【第2回】リビングのテレビが子ども用PCに!
パソコンの使い方を親子で学ぶにもCompute Stickは最適

インテルから登場したスティックPC「インテル® Compute Stick」は、手のひらに収まるスティック形状という、これまでのPCの常識を破る超小型PCであり、アイデア次第でその可能性は大きく広がる。そこでここでは、子どもに使わせるPCとしての活用法を紹介したい。例えばリビングの大画面テレビに挿して「リビングPC化」することで、子どもとPCの距離を縮め、PCの使い方を親子いっしょに学ぶ契機にもなりうるのだ。

「PCとのつきあい方をどうするか」というのは、年頃の子どもを持つ親共通の悩み

筆者は、PC/ITライターとして仕事を始めてもう25年ほどになる。仕事がら家にはPCやタブレットなどの機器が多い。そういう事情もあり、小5の娘と小2の息子も小さい頃からPCやタブレット、ゲーム機などに触れる機会が多く、PCやスマートフォンなどの扱いに慣れた、いわゆるデジタルネイティブ的な育ち方をしている。娘が通う小学校でも授業でPCを利用することがあるようだが、家でPCを使っていれば、学校でのPCを利用した授業も楽について行けるようだ。娘は先日、「学校でPowerPointの使い方を教わった」などと話しており、出された課題もPCで検索して調べるなど、PCがある生活が当たり前となっている。

「子どもがPCやタブレットを欲しがっているのだが、どうしたらいいか」というのは、小学校高学年から中学生くらいの子どもを持つ親の共通の悩みだ。子どもが欲しがってるからといって、自由に使えるノートPCやタブレットをいきなり与えてしまうと、親の目の届かないところで、親としては見せたくないサイトを見てしまったり、ゲームやSNSなどにはまってなかなか寝なくなってしまうといった問題が起きがちだ。もちろん、特定のサイトを見せないようにしたり、PCやタブレットの利用時間を制限するソフトはあるのだが、やはり、最初は親の目の届くところで、親と一緒にPCを操作して、インターネットやPC利用に関するリテラシーを高めていくというのが理想であろう。

また、以前に比べると安くなったとはいえ、Windows 8.1を快適に利用できるノートPCやタブレットを購入するには、数万円から10万円程度の予算が必要になってくる。親と共用で使うならともかく、子どものための出費としては決して安いとはいえない。さらに、小型のモバイルノートPCやタブレットなら設置場所はあまり問題にはならないが、液晶一体型PCや15型クラスのA4ノートPCを子ども用PCとして新たに購入する場合、そのPCをどこに設置するのかというのも問題になる。子どもは自分の部屋に置きたがるだろうが、親としては目の届かない場所で使って欲しくはないし、学習机の上が狭くなってしまうのも困る。

インテル® Compute Stickなら子どもがこっそり使う心配はなく、価格や設置場所の問題もクリア

筆者も、自宅で子ども(特に下の息子)に使わせるためのPCを探していたのだが、なかなかこれといった製品が見つからない。子どもが初めて触れるPCとしては、ノートPCやタブレットには前述したような問題があり、購入に二の足を踏んでいたのだ。そんなときに耳にしたのが、インテルからスティックPC「インテル® Compute Stick」が登場するというニュースだ。筆者は、昔から「小さいPC」が好きで、NUCやモバイルPCなどを使ってきたが、そうした筆者でもインテル® Compute Stickの実物を見たときの驚きは大きかった。

インテル® Compute Stickは、手のひらサイズで、フル機能のWindows 8.1が快適に動作するパフォーマンスを実現していることが魅力であり、低消費電力設計がウリのインテル最新CPU「インテル® Atom™ Z3735F プロセッサー」の利点を最大限に活かした製品といえる。

手のひらサイズのインテル® Compute Stick。HDMI端子を装備しており、直接テレビに挿して利用する

インテル® Compute Stick登場のニュースを聞いて、真っ先に考えたのが、この製品は子どもが初めて触れるPCとしても優れているのではないかということだ。その理由は大きく分けて3つある。

一つ目は、HDMI入力を備えたテレビやディスプレイなどに接続しないと利用できないということ。つまり、単体で利用できるノートPCやタブレットとは違い、テレビやディスプレイのある場所でしか利用できないのだ。

筆者宅では、子ども部屋にテレビやディスプレイを置いていないので、インテル® Compute Stickの利用場所は、必然的に47型大画面テレビが設置されているリビングのみとなり、親の目の届かない所でこっそり使われる心配がなくなるのだ。もっとも、子ども部屋にテレビやディスプレイがある場合は、インテル® Compute Stick本体を親が管理しておくことにすればよい。Compute Scitkは小さいので、鍵付きの引き出しなどにも気軽に収納できる。

二つ目は価格だ。インテル® Compute StickはPCとしての基本機能のみを凝縮した製品であり、フル機能のWindows 8.1を搭載しながらも価格が2万円程度とリーズナブルだ。テレビなどのディスプレイデバイスと、キーボード、マウスなどのインターフェースを用意する必要があるが、ディスプレイはリビングのテレビをそのまま利用できるし、ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスのセットも3000円〜4000円程度で買えるので、トータルの出費がかなり安くてすむ。

三つ目の理由が、サイズだ。インテル® Compute Stickは、手のひらサイズで、重量も約54gしかない。大画面テレビに接続して使う場合は、HDMI入力端子にそのまま差し込むか、付属のHDMI延長ケーブルを使ってテレビの背面などに固定することになるが、どちらにせよ設置場所を用意する必要はない。

Stickを娘に見せたら、「これがパソコンなの?」とびっくりしていた

大画面テレビを見ながら子どもにPCの基本操作を説明できる

早速、インテル® Compute Stickを子どもと一緒に使ってみることにした。インテル® Compute Stickの利点を活かすには、やはりワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスを組み合わせるのがベストだ。

ここでは、マイクロソフトのワイヤレスキーボード&マウス「Wireless Desktop 800」を利用した。Wireless Desktop 800は、ドライバーなどをインストールする必要がなく、小型のトランシーバーをUSBポートに装着するだけで利用できる。インテル® Compute Stickは、テレビやディスプレイのHDMI入力端子に装着して利用するのだが、筆者宅のテレビではHDMI入力端子近くのコンポジット入力端子と干渉してしまうため、付属のHDMI延長ケーブル経由で接続した。下の写真では、本体が見えるようにわざと出しているが、通常の使い方ならテレビの背面に隠しておけば、外からは本体が見えず、邪魔になることもない。

マイクロソフトの「Wireless Desktop 800」。ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスのセットである
Wireless Desktop 800のレシーバーをインテル® Compute StickのUSBポートに装着する
付属のHDMI延長ケーブルを使って、リビングのテレビにインテル® Compute Stickを接続した

娘は、Windowsの基本的なGUI操作は一応理解しているようだが、テキストのコピー&ペースト操作などは知らなかったようなので、リビングで一緒に大画面テレビを見ながら操作を教えた。いわく、画面が大きいので操作を覚えるには分かりやすいとのことだ。小2の息子は、まだWindowsの基本操作がおぼつかないので、マウス操作の基本から教えたが、こちらもノートPCの狭い画面で見ながら教えるよりも楽だった。

また、娘は最近、Wii Uのカラオケソフトでカラオケを歌うことに熱中しており、ボカロ曲などをYouTubeで探して聞いていることがよくある。インテル® Compute Stickは、こうした用途にも最適だ。1080pのネット動画も問題なく再生できるので、娘もPVを見ながら歌を練習しやすいと喜んでいた。

Webブラウズはもちろん、デジタル教材や教育アプリの利用も

インテル® Compute Stickを利用した大画面テレビでのWebブラウズは非常に快適で、写真なども見やすい。親としてもリビングでくつろぎながら、子供たちがPCを利用している様子をチェックできるので安心だ。

Webサイトを閲覧中の娘。娘が何を見ているのか、チェックできるので安心だ

インテル® Compute Stickは、PCの使い方を学ぶだけでなく、学校の勉強にも役立つ。無料で利用できるデジタル教材が多数公開されているほか、Windowsストアにも教育用アプリが多数公開されている。

Webブラウザで閲覧できるデジタル教材もWindowsストアで公開されている教育用アプリも快適に利用できた。ただし、タブレットと違って、タッチパネルには対応していないので、タッチ操作や手書きが前提のアプリはあまり適していない。

マインクラフトや将棋アプリも十分遊べる

小学生の間で流行っているゲームといえば、なんといっても「マインクラフト」だ。子供たちは普段、PlayStation 3でマインクラフトをプレイしているのだが、PC版もプレイしてみたいというので、インテル® Compute Stickでもちゃんと動くのか試してみた。試したのは、MODを入れていない素のマインクラフトだが、最初の地形生成には多少時間がかかるものの、プレイに支障がでるようなことはなく、息子も娘もPC版マインクラフトを存分に楽しんでいた。

マインクラフトをプレイ中の娘。思ったよりも快適に動作していた

また、筆者の息子は昨年から将棋道場に通い出し、将棋を指すのが楽しくてたまらないらしい。筆者は駒の動かし方を知っている程度なので、息子に飛車を落としてもらっても勝てなくなってしまった。私では相手にならないので、最近はスマートフォン用アプリの「将棋ウォーズ」などでネット対局を楽しんでいるのだが、将棋ウォーズのPC版は、Webブラウザ上で動作するWebアプリなので、インテル® Compute Stickでも快適に動作する。

息子も早速、インテル® Compute Stickでネット対局をやっていたが、スマートフォンで対局する場合と違って、娘や私も盤面を見ることができるので、横から「負けそうじゃない?」などと声をかけられる。また、Windowsストアで販売されている将棋アプリ「金沢将棋」もダウンロードしてみたが、こちらも問題なく動作した。コンピューターとの対局のレスポンスも速く、快適であった。

Webブラウザ上で動作する将棋アプリ「将棋ウォーズ」で対局中の息子

低価格で場所をとらないインテル® Compute Stickは、子どもへのPC教育にも最適

このようにインテル® Compute Stickは、低価格かつ設置場所が不要なことがメリットであり、子どもが初めて触れるPCとしても適している。リビングの大画面テレビに接続して使えば、親子で同じ画面を見ながら、PCの操作方法や検索エンジンの使い方などを子どもに教えることができる。タブレットやノートPCでは、子どもが自分の部屋に持って行き、親に隠れて使うことも容易いが、HDMI入力を備えたテレビやディスプレイが自分の部屋にないのなら、インテル® Compute Stick本体は親が管理しておき、親がいるときだけインテル® Compute Stickを子どもに貸し出すようにすれば、より安心だ。

子どもが自分専用のPCが欲しいといいだしたら、まずはCompute Stickを使ってPCの操作方法やリテラシー、ネットの危険性などを、しっかりと子どもにマスターさせることをお勧めしたい。PCの使い方を一通りマスターし、子どもに自由に使わせても大丈夫だと判断したら、ノートPCなりタブレットなりにステップアップすればよいだろう。

(石井英男)

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