毎年新しいモデルが発売されるエアコン。「1年でさほど性能がよくなるわけがない」というのは、2011年までの話だ。それまでは、電力消費の多い家電の代名詞となっていたエアコンだが、メーカーが凌ぎを削って毎年省エネ性を向上させてきた。

 そのきっかけとなったのは、東日本大震災以降の省エネ志向だ。効率よく運転するために、さまざまなセンサーを内蔵し、最高のパフォーマンスで運転できるようにコンピュータ制御している。

 またエアコンは、時代に合わせたトレンドがある。今や当たり前のフィルター掃除機能は、パナソニックがトレンドリーダー(2005年モデルから搭載)だ。その後も、エアコンの性能を大きく左右するコンプレッサの改良、暖房時の霜取り運転での室温低下防止(蓄熱方式としてはパナソニックの「エネチャージ」が最初)、室温を安定させる技術など、省エネ性との2本立てで進化している。

 昨年のトレンドは「気流制御」。大型フラップを搭載して、より遠く、より広く冷風を送ったり、暖房時の温風を床に押さえ込むというものだった。

2枚の大型フラップは、隙間を大きく開けると優しい風、絞り込むとホースを絞ったときのように強い風を遠くに送る

 そして今年度以降のトレンドになりそうなのが、「家族一人ひとりに快適な温度を作り出す技術」。そのトレンドの牽引役となるメーカーの1つがパナソニックだ。

一人ひとりの快適空間を創り出す

 パナソニックのWXシリーズは、家族一人ひとりの温度の感じ方=温冷感を把握する。最大8人の居場所、ならびに全身の表面温度をサーモカメラで読み取り、独自の画像解析方法で温冷感を計算、その結果を元に気流を制御する。

エアコン本体内にあるセンサー類。左側の3つが「ひと・ものセンサー」の役割を果たすもので、中央部には左から順に「日射センサー」、表示パネル、リモコン受光部を搭載。右側には温冷感センサーを備える

 エアコン内部には「温冷感センサー」というサーモカメラが内蔵されており、運転中は左右170度に首を振り、部屋全体を見回している。

 パナソニックの画像解析技術は、人を認識後、その人の肌の露出度合などによって異なる全身の表面温度を検出。周囲との温度差を比較して、家族それぞれの温冷感を計算している。

 これは世界初(※1)となる技術で、体の表面と周囲の温度を検知するセンサーと、それらから算出する人体の放熱量から「暑い」「寒い」を解析する独自のアルゴリズムにより実現されている。体表面の温度が同じでも、状況によって異なる温冷感に合わせて気流を制御しているのだ。

ノースリーブを着た女性は、肌からの放射熱が多く寒いと感じていると測定。男性は露出部が少ないため暑いと感じていると判断する

 WXシリーズは、サーモカメラの画像を詳しく解析して気流を制御する。人の位置と温冷感の差から、送風する冷気を自動で吹き分ける(※2)。人の温度の感じかたのメカニズムをセンシングに導入するというロジックを進化させた、画期的で高性能なソフトウェアにより、家族一人ひとりの快適空間を作り出しているのだ。

こまめに・賢く節電するエコナビ

 パナソニック独自の機能「エコナビ」も進化している。左右に回転する温冷感センサーで、部屋にいる人の微妙な温度の感じかたの違いまで計測。人のリアルタイムな動き、部屋の間取り、壁・天井の温度、日差しは、従来から搭載しているひと・ものセンサーと日射センサーで見張る。これらを組み合わせて運転を制御することで、省エネ性を向上させている。

 ひと・ものセンサーは、防犯ライトなどにも使われているものと同じ焦電方式のセンサー。WXシリーズではこのセンサーを3つ搭載し、人の動きと人そのもの、その動線などから割り出される家具の配置、人の生活エリアを把握している。これにより、次のようなシーンに応じた、カシコイ節電運転をやってのけるのだ。

ひと・ものセンサーは防犯ライト同様、人がチョットでも動くと反応する

こまめなパワーセーブ運転と消し忘れ防止

 洗濯物を干したり、子ども部屋を掃除したりするなど、リビングから人が居なくなると自動的にパワーセーブ運転に切り替わる、不在省エネ運転(※3)。連続して3時間不在の状態が続くと、消し忘れと判断して自動で電源を切る、オートオフ機能(※4)。再運転はしません。

部屋にいる人数に応じた省エネ運転

 部屋に1人しかいない場合は、その人に向けて冷風を送ることで、無駄な電力を消費しないというカシコイ運転ができるのも特徴だ。

家具の配置や生活エリアを学習して効率運転

 ひと・ものセンサーは、家具の配置なども学習しながら人の生活エリアに冷気を送るようになる。同時に壁や天井の温度も調べることで室温が上がるか下がるかを判断し、風量をこまめに調整する。

お天気や昼夜でエアコンを微調整

 日射センサーは、天気や昼夜を見分け、無駄に冷やしすぎたりしないようにパワーセーブ運転をする。

パナソニック製品のほとんどについているエコナビで、省エネ化に取り組んでいる。エアコンも賢く、こまめに節電

 なおWXシリーズは、温冷感センサーを加えてさらに進化したエコナビで、平成27年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞している。

パワーは1割増なのに運転音は1/5まで静かに

 省エネ性能では、センサーと高度なソフトウェア処理技術がベースとなっていることがわかった。さらに制御面でも、ソフトウェアの最適化と効率化が徹底的に見直されている。それを実感できるのが、次の4点だ。

1. すぐに冷気が出る
2. すぐに適温になる
3. 適温になると音が静かになる
4. 天井からシャワーのような気流が出る

 1と2は、冷暖房機能を大きく左右するコンプレッサの回転速度を、ソフトウェアの独自制御で前モデルの6倍まで高速化。これにより、設定温度に達するまでのスピードが11%(※5)もアップしたことで実現した。

 3は、より安定してコンプレッサを運転できるようになったため、運転音が従来の1/5(※7)になった。普段は気にならないエアコンの運転音だが、静かな夜に仕事をしたり、音楽を聴いたりしていると、コッコッコッ……というコンプレッサの音や、室内機の送風音が耳障りに感じるときがある。WXシリーズは、この音がほとんど聞こえないほど静かだ。

室温が安定すると運転音も静かに

 4では、快適な室温になると2枚のビッグフラップ(羽)が天井に向けて送った冷風が、優しく降り注いでくる。エアコンが苦手という女性には、とても嬉しい機能だ。

大型フラップを上に向けることで、天井にそうように冷気を送る。直接冷気が当たらないので寒がりさんも安心

 ちなみに大型フラップは、内部を真空(空気の層を作ることで断熱性を向上)にして結露を抑えているという。

ビッグフラップの断面図。内部が真空になっていることがわかる

お掃除ロボット搭載! UV&Ag⁺(銀イオン)でいつでもキレイに

 フィルター自動お掃除機能のパイオニアだけに、その性能は間違いなし。一定時間運転すると、3ステップで自動お掃除を行う。

1. ブラシでフィルターの掃き掃除
2. ホコリを吸い込む
3. 屋外へ自動排出

 また、「お掃除ノズル」には独自のUVユニットを搭載。このUVユニットとフィルターにコーティングされた銀イオン(Ag+)により、除菌(※8)、カビ抑制(※9)の効果が期待できる。さらにフィルターのホコリは、掃除機のように吸い込まれダクトを通して屋外へ吐き出される。フィルターを清潔に保つことで、いつもキレイな空気を部屋に送りつつ、省エネ性能もベストコンディションを保ち続けられる。

 最後に、お掃除ロボット搭載機に買い換えるときのポイントをチェックしたい。エアコンの配管を通す壁の穴は、たいてい70mm(7cm)となっている。しかし機種によっては、ゴミを外に吐き出すホースが1本追加されるため、75mmや80mmの穴が必要になる場合がある。ところがWXシリーズは70mmでOK! 従来のエアコンからの乗り換えでも問題なく取り付けられる。

エアコンの配管を通す穴は70mm。エアコンの買い替えでも追加工事は必要ない。ただし、配管カバーをつける場合は一部交換(エルボー)が必要になる場合も

ユーザーの声を反映するパナソニックのエアコン

 通販や量販店で家電製品を買う人が増えてきた昨今。そんな中、郊外のパナソニックのお店には年配の方が家族と訪れ、製品の相談や要望を雑談交じりに語り合うことも多いという。だからこそ、パナソニックにはお客さんの生の声がたくさん集まり、それを製品にフィードバックできる。これも、パナソニック製品の特長の1つと言える。

 今回紹介するエアコンも、一人ひとりの「あるといいな!」が形になったもの。だからパナソニックのエアコンは、トレンドをけん引するリーダーになりうるのだ。来年のモデルは、アナタの「あるといいな!」が形になるかもしれない。

(Reported by 藤山哲人)

※1:家庭用エアコン、からだからの放熱量を見て、独自のアルゴリズムで人の「暑い」「寒い」を見分ける技術。2015年10月21日発売(パナソニック調べ)
※2:同時に吹き分けるわけではありません
※3:パナソニック測定基準による。CS-WX406C2、パナソニック環境試験室(14畳)、外気温35℃、体感温度25℃が得られるように設定、冷房安定時。運転安定時1時間の積算消費電力量が、不在省エネ運転を行った場合(240Wh)と、連続運転を行った場合(300Wh)との比較
※4:お客様ご自身でリモコン設定していただく必要があります
※5:新製品CS-X406C2と、当社従来品CS-X405C2との比較(※6)。当社独自の条件により評価。設置環境、使用状況により効果は異なります
※6:パナソニック環境試験室(14畳)、外気温35℃で均一な状態で、冷房設定温度27℃で運転した場合。新製品CS-X406C2と当社従来品CS-X405C2において、起動から設定温度到達までの時間を比較
※7:新製品:CS-X406C2=33dB(音圧レベル20dB、SONE値 約0.22)と、当社従来品:CS-X405C2=47dB(音圧レベル34dB、SONE値 約1.13)との比較。冷房安定時。dBは運転音の騒音レベルを表わす単位。実際に耳に聞こえる音の大きさを表す単位は、実感音SONE(ソーン)です
※8:パナソニック調べ。実使用空間での実証効果ではありません。効果は使用環境により異なる場合があります。フィルターおそうじ運転と本体内部おそうじ運転後の効果です(※10)
※9:実使用空間での実証効果ではありません。効果は使用環境により異なる場合があります(※11)
※10:【試験依頼先】(一財)日本食品分析センター【試験方法】環境試験室(39m³)での試験。冷房運転停止後、フィルターに菌を付着させ、フィルターおそうじ運転と本体内部おそうじ運転有無の条件で、菌数を測定【対象】フィルターに付着した菌【試験結果】おそうじ機能なしに対して、99%以上抑制。第14059392001-01号(試験は1種類のみの菌で実施)
※11:【試験機関】環境生物学研究所【試験方法】環境試験室(39m³)での試験。フィルターにカビセンサーを設置。室温25℃、湿度70%で、おそうじ機能有無の条件で冷房運転・停止を4日間実施し、カビセンサーの菌糸長を比較【抑制の方法】フィルターおそうじ運転と本体内部おそうじ運転を動作【対象】フィルターに付着したカビ【試験結果】カビ菌糸の成長抑制効果あり。 No.151107

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