家電製品ミニレビュー

三菱電機「衣類乾燥除湿機 MJ-100FX」

~部屋干しのニオイなし、シワなし、乾きムラなし!
by 小林 樹
衣類乾燥除湿機 MJ-100FX

 5月末くらいから、雨の日が続いた。例年より早い梅雨入りである。世の中には“5月病”という言葉があるが、5月よりも梅雨のほうが気が滅入るという方は多いのではないだろうか。

 梅雨の時期に調子が狂うのは、気分や体調だけではない。暑いので汗をかくぶん、洗濯物がどんどん溜まっていく。それなのに、なかなか乾かせる日がないので、家事のサイクルも狂ってしまう。

 積もる洗濯物の山を見て、あぁ…一刻も早く干さねばならぬとは思いつつも、部屋干しはあまり好きではない。あの独特の生乾きのニオイがイヤだし、部屋がもっと蒸し暑くなるのもイヤ。服にシワがつくのもイヤ。だが、頑なにそう思っているだけでは、梅雨を越せないのも事実。

 そこで今年は、三菱電機の部屋干しに適した除湿機「衣類乾燥除湿機 MJ-100FX」を使ってみたい。


メーカー三菱電機
製品名衣類乾燥除湿機 MJ-100FX
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格42,800円

 MJ-100FXは、空気を冷やして水分を取り除くコンプレッサー式の除湿機。本体サイズは、360×210×534mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は12.7kg。本体を持ち上げると重いが、下にキャスターが付いているので、平らな床ならガラガラ引きずって移動できる。

本体外箱本体背面(フィルター取り付け前の状態)
フィルターはプラチナ抗菌仕様フィルターの汚れは2週間に1回程度掃除機で吸い取ればよい本体背面にフィルターをはめれば、組み立て完了
パネルの様子キャスター付きなので、平らな床なら移動は楽だ

除湿と衣類乾燥の機能がメイン

 MJ-100FXの最大の特徴は、昨年モデルに引き続き「ムーブアイ」という同社独自のセンサー制御技術を搭載しているところ。濡れている洗濯物を検知して、乾きムラを抑えながら乾かすことができるというのだ。

 ムーブアイは、洗濯物や壁、窓などの温度を検知して、風向きや風量を調節しながら効率的に除湿、乾燥できるセンサーだ。説明書によると、物体から放射される赤外線を測定し、物体の表面温度を測定するサーモバイルセンサーを採用しているという。

 まずは脱衣所で使ってみよう。本体のコンセントをつなぐと、ピッと音がしてスタンバイ状態になり、操作パネルに湿度を表す値がパッと点灯する。自動モードの除湿にスイッチを入れたら、ルーバー(風の吹き出し口部分)がぶわっと開いて、上下に角度を変えて動き始めた。よく見ると、ルーバー中央にあるムーブアイも上下左右に動いている。この動きは2、3分続いた。

まずは除湿機能を自動で行なった除湿を始めた段階の室内の温湿度。本体パネルの数字と、温室度計の数値とは多少のずれはあるが、誤差の範囲だろう

 湿度は最初72%だったが、5分もしないうちに、部屋の湿度が下がってきた。湿度はそのままどんどん下がり続け、40、50分ほどして脱衣所に戻ると、53%になっていた。1時間もたたないうちに、約20%の除湿を済ませていたことになる。除湿後の脱衣所は、ちょっと暑い気もするが、蒸し蒸しした気持ち悪さはなかった。

 自動運転では、室温27℃以下だと室温に応じて除湿。室温27℃以上では、湿度が50%になるまで除湿した後、送風のみに切り替わる。また湿度が60%以上に上がったら、自動的に除湿を開始する。自動運転なら、おまかせでもしっかり除湿されるので、楽だった。

 排水タンクを見てみると、0.5Lほどの水が溜まっていた。本体の除湿能力は1日9L。排水タンクの容量は3Lなので、まだまだ余裕がある。もし運転中に満水になった場合は、自動で運転を停止する。

排水タンクの容量は3L排水タンクは水平に引き出す。タンクには0.5Lほどの水が溜まっていた

大風量のルーバーで、シワなく仕上げる衣類乾燥機能

 除湿の効果がわかったところで、メインの用途である衣類乾燥を試してみよう。洗濯機で脱水した衣類を、約5cm以上の間隔を開け、風を通すように干した。MJ-100FXでは、一度に乾かせる洗濯物の量は約6kgまで。使用場所は10畳までの空間を想定している。運転時間は、約2時間半~最長12時間で、洗濯物の量や乾き具合、部屋の湿度によって異なってくる。

 「衣類乾燥」ボタンの「標準」モードのスイッチを入れると、ルーバーからゴーッというサーキュレーターのような音の風が出始め、ムーブアイの検知もスタートした。ルーバーから吹き出す風が、洗濯物をそよそよと揺らし始める。

 ムーブアイのセンシング範囲は、左右100度、上下160度で、洗濯物との距離は1.5mまで。従来モデルに比べて、検知角度が上下に10度拡大した。さらに、これまで441のエリアに分けていた検知範囲を、新たに529エリアに細分化。これにより、よりきめ細かく洗濯物の乾きムラを検知して、さらに効率的に衣類乾燥を行なえるようになったという。この機能強化もあって、MJ-100FXは“衣類乾燥除湿機”と名乗っている。

ルーバーの中央にムーブアイが位置するムーブアイの検知範囲検知範囲を529のエリアに分け、きめ細かく洗濯物の乾きムラを検知

 なお、このルーバーは昨年モデルに引き続き、「3次元広角狙えルーバー」というもの。広範囲に大風量を送る一方で、乾いていない洗濯物や乾きムラにピンポイントでも送風できるので、乾きムラを防げるのだという。

衣類乾燥機能で衣類を干してみる途中経過。タオルの上半分だけ乾いている。乾いた部分だけシワがないのがわかる乾いていない洗濯物や乾きムラにピンポイントに送風できる、3次元広角狙えルーバー

 そのまま放っておくと、約5時間後に自動的に運転が止まった。洗濯物は、シャツもタオルもムラなく乾いている。タオルに顔を埋めてニオイをかいでみたが、全然臭くない。「部屋干し用の洗剤を使ったわけではないのに、ニオイがないねぇ」と専業主婦の母も感心していた。太陽に布団を干した時のようなぽかぽか感は得られないけれども、乾いた衣類にはニオイもシワも目立たず、乾きムラもない。

 MJ-100FXを使って干したシャツと、除湿乾燥機を使わずに部屋で干したシャツを比べてみた。除湿乾燥機を使って干したほうのシャツは、脱水した状態ではシワシワだが、仕上がったものはシワが目立たず、ふわっとしている。いっぽう、除湿乾燥機を使わずに部屋干ししたシャツは、一見ちゃんと乾かせているのだが、よくみると裾のほうがシワシワで、アイロンをかけなければならない。

 乾く時間も違う。MJ-100FXを使ったときには、約5時間でシャツを含めた洗濯物が乾いたのに比べ、使わなかったほうのシャツは、乾くまで一晩かかった。シャツからは部屋干しの嫌なにおいは気にならなかったが、風を通さずに干したからか、手触りはしめっぽい。

脱水した状態のシャツ。これから干します除湿乾燥機を使って干した。シワが目立たず、ふわっとしている
除湿乾燥機を使わずに部屋干ししたシャツ。一見普通だが…よくみると、裾のほうがシワシワで、アイロンをかけなければ着られない


「エコ干し」「夜干し」で、静かな省エネ運転もできる

 除湿も衣類乾燥も十分にこなしてくれたので、母も私もかなり満足だ。だが、2階の8畳の和室に置いて使ってみるたところ、いくつか気になった点があった。

 まず、部屋が暑くなる。和室は洗濯物をベランダから取り込むときに使う部屋だが、夜は寝室としても使っているので、運転後の部屋の暑さが気になるのだ。後述する「夜干しモード」なら気にならないが、運転音も、除湿の自動モードや衣類乾燥の標準モードだと大きく感じる。暑くてうるさいと、同じ部屋で一晩一緒に過ごすのはキツい。

8畳の和室で衣類乾燥を行なった衣類乾燥前の室温は25.2℃、湿度は63%1時間後の室温は28.6℃。湿度は57%。1時間で3℃以上上昇していた

 MJ-100FXには、標準の衣類乾燥モード以外にも、消費電力を30%抑えられる「エコ干しモード」と、送風音が小さい「夜干しモード」が搭載されている。エコモードは省エネを気にしている人に、夜干しモードは、寝ている間に干さなければならない人に適している。

 エコ干しモードは、MJ-100FXで新たに搭載された新機能だ。衣類乾燥機能をスタートすると、はじめは送風のみで、後半から除湿を始める。これにより、消費電力は約30%抑えられるという。送風音は、標準モードに比べてやや小さい。ただし、エコ干しモードも、夜干しモードも、標準モードに比べると、乾くまで時間がかかる。


衣類乾燥時の風量の違い。順に標準→エコ干し→夜干し

浴室でも使える

 部屋干しに加えて、浴室の乾燥にも便利に使えた。MJ-100FXは、カビの発生を抑制する「浴室カビガード」機能も搭載されている。我が家の浴室には窓があるから、あまりカビで悩んだことはないのだが、実際に梅雨の時期になってみると、入浴後に浴室の窓を開けても、外は雨。浴室はなかなか乾かない。そんな時に、MJ-100FXは便利だ。脱衣所から1メートルほどガラガラ引っぱって浴室の入り口に設置すれば、2~3時間で浴室内がカラカラになった。

浴室には大きめの窓があるので、普段は窓を開けて換気を行なっている入浴後の浴室の壁はじめっとしている除湿後の浴室の壁。ツルッと乾いた

 なお、除湿機本体の手入れは、2週間に1度、フィルター周りを掃除機で吸い取ればよいので、そんなに手がかからない。

部屋干しのニオイなし、シワなし、乾きムラなし!

 この除湿機を使ってみて実感したのは、部屋干しをしても嫌なニオイがなく、シワもできず、乾きムラないので、とにかく便利だということ。

 実家暮らしだと、昼の間に母が洗濯物を干してくれるので、衣類乾燥機はいらないかなぁと思っていた。だが、実家の洗濯物をよくよく見てみると、家族それぞれのタオル、シャツ、下着類…など、色々な洗濯物を一気に干しているためか、乾きムラが結構ある。さらにうちの家族は大柄なので、必然的に身体を覆う布面積が大きく、乾くのにも時間がかかる。乾きムラがなく、スピーディーに仕上げてくれる衣類乾燥機は、今のような梅雨の時期に大活躍している。浴室から洗濯物まで、意外と用途は幅広いのだと思った。

 さらに、1人暮らしも経験した身からすると、これは、1人暮らしの頃に欲しかった。1人暮らし時代は夜しか洗濯ができず、浴室の乾燥機を使って部屋干ししていたが、タオルなどは下のほうがなかなか乾きにくいなど、乾きムラがあった。MJ-100FXは、その当時の悩みである洗濯物のニオイやしわ、乾きムラなど、全て解決する。1Rや1Kの間取りだと、どうしても寝る部屋の近くに設置することになってしまうが、脱衣所など壁1枚隔てたところで夜干しモードで運転すれば、送風音も気にならないだろう。

 衣料用洗剤のCMで、女優さんが洗濯物に顔を埋めて、「お日様のにおい! 」と叫んだりするシーンをよく見かける。MJ-100FXでは、お日様のにおいこそしないが、部屋干しのあの嫌なニオイはないのだ。思わず、干したタオルに母娘で顔を埋めて、クンクンかいでしまった。MJ-100FXは、しっかり、堅実に、嫌なニオイやシワ、乾きムラなく仕上げてくれる。部屋干しは仕上がりが不安で、なかなか踏み切れない人にこそ、試してもらいたい除湿機だ。






2011年6月9日 00:00