三菱電機の新IHクッキングヒーター「CS-PT34HNWSR」(2014年10月21日発売予定)三菱電機の新IHクッキングヒーター「CS-PT34HNWSR」(2014年10月21日発売予定)

“ガスと同じように使える”というレベルを超えた、新しい調理器具だという三菱電機のIHクッキングヒーター。その魅力を探りに、三菱電機ホーム機器へ取材に出かけたのが今年2月のこと。交互対流加熱で煮込み料理を可能にしたり、業界最大の直径約26cmの大口径のIHコイルを搭載するにいたった開発秘話など、たっぷり勉強をさせてもらったわけですが、なんとIHならではの多彩な加熱機能がさらに進化した新商品が10月に発売されるとのこと! 実際に使ってみたいという気持ちがむくむくと沸き上がり、今回は取材ではなく、ひと足お先に新製品をデモ機で体験させていただくことに。秋の食材をたっぷり使った料理作りを通じて、新商品の魅力をレポートします。

新製品の特長は熱風循環加熱式のオーブンにあり!~焼き芋に挑戦

 新製品の特長はグリル部分の加熱方式を刷新し、熱風と上ヒーターで食材を加熱する熱風循環加熱式を採用している点にあります。下ヒーターをなくしたことで庫内の有効高さがグンと大きくなり、業界最大※の90mmに。つまり、背の高い料理もできる本格的なオーブンになったのですね。庫内底面がフラットな構造になったのでお手入れも簡単になっています。
※2014年9月29日現在(家庭用ビルトインIHクッキングヒーターにおいて)

熱風循環加熱式「びっクリアオーブン」熱風循環加熱式「びっクリアオーブン」

 三菱電機ではこれを「びっクリアオーブン」と名付けていますが、さてさて、その実力はいかがなものでしょう。まず試したのが秋の味覚の1つ、サツマイモを使った「焼き芋」。私はこれまで蒸し器やスチームクッカーなどを使って蒸す、「ふかし芋」しか作ったことがなく、皮がこんがり焼けて甘みがある「焼き芋」というのは家では無理なように思っていました。この「びっクリアオーブン」は先ほどお話ししたように庫内の高さがあるので、大きめのお芋でも入りそうです。

 焼き芋の作り方はいたって簡単。洗って水気をふいたサツマイモ2本をオーブントレイに並べ、電源をオンにします。するとどうでしょう。ジャラララーンとまるでパソコンが立ち上がるときのようなメロディとともに、火加減を示すサインのLEDが左から右に流れるように点灯して、気分が盛り上がります。「さあ、これから料理を始めますよ」という合図で楽しい気分になれるのです。

 グリルの操作はすべて天面で出来るので腰を屈める必要はなし。「火力4」で30分のタイマーをセットしたら、あとは放ったままでOKです。この間に次の料理の下ごしらえをすることにしましょう。

大きなサツマイモの焼き芋にチャレンジ大きなサツマイモの焼き芋にチャレンジ
庫内の高さも従来比1.5倍の約90mmなので、大きなサツマイモでもスッポリおさまります庫内の高さも従来比1.5倍の約90mmなので、大きなサツマイモでもスッポリおさまります

「びっくリング加熱」の煮込みモードで豚汁作り

 焼き芋をオーブン任せにしている間に、根菜やきのこなどがたっぷり入った豚汁を作ります。材料を刻んで下ごしらえが済んだら、お鍋を用意。直径約26cmの大口径IHコイルを使っているので、大きなお鍋が使えるのも三菱のIHクッキングヒーターならでは。

まずは豚汁の下ごしらえを。直径約26cmの大口径のびっくリングコイルP(プレミアム)。こんなに大きな鍋でたっぷり作れます

 お鍋をのせたら予熱を開始。オーブンの右側にあるダイヤルを押してスイッチオン。火加減はつまみを回して調節できるので、まさにガスと同じ感覚で使えます。保温、1、2、3~8、最強の3kwまで表示では16段階で示され、ダイヤルを回して火力を上げると、LEDで火力レベルの表示(待機:青色→加熱:赤色)が変わっていきます。また、ダイヤルを回しているとピンク色に変わる瞬間があります。これは0.5を表していて、火力4.5というように、さらに細かい温度調整ができるようになっているのです。

 お鍋が温まったら少しサラダ油を入れ、豚肉、根菜、こんにゃく、きのこの順に炒めていきます。炒める際にも、ガスのときと同じようにダイヤルで火加減を調整できるのがとても便利。初めて使う人でも直感的に操作ができるというのはいいですよね。これなら年配の方でも安心して使えるように思いました。

 ざっと炒めたところで水を入れ、加熱を強めてアクをとります。沸騰までの時間がはやいのはさすがIH。熱効率がよいため大きなお鍋なのに、びっくりするくらいはやく沸騰しました。ここでいよいよ煮込みモードに。煮込みモードも豆などを煮るのに適した「煮込み1」、カレーやスープなどに適した「煮込み2」、魚の煮付けのように水分を飛ばして煮詰めたいときにぴったりの「煮込み3」と3種類ありますが、今回は「煮込み2」に設定。自動で交互対流を起こして、食材全体に煮汁を行き渡らせてうま味をしみ込ませる「対流煮込み」がポイントです。

材料を入れたら煮込み開始。「対流煮込み加熱」が食材全体に味をしみ込ませてくれます

ほっくり甘い飛び切りの焼き芋が出来上がり~

 そろそろ焼き芋が焼けたころ? オーブンの様子をのぞいてみても中は見えず、「もしかして焦げているのでは?」と気にしていたら、グリル照明ボタンを発見。このボタンを押すと明かりがつき、中の様子がくっきりと浮かび上がって見えます。しかも押している間だけ点灯するというムダのない設計。ついつい、つけっぱなしになりそうなのに、こんなところにも省エネの精神が行き届いていて感心です。

右側にあるグリル照明ボタンを押すと、明かりが点灯して中の様子がチェックできます

 焦げすぎの心配はないようで安心。まだ時間まで少しあるので、次に焼くサンマに塩をふっておくことにしましょう。・・・とバタバタしているうちに「グリルの調理はあと3分です」とのアナウンスが! 急に「調理が終わりました」と言われると焦ってしまうけれど、3分前に知らせてくれるのは便利です。魚のにおいがついた手を急いで洗い、焼き上がりに合わせてスタンバイしました。

 開始から30分で調理が終わり、竹串を刺して焼け具合をチェック。サツマイモが大きかったため、あと少し焼いた方がよさそうです。「追加加熱」を8分ほどセット。さあ、いよいよ焼き芋の完成です。

 見た目はまるで石焼き芋のよう。ミトンをはめたまま、熱々の焼き芋を2つに割ってみると皮がこんがり、中は黄色くほっくりと焼けて甘くいい香りがします。ちょっとお行儀が悪いと思いつつも、その場で味見をしてみると、大成功! まるで買ってきたみたいにホクホク甘い焼き芋が完成していました。熱風循環加熱式だから全体にムラなく熱が行き渡り、ちょうどよい焼き加減になるのですね。

本格的なおいしい味わいの焼き芋が完成しました!

オーブンでサンマはおいしく焼ける!?

 秋といえば、その名が示すとおり秋刀魚(サンマ)です。これまで上下のヒーターで焼いていたものが、熱風循環加熱式になっても本当に魚がおいしく焼けるのか正直言って心配。おそるおそる試してみることにしました。

 オーブントレイにアルミホイルを敷き、オーブンネット(グリルあみ)をセットしたらその上にサンマを並べます。熱風が出てくる奥の方に頭を向けて並べるのがポイント。グリルメニュー「姿焼き」を選び、5段階ある焼き加減から「標準」を選んでスタートします。センサーで火の通り具合をチェックしてくれるので、あとはお任せで大丈夫とのこと。液晶表示を見ると「時間計測中」となっています。

サンマの頭を熱風が出てくる奥に向けてセットしたら、グリルメニュー「姿焼き」を選ぶだけ

 だいたい20分くらい経ったところで調理終了の合図が。ふっくらと色よく焼けているようです。気になる裏面はどんな感じかとひっくり返してみると、こちらもしっかりと火は通っている様子。冷めないうちにまずは1匹食べてみることにしましょう。

 上にしたほうの皮目はこんがりと焼けていて、中も十分に火が通って格別の味。苦みがおいしいワタの部分もちょうどよく焼けています。熱風循環加熱式のオーブンでここまで魚がおいしく焼けるなんて、びっくりしました。

焦げ目もついておいしそうに焼きあがりました。サンマも中までしっかり火が通っていて、ワタの焼き具合もバッチリです

グリルディッシュバリエできのこのパエリアを

 ぜひとも使いたかったのが、製品に付属する三菱電機ならではの「グリルディッシュバリエ」。パンを焼いたり、ハンバーグを焼いたりと、活躍する調理がいろいろあるこのグリルディッシュですが、今回はごはんものにしたかったので、鶏ときのこのパエリアに決定。

 フライパンで鶏肉や香り付けのニンニクなどを炒めてから、お米を加えてさらに炒め、サフランやコンソメのスープの素を入れたぬるま湯を投入して、火力3で5分ほど煮ます。ここまで調理を終えた段階で深型ディッシュにフライパンの中身を入れ、表面を平らにしたら、浅型ディッシュでふたをして準備完了。

 オーブントレイにオーブンネット(グリルあみ)をセットした上にグリルディッシュを置き、グリルメニュー「パエリア」で25分加熱します。食卓が華やかになるパエリアも芯がありすぎたり、焦げてしまったりとけっこう火加減が難しいものですが、これなら簡単です。

続いては、鶏ときのこのパエリアにチャレンジ。パエリアは火加減の難しい料理ですが、グリルメニューに「パエリア」モードがあるので、簡単においしく作ることができます

楽しいグリル料理を提案するグリルディッシュバリエ

浅型と深型の2枚1セットのグリルディッシュバリエ。2枚を組み合わせてパン焼きや炊飯に、1枚だけでもグリル皿として使え、料理の幅がグンと広がります。

ノンフライの鶏の唐揚げもカリッとジューシーな仕上がりに

 欲張りな私、パエリアで使い残した鶏肉でノンフライ調理の唐揚げも作ってみることにしました。パエリアを調理している間に、鶏肉をひと口大に切り、ビニール袋に入れて唐揚げ粉をまぶしておきます。ちょっとひと休みしているうちに、3分後にパエリアが出来上がるという音声ガイドの声。ミトンをはめてスタンバイです。

 パエリアの焼き加減(炊き加減)も上々。魚介類が入っているわけではないので、ちょっと見た目は地味だけれど、きのこの香り豊かなパエリアが完成しました。芯がなく、かといって、水気が多すぎてベチャッとすることもなく、パラリとした食感。具材次第でいろいろと楽しめそうです。

さあ、パエリアの完成です。パラリとした食感で焼き加減もバッチリです

 唐揚げはグリルあみに皮目を上にして鶏肉を並べ、グリルメニュー「ノンオイルフライ」で18分。鶏肉の分量に応じて時間は調節しますが、長くても22分程度。油を使わない唐揚げは電子レンジや専用の調理家電など、いろいろと試したことがありますが、見た目は似ていてもけっこう味わいが異なります。脂分が落ちればいいというわけでもなく、わりと多いのがかたくて水分が飛んでしまったような仕上がりのもの。

 さて、この熱風循環加熱式の「びっクリアオーブン」を使った唐揚げはどんな具合でしょう? ひと口噛んでみると、外はカリッとしているのに、中はジューシーでうま味もたっぷり。これはかなりの出来映えです。ノンフライ調理にそんなに魅力を感じていなかった私ですが、「これはいける!」と見直しました。

パエリアで鶏肉があまったので、唐揚げも作ってみることに。ノンフライでも外はカリッと、中はジューシーな唐揚げが出来ました

家でマカロンなんて作らない!? いえいえ、楽しいんです

 最後に挑戦したのがマカロン。というのも、この「びっクリアオーブン」は130℃というオーブンとしては、低温の温度調整ができるのも魅力の1つです。これまでは150℃以上でないと設定できなかったので、130℃で30分焼き上げるマカロンのようなお菓子や、じっくり水分を飛ばす野菜チップスのようなものは作れなかったのです。

 ならば、せっかくの機能を使って人気のお菓子作りにチャレンジしないわけにはいきません。泡立て器を使い、生地作りが済んだら、浅型ディッシュに丸く種を絞り出していきます。均等に絞り出していくには慣れが必要のようで、最初は悪戦苦闘。大小さまざまなマカロンが焼き上がることとなりましたが、やってみると案外楽しいもの。

最後にマカロンを作ります。生地を作って丸く種を絞り出していきます

 マカロンを焼く130℃の温度帯はとてもデリケートなので、130℃にセットしたら温度が安定するまでの6~7分は予熱が必要です。何回かに分けて色とりどりのマカロンを焼き上げ、冷ましてから上下を組み合わせて最後の仕上げに。私は甘いものが苦手なので、何も挟まずマカロンだけのシンプル仕様に。でも、上下のカラーを変えて組み合わせてみたら、おしゃれな感じになりました。サクッとして、中はふんわりしっとり。うーん、なかなかの出来映え。「家でマカロンなんて作らないでしょ?」と思っている方、だまされたと思って作ってみてくださいね。

色とりどりのマカロンが完成! オーブンとしては、130°という低温の温度調整が可能なので、お菓子作りが楽しめるのも魅力です

ますます調理が楽しく、おいしくなる万能調理家電

 ひと通り調理してみて感じたのは、炒める、煮込む、焼く、炊く、お菓子を作る・・・とまさに万能の調理家電なのだなということ。火を使わないから安心とか、お手入れが簡単だとか、そんな次元を超えた楽しさが広がる「調理家電」だと実感しました。

 しかも簡単にできるし、仕上がりがきれいで味も本格的。基本的におまかせでOKなのに、味わい豊かな料理が食卓に並ぶのは本当にうれしいことです。これも作りたい。あれも作ってみようと、お料理が大好きになること間違いなし。さらにトッププレートの液晶画面に表示された二次元コードをスマートフォンで読み込むと、多彩なレシピを紹介する「三菱電機レシピ」にアクセスできます。IH以外の商品機能を活かしたレシピも載っているので要チェックですね。

いろいろなレシピが載っている、スマートフォン版の「三菱電機レシピ」

(神原サリー)

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