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第7世代のプラズマクラスターイオン発生素子
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シャープ株式会社は、同社の除菌・抗ウイルス技術「プラズマクラスターイオン」が、鳥インフルエンザにも有効であると発表した。
プラズマクラスターイオンは、同社のエアコンや空気清浄機に搭載される、イオンによる除菌・抗ウイルス技術。製品カタログなどでは「除菌イオン」と表記している。シャープでは第7世代に当たる、イオン発生装置を開発。その効能を、ウイルス学の権威であるロンドン大学教授のジョン・オックスフォード博士とともに検証した。
その結果、第7世代で放出したプラズマクラスターイオンによって、1立方mのボックスに噴霧された鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を10分間で99.9%除去できたという。第7世代のユニットは、1立方cmあたり50,000個と高い濃度で放出できるのが特徴。第6世代では同7,000個、現在、販売されている空気清浄機やエアコンに搭載されているイオン発生ユニットは、同3,000個ほどの濃度となっている。
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今回の実験に用いた装置
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歴代のプラズマクラスターイオン発生素子
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発生素子の進化の過程。第7世代で、濃度が約7倍になり、効果が高まった
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プラズマクラスターイオンは、空気中に含まれる水を電気分解して生じたOHラジカルとそれを包む水分子の総称。OHラジカルが、ウイルス表面のタンパク質を変質させ、感染力を失わせる仕組み。
鳥インフルエンザウイルスは、「50%除去できれば、かなりの割合で感染を減らせる」という。オックスフォード博士は、「マスク、手洗いなど基本的な予防策と同時に、有効な防御手段になるだろう」とお墨付きを与えている。
現在開発されている同50,000個まで濃度を高めた第7世代の搭載製品は、「そう遠くない将来」(専務執行役員 技術担当 太田賢司氏)に商品化される見通し。
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専務執行役員 技術担当 太田賢司氏
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ロンドン大学教授のジョン・オックスフォード博士
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また、太田氏は「液晶は40年、太陽電池は50年かけて技術を磨いてきたが、時代は変わった。これからは外部と連携して、よりスピーディな開発が必要とされる」とし、オックスフォード博士との連携について述べた。空気清浄機やエアコンなど医療用機器に分類されない電気製品は薬事法により、直接的にウイルスへの効能を謳うことができない。そこで各メーカーは学術機関などと連携し、製品レベルではなく、要素技術の実証実験という形を取り、その有用性をアピールしている。シャープではこうした取り組みを「アカデミックマーケティング」と呼んでおり、これまでにも国内外の機関と共同研究を重ねている。
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プラズマクラスターイオンがウイルスを無力化する際のイメージ図
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プラズマクラスターイオンを使った場合、使わない場合の比較
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最新の第7世代のユニットでは、10分で99.9%除去できる
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鳥インフルエンザは、アジア圏を中心に鳥類の間で感染が進んでいるウイルス。現段階では年間の死亡者数は340名ほどだが、ポリオや天然痘と違い、突然変異するため、ヒト同士で爆発的に感染する恐れがあるという。オックスフォード博士は、インフルエンザの予防には3段階の“壁”が必要とし、「1つ目がワクチン、2つめがタミフルなどの薬、3つ目がマスクや手洗いのほか、こうしたイオン技術の導入など個人でできる対策だ」と述べている。
■URL
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/080827-a.html
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( 本誌:伊藤 大地 )
2008/08/27 17:16
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