の寒さを凌ぐタープと呼ばれるもの。これはテントの形をしたドーム(ハウス)タープ。運動会の招待者席のような屋根だけのダープ(ヘキサやスクエアタープ)もある。右側は寝たり着替えたりに使うテント

 こんなときにお勧めするのが携帯ストーブ。今回紹介するのは、コールマンの「クイックヒーター」だ。

ヒーター本体。網は焼けど防止用で、この上で何か焼いたりするわけじゃないキャンプ用のガス。こちらもコールマンン

メーカーコールマン
製品名クイックヒーター
希望小売価格5,250円(ガスは別売り)
本体サイズ約160×175mm(直径×高さ)
重量約400g
ガス消費量(出力)約55.2g/h(660kcal/h)
燃焼時間約8.5時間(レギュラーガス470g缶使用時)

 サイズは直径16cmで、BSアンテナのような形をしていて1点を集中的に暖めることが可能。別売のキャンプ用ガスに取り付けることで、焚き火ができないタープの中でも約9時間、暖を取れるスグレモノだ。ただしテントの中での利用は、安全上お勧めできない。まあテントは寝るだけなので、寝袋に包まっていれば温まれるから問題なだろう。

 ヒーターには電子式ライターと同じ圧電素子が仕込まれているので、火をつけるのも簡単。火力はバルブで調整が可能だ。

バルブを開いて、カチ!っとやればすぐに点火できるネジ式のバルブで火力を調整する

 キャンプ用のガスにはネジの切り込みが入っているので、ヒーター本体を回して取り付け完了。ガス缶がそのまま台となって地面に置くことが可能だ。

ガス缶に本体をねじ込むだけチョットだけガスが漏れるので、換気してから点火することガス缶が土台になって地面などに置ける。ガスが少なくなっても安定して立っていた

 これさえあれば、洗い物をして冷たくなった手も素早く暖められる。また換気に注意しなければならないが、ランタンと併用すればドームタープの中全体も暖められる。なにより、この赤くに光るストーブを見ていると、それだけで暖まるというものだ。

食器洗いの後で手を温める子供。火もまた笑顔がこぼれるキャンプの重要アイテムだ見ているだけで和むなぁ。ライターにとってキーボードを打たない日は、心安らぐ一瞬だ

 このロケは3月中旬にしたので、まだまだ冷え込みが厳しく「コタツ」持参だ(笑)。これもヘビーキャンパーには邪道と言われるかもしれないが、ウチの装備を見たほかのキャンパーさんには「うわっ!凄っ! でも暖かそうでいいなぁ~。ウチも今度コタツと炊飯器を持ってこよう!」と意外に好評だ。

キャンプ豆知識 コンセントがつかえるキャンプ場ってドコにある?

 今となってはほとんどのキャンプ場が電源を使えるようになっている。「電源サイト」や「ACあり」という表記があれば、100Vの電源が取れるキャンプ場だ。ただし、すべてのサイト(テントを張る区画)で電源を取れるキャンプ場は少なく、予約の際に「電源サイトを希望」と伝えること。料金はだいたい1泊で1,000~1,500円程度。

 またウチのように炊飯器&コタツが少しメジャーになっているようで、キャンプ場によっては電源サイトから予約が埋まっていく場合があるので、早めの予約をしたい。

 なお取れる電源は、だいたいが20Aまで。さすがに見たこともやったこともないが、頑張れば電子レンジを持っていくことも可能だ。もちろん家庭用の電気スタンドを持っていって照明代わりにすることも可能。しかし春~夏キャンプは虫が光に集まってくるので蛍光灯は避けたほうがいい。白熱電灯は蛍光灯より虫が集まらないが、キャンプ用のランタンがベストだ。

 ちなみに最近のキャンプ場は、無線LANを完備しているところもあるので、原稿の締め切り間際にキャンプする場合などに便利に使わせてもらっている(笑)。どんだけデジタル&殿様キャンプなんだ! なお、今回訪れた「カントリーベアーファミリーキャンプ場」には、無線LANはない。

コタツ&右上のランタン、そしてストーブのおかげで外気7度の中でトランプして遊んでもぜんぜん平気

 キャンプに正解も不正解もない。やはりファミリーでキャンプするなら、ガチガチ震えて食事したりゲームしたりするよりは、暖かくコタツを囲んでワイワイやるのがいいだろう。また爺ちゃん婆ちゃんもキャンプに連れて行くときは、非常に喜ばれること間違いない。

 今回はコタツとコールマンのクイックヒーターのおかげで、気温7℃以下という中でも暖かなキャンプをすることができた。とくに風呂上りのタープの中は快適だった。そこで飲む冷たいビールもね。

 次回は、女性が注目するダッチオーブン(キャンプ用の薪を使ったオーブン)と、携帯ファイヤースタンド(かまど)をお届けする予定。今年のGWは、キャンプデビューしてみてはいかがだろうか? 楽しいよ!



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2010年4月7日 00:00