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500万画素のステレオカメラを搭載したプロ仕様のスマートグラス

エプソンのスマートヘッドセット「MOVERIO Pro(モベリオ プロ) BT-2000」

 エプソンは、業務用途のスマートヘッドセット「MOVERIO Pro(モベリオ プロ) BT-2000」を9月に発売する。価格はオープンプライス。参考価格は36万円。

 メガネのガラス部に0.42型、仮想画面サイズ64型相当の液晶パネルを内蔵し、送られてくる音声/画像/テキスト情報を確認しながら作業を行なえる業務用のウエアラブル情報機器。またヘッドセット部には、500万画素のステレオカメラや、高精度なジャイロ/加速度センサー機能を備えたIMU(慣性計測ユニット)、照度センサーなどを搭載。

 ステレオカメラは、動画や静止画、3D映像が撮影可能なほか、物体との距離を測定可能。センサー類は、IMUのほかにGPSや地磁気センサーを内蔵。使用者の向きや移動速度、移動距離を高い精度で測定する。これら本機で測定したデータは、リアルタイムに遠隔地に送れる。

高精細ディスプレイやステレオカメラを搭載。多彩なセンサーも内蔵する
ヘッドセット部とケーブルでつながるコントローラー部。Wi-FiとBluetoothに対応する
BT-2000の利用イメージ。大画面で表示される情報を確認しながら、同時に手元作業が行なえる
耳や頬骨だけでなく、頭全体で固定するため、装着感が向上。長時間の装着でも疲れない
未使用時にはメガネ=ディスプレイ部を跳ね上げておける
別売の専用ケースに入ったコントローラー部。グローブを着けた状態でも押し分けやすい大きさと間隔で配置

業務用スマートグラスへのユーザーからの期待が最新モデル開発につながった

 同社は2011年11月に、スマートグラス「BT-100」を、2014年には小型軽量化した「BT-200」を発売した。「BT-2000」は、それらの業務用モデルと位置づける製品。エプソン販売の代表取締役社長 佐伯直幸氏は、業務用スマートグラスを開発販売するまでの経緯を次のように語る。

エプソン販売の代表取締役社長 佐伯直幸氏

 「コンシューマ向けのスマートグラス BT-100とBT-200を販売する中で、多くのお客様が業務用として利用していることがわかりました。また業務用途での多くの要望をいただいてきた。そして、作業現場で使ってもらうための最適な形を提供したいと今回のBT-2000の製品化と発売に至った」

従来コンシューマ向け製品との違い

 セイコーエプソンのHMD事業推進部部長、津田敦也氏はプロ仕様のBT-2000と、コンシューマ向けのBT-200との違いを説明。

 「液晶パネルの画素数を500万画素にアップし、照度も1.5倍明るくしました。こうしたパネル性能の向上と、照度センサーなどとの組み合わせで、視認性を高めています。また搭載するカメラは二眼カメラ。3Dの撮像や距離測定が可能です。ジャイロセンサーはBT-200でも搭載されていましたが、今回採用した独自のIMUでは、精度が格段に上がっています。」

 さらに、IP54対応の防水防塵仕様となったため、屋外の利用だけでなく、屋外でも利用できるようになった。

具体的な利用シーン

 利用シーンとしては、遠隔地にいるオペレーターや熟練者と、現場の作業員をネットワークで接続。作業者からは作業の進行具合が映像で遠隔地に送信されるため、遠隔地でも作業者の手元を確認しながら、進行具合にあった適切な指示が出せるという。また、コミュニケーション方法として、画像や映像/テキスト/音声で行なえるため、双方のやりとりの理解が容易になる。

遠隔地からの支援(指示)を受けながら、複雑な機器のメンテナンスを行なうデモンストレーション
両眼シースルーのスマートグラスなので、情報を見ながら細かい作業も行なえる
BT-2000の想定される利用シーンが紹介された。まずは現場での作業支援
遠隔地のオペレーターや熟練者が、現場の作業員に音声や画像やテキストなどを使って作業の指示を行なえる

基本仕様

 ヘッドセット部の本体サイズは205×136×100mm(幅×奥行き×高さ)で、質量は290g。別体のコントローラー部のサイズは、70×157×35.3mm(同)で、質量は265g。バッテリーは1,240mAhのリチウムイオンを採用し、駆動時間は約4時間。

 液晶パネルはポリシリコンTFTアクティブマトリクス方式で、画素数960×540ドットの0.42型カラーパネルを採用する。無線規格として、Wi-FiとBluetooth 4.0LEに対応する。

河原塚 英信