家電製品ミニレビュー

エレクトロラックス「INSTANTMIX ESTM4600」

~面倒なみじん切りや攪拌が簡単にできるハンドミキサー
by すずまり
INSTANTMIX スティックミキサー 「ESTM4600」

 自分でイチから作るとなると、どうも面倒臭さが先に立ち、結局諦めるか、完成したものを買ってきてしまうという料理がある。そのほとんどが、細かく刻む、砕く、捏ねるといった作業を伴うものだ。

 そんな人のための家電がフードプロセッサーである。容器に野菜などの材料を入れてスイッチを入れれば、ものの数秒で砕き、滑らかなペースト状にしてくれる。しかしその存在感と、片付けなどの手間から、持ってはいるが頻繁に使用するに至らない、もしくは場所をとるから買えないという例も多い。

 そこで、もっと手軽にフードプロセッサーを利用したい方にお勧めなのが、スティックミキサー、ハンドミキサー、ハンディブレンダーなどと呼ばれる製品。これは、その名の通り手に持って使える電動のミキサーで、必要に応じて先端のアタッチメントを交換することで、泡立てから潰す、混ぜるといった作業が可能になる。以前、当コーナーでも、貝印の「マルチブレンダー」をご紹介した。

 今回は、エレクトロラックスの「INSTANTMIX (インスタントミックス) ESTM4600」(以下、ESTM4600)の使用感についてお届けしよう。


メーカーエレクトロラックス
製品名INSTANTMIX(インスタントミックス) ESTM4600
希望小売価格8,980円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,987円

アタッチメントを交換すれば、1台3役

 「ESTM4600」は、ハンドル、ブレード付きのステンレスシャフト、ミニチョッパー、ウィスク、ビーカーの5点で構成されている。ハンドルには通常ボタンとターボボタンの2つが用意されており、パワーの2段階切り変えが可能。通常時の回転数は14,500rpm、ターボでは16,500rpmだ。

「ESTM4600」のセット一式ハンドルステンレスシャフトのブレード部分
ステンレスシャフトのハンドルとの接続部分ハンドルの接続部分ハンドルにステンレスシャフトを取り付けた状態

 このハンドルに耐熱温度100℃のステンレスシャフトを取り付けると、食材をアツアツのまま潰して細かく砕けるポータブルなプロセッサーに、ウィスクを付けると電動泡立て器になる。ブレード、ビーカー、フタがセットになったミニチョッパーを使えば、みじん切りやミンチが可能なほか、混ぜる、捏ねるといった作業も可能になる。ビーカーおよびチョッパービーカーの容量800mlで、ビーカーはステンレスシャフトやウィスクを用いる際に使用する。

 アタッチメントの交換は簡単で、取り付けるときは、カチッと音がするまでねじるだけだ。ハンドルのサイズは70×70×380mmで、ステンレスシャフトを取り付けた状態では約1.0kgになる。筆者は手が小さめなので、グリップしてみるとかなり大ぶりな印象をうけた。

グリップイメージとサイズ感上が通常ボタン、下がターボボタンとりはずし可能なウィスク
ハンドルにウィスクを取り付けた状態ビーカーミニチョッパー用の組み合わせ

 このほか、取扱説明書が1冊、ネジ付の壁掛け用器具セットが付属する。拙宅は賃貸ゆえに、壁や柱に穴を開けにくい。しかし壁に取り付けOKな方は、壁掛けスタイルにしておけば、出し入れの手間がなくなり、かなり使いやすくなるに違いない。

 なお、この手の調理器具には珍しく、レシピ集がついていなかった。慣れないうちは、付属のレシピでお勧めの料理など参考にするとよいのだが、市販の本にはスティックミキサーを対象としたものもあるので、そちらを探してみるといいだろう。

チョッパービーカー(左)とチョッパービーカーブレード(右)チョッパービーカーブレードの刃の様子
ミニチョッパーを組み立てた状態壁掛けイメージ


通常ボタン(前半)とターボボタン(後半)を押したときのパワーの違いを見てみよう

 というわけで、ここからは実際の調理を通じての使用感をお届けしたい。


バジルペースト(ミニチョッパー使用)

 手始めに、ミニチョッパーでバジルペーストを作ってみた。材料は自家製バジル、松の実、にんにく、オリーブオイル、パルミジャーノ、塩である。

 オリーブオイル以外の材料を、チョッパーブレードをとりつけたチョッパービーカーに入れ、フタをしてからハンドルを取り付け、通常ボタンを押して材料を細かく砕いていく。ハンドルはフタに固定されているので、重さも気にならない。ボタンを押す際、少々握力が必要だが、長時間押し続けなければ大丈夫だ。ステンレスシャフト、ウィスク、ミニチョッパーの連続使用時間はいずれも1分以内とされており、過熱した場合は20~30分休ませてから使用するようだ。

バジルペーストの材料チョッパービーカーにオリーブオイル以外の材料を入れるパルミジャーノが塊として残ってしまった。ブレードを痛める原因になるので、あまり固いものを入れるのは止めよう

 断続的に稼働させつつ、調子よくあっと言う間に終わる……はずが、アクシデント発生! 使用した使いかけのパルミジャーノが固くなりすぎていて、チョッパーブレードと容器の間に挟まり、動かなくなってしまうことが何度もあったのだ。結局一部がどうしても砕けなかったものの、バジルペーストそものもはなんとかできあがった。最後は別の容器に移して、オリーブオイルを加えて完成だ。固くなりすぎたパルミジャーノの代わりに、粉チーズを使っていたら、もっとスムーズにできたに違いない。

 一瞬にしてバジルの葉がペースト状になるのかと思っていたが、意外とちょうどよい具合に残っていた。

使用後のミニチョッパーオリーブオイルを混ぜて完成

 使い終わった後のフタ、チョッパービーカー、チョッパーブレードの洗浄も簡単だった。出して、締まって、という心理的ストレスはゼロだ。コードは1.8mと長いので、延長ケーブルを使わなければ届かない我が家でも使いやすいのだが、しなやかさがない。このため、ハンドルを取り付けるときなど、コードの存在が邪魔に感じる場面もあった。


ヘルシーな鶏肉のミニハンバーグ(ミニチョッパー使用)

 バジルペースト製造時に、割といい具合に素材が残ることが分かったので、鶏肉、にんじん、ごぼう、れんこん、生姜を使ったミニハンバーグを作ってみることにした。

 小さめに刻んだ材料としょうゆ、みりん、小さじ1杯の片栗粉をチョッパービーカーに入れ、フタをして通常ボタンをオン! 1分もかからず、手も汚さず、ハンバーグのタネが完成した。事前に鶏肉から皮は剥がしておいたが、スジなど包丁でも切れにくい箇所はみじん切りにできないようで、取り切れなかった部分がそのまま残っていた。

鶏肉のミニハンバーグの材料鶏肉は皮を剥がし、野菜ともども小さめに刻んで、調味料ごと全部入れる完成したハンバーグのタネ。取り切れなかった皮やスジが残っているのが分かる

ミニハンバーグの元作り。途中で念のためチョッパービーカーを振って、中身を混ぜている。後半、ターボスイッチを入れてみたが、回転数が上がっているのが分かるだろうか

 あとはスプーンで小さなハンバーグ風の形に整えながら、ゴマ油を敷いたフライパンでこんがりと焼きあげ、ポン酢をかけていただいた。甘辛いたれで味付けしてつくね風にしてもいいだろう。材料をざく切りにして入れてスイッチを押すだけの簡単さ。でも野菜の食感がちゃんと残っており、歯ごたえもある。しかもカロリーも控えめで大満足だ。

 なお、ミニチョッパーの材料は1回分200g以下とし、材料は小さく切ってから入れる。また、肉や魚を調理する際は必ず骨を取り除くことが大事だ。

バジルペーストとは違い、フタの内側にはほとんどついていない食べやすいサイズで焼き上げる
完成した鶏肉のミニハンバーグポン酢やお醤油で食べるとおいしい


かぼちゃとにんじんのポタージュスープ(鍋+ステンレスシャフト使用)

 スティックミキサーといえば、鍋の中でトロトロのスープを作るシーンが定番! というわけで、かぼちゃとにんじんを使ったポタージュスープを作ってみた。使用したのは、ステンレスシャフトだ。

 かぼちゃ1/4個、にんじん1本、玉ねぎ1/2をバターで炒め、水とコンソメを入れて柔らかくなるまで煮込む。にんじんが柔らかくなったのを確認したら、牛乳を加えて、ステンレスシャフトを取り付けた「ESTM4600」を鍋に入れて、野菜の形がなくなるまで粉砕。回転の勢いでスープが鍋から飛び出すことはあったが、5分とかからずにトロトロのスープが完成した。

 せっかくなので、作り置きしていたバジルペーストを使ってパスタを作り、シンプルにパスタとポタージュスープでランチとなった。

ポタージュスープの材料刻んだ野菜をバターで炒め、柔らかくなるまで煮込むステンレスシャフト
野菜の形がなくなるまで、ステンレスシャフトを取り付けた「ESTM4600」を使用する完成したポタージュスープ作っておいたバジルペーストも使ってランチ
ポタージュスープを作る様子

 鍋の中を移さずに砕けるのは便利だ。この手のポタージュスープ作りに便利なアイテムとしては、かつて当コーナーでもご紹介したビクラの「スープメーカー」があるが、油は苦手で、容量にも限界がある。炒めた野菜でコクのあるポタージュスープをたっぷり作りたいなら、やはりスティックミキサーがおすすめ。

 なお、鍋で細かく砕いているとき、ミキサーの先端が鍋の底にあたるのが気になった。気をつけているつもりでも、シャフトが回転すると底に引き込まれてしまい、どうしても触れてしまう。金属同士なので、双方を傷付けはしないかと心配だった。先端をシリコンなどで加工してあるとありがたい。


自家製アイスクリーム(ビーカー+ウィスク使用)

 ウィスクの使用感を確認するために、ひたすら攪拌するだけの料理「アイスクリーム」を作ってみた。主な材料は、スジャータポイップ1パックと、生卵1個、砂糖適量だ。今回は、スジャータポイップにおまけでココアパウダーがついていたので、ついでに入れてみた。

 まずビーカーに卵白を入れ、ウィスクで泡立ててメレンゲにする。メレンゲが完成したら、卵黄を加えてさらによく泡立てる。完成したメレンゲは別のボウルに移し、今度はビーカーに生クリーム、砂糖、ココアパウダーを加え、冷水で冷やしながら再び泡立てる。

 最後にボウルの中でメレンゲと生クリームを合わせ、再びウィスクでよく混ぜる。あとは、容器に小分けして冷凍すれば、カロリーコントロールも可能な、自家製簡単アイスクリームのできあがり! (これに1カップほどのヨーグルトを加えると、さっぱりして、サクサクとスプーンの入るヨーグルトアイスも作れる)

アイスクリームの材料ハンドルにウィスクを取り付けるビーカーに卵1個分の卵白を入れて、メレンゲにする
完成した卵のメレンゲ生クリーム、砂糖、ココアパウダーを泡立てる泡立てたメレンゲと生クリームを合わせる

メレンゲと生クリーム作りの様子

再びウィスクでよく混ぜる混ぜた材料を小分けして冷凍
1時間程度で固まる完成したアイスクリームは、ふんわりした口当たり

 今回は卵とクリームの分離もなく、非常に口当たりのよいアイスクリームに仕上がった。メレンゲと生クリームがしっかり混ざったからだろう。

 ボウルではなく、縦長のビーカーを使用することで、ウィスクと卵白が接触しやすいからだろうか。普段使用しているプラスチック製の電動泡立て器よりも、早く泡だったような気がする。ウィスクが小ぶりだったので、正直その力を侮っていたのだが、十分な働きをすることが分かった。

 ただし、ウィスクの根元がガタつきがなため、後半は振動で音を発するようになった点が気になった。


お酒のつまみ風メニューとクラッシュアイスを「ESTM4600」で

 お昼はポタージュスープとバジルパスタ。では夜用に何かを、と考え、ミニチョッパーでスパイシークラッカーを作り、ビーカーとステンレスシャフトでタルタルソースを作り、再びミニチョッパーでクラッシュアイスを作ってみることにした。つまり、「ESTM4600」で3点全部やってみようというわけだ。

 まずタルタルソース。ビーカーにゆで卵2個、マヨ-ネーズ大さじ5杯程度、玉ねぎ1/4個、パセリ、塩を適量入れ、ステンレスウィスクををゆっくり5回転。すると、あっと言う間に滑らかなタルタルソースが完成してしまった。昔は玉ねぎをみじん切りにし、卵は一生懸命フォークで潰していたのを思い出し、不思議な気分になってしまった。

タルタルソースの材料をすべてビーカーへステンレスシャフトで数回ミキシングあっと言う間にタルタルソースが完成

 次にスパイシークラッカーだ。チョッパービーカーに小麦粉、強力粉、オリーブオイル、鷹の爪、ニンニク1かけ、塩、胡椒適量を入れ、様子をみながら20秒ほど ミキシング。すると、ほどよく捏ねられた生地が完成。これを打ち粉したペーパーの上で薄くのばし、フォークで穴を開けて、適当なサイズにカットしたら、 180度~200度のオーブンまたはオーブントースターで、焼き色が付くまで焼く。これでピリリと辛いスパイシークラッカーが完成。

スパイシークラッカーの材料を全部チョッパービーカーへハンドルを取り付け、様子を見ながら混ぜるクラッカーの生地が完成
取り出した生地はまとめて1mm程度に伸ばし、カットして焼く見栄えはよくないが、スパイシークラッカーが完成

 最後はクラッシュアイス。スパイシークラッカーを焼いているうちに、チョッパービーカーを洗い、製氷皿の氷を入れて、スイッチオン。ガラガラと音を鳴らして氷が粉砕された。バランスよく砕けたクラッシュアイスが完成!! と言いたいところだったが、実際には部分的に粗めのかき氷のような状態。砕けきらない氷が残る形となってしまった。

 あとで取扱説明書を確認したところ、氷は2.5cm以下のサイズで、最大8個までとするとあった。今回は明らかに入れすぎであることが判明。注意しよう。

洗ったチョッパービーカーに、氷を入れる(実は入れすぎ)クラッシュアイスというより、粗めの雪という感じ

 あとはお皿にスパイシークラッカーとタルタルソースを盛りつけ、クラッシュアイスには好きなドリンクを注げばOK。今回はクラッカーの生地を厚くしすぎたため、ちょっと固くなってしまったが、もっと薄く、1~2mmにのばせたら、サクサク感が出るに違いない。

それぞれを盛りつけるスパイシークラッカーとタルタルソースは結構合う!


玉ねぎみじん切りをテスト(ミニチョッパー、ビーカー+ステンレスシャフト)

 ここで大事なテストを忘れてはならないだろう。それは、誰もができるなら避けて通りたいであろう「玉ねぎのみじん切り」だ。みじん切りはミニチョッパーの仕事なのだが、一応ステンレスシャフトを使うとどうなるかもあわせて試してみた。

 結果、ミニチョッパーを使うと、不揃いながらもみじん切りができることが分かった。ただし、チョッパーブレードの刃が包丁ほど鋭利ではないためか、フタを開けた瞬間、かなり涙腺を刺激される。あまり覗き込むと涙が出るので注意しよう。

 みじん切りは大分水っぽい仕上がり。途中で混ぜてみたのだが、破片のサイズはブレードに近いほど細かくなっていた。肉などと混ぜて使う分には問題なさそうだが、単に玉ねぎのみじん切りだけが目的の場合は、多少の妥協は必要そうだ。

それぞれのビーカーに1/4カットの玉ねぎをいれるミニチョッパーで作ったばかりのみじん切り混ぜてみたが、サイズはバラバラで水っぽい

 一方、ステンレスシャフトのほうは、まったくみじん切りにならなかった。タルタルソースにみられるように、あらかじめもっと細かく刻み、他の食材とあわせて使用する分には問題ないようだ。(ただしみじん切りよりはペーストに近くなる)

無理を承知で、ステンレスシャフトでみじん切りに挑戦ステンレスシャフトの様子


玉ねぎがみじん切りされる様子


味方につけると調理効率がアップ!

 アタッチメントの交換は非常に簡単で、ステンレスシャフト、ウィスク、ミニチョッパーの切替は楽に行なえた。ミニチョッパーとビーカーのサイズはちょうどよく、おかげで、混ぜるのも捏ねるのも手間がかからない。

 ステンレスシャフトは1種類だけだが、ウィスクとミニチョッパーの3点があれば、大抵の調理はカバーできそうだ。シンプルで分かりやすいところもよかった。ちょっと粒を残したい、とことん滑らかにしたいといったニーズに応じて、回転数も2段階で選べるので使いやすい。ハンドルは手の小さな方には太めだが、両手を添えれば問題ないだろう。

 気になる点があるとすれば、コードの固さゆえにかさばる感じがすることと、ウィスクの根元の安定感だろうか。また、もう少し明るい配色だと、使っていて気分も明るくなりそうだ。

 まだまだ自分のメニューが少ないのでバリエーションが出しにくいが、一連の調理を通じて、「ESTM4600」を味方につければ、調理時間がかなり短縮できると実感した。フードプロセッサーと、電気泡立て器を別々に購入するとスペースが……という方は、十分選択する価値がある。




2010年11月29日 00:00