シャープ、野菜室でもプラズマクラスターイオンを発生する冷蔵庫


シャープ「プラズマクラスター冷蔵庫」6モデル
 シャープは、野菜室でも高濃度プラズマクラスターイオンを発生し、食品の表面を除菌する冷蔵庫「プラズマクラスター冷蔵庫」6機種を、10月10日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。ラインナップの詳細は以下の表の通り。

型番SJ-ZF52SSJ-XF52SSJ-XF47SSJ-XF44SSJ-XW47SSJ-XW44S
ドアタイプフレンチドア(観音開き)どっちもドア
(左右どちらも開閉可)
庫内容量515L465L440L465L440L
冷蔵室276L253L228L253L228L
冷凍室148L131L
野菜室91L81L
本体サイズ
(幅×
奥行き×
高さ)
685×
705×
1,820mm
650×
705×
1,820mm
650×
705×
1,745mm
650×
705×
1,820mm
650×
705×
1,745mm
店頭予想価格27万円前後25万円前後24万円前後23万円前後23万円前後22万円前後
発売日11月30日11月14日10月10日11月4日


 開発コンセプトに「健康」と「省エネ」、食を楽しむための「+α(プラスアルファ)特徴」の3点を掲げた冷蔵庫。「健康」では、従来は冷蔵庫のみに搭載していた高濃度プラズマクラスター発生器を野菜室にも装備。「省エネ」では、独自の省エネシステム「e-cool(イークール)を搭載する。「+α特徴」では、冷蔵庫内を明るく、見やすくする「キラット庫内」と、透明氷を自宅で作ることができる「キラット製氷」などの機能を採用している。

シャープ 執行役員 健康・環境システム事業部 髙橋 興三本部長
 「健康」については、1989年以降、単身世帯の増加などで減少してきた家庭における野菜の消費量が、日本政策金融公庫の調査において、米とともに増加に転じている点を指摘した。「健康志向によって野菜離れに歯止めがかかり、野菜購入が増えている」(シャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部長 髙橋 興三氏)という。

 ただしその一方で、家庭内の食品ロスのうち、全体の43.2%は野菜類で占められており、しかも廃棄の理由として「食品の鮮度落ち、腐敗、カビ発生」が55.4%に及んでいるという。

 「冷蔵庫メーカーとして解決すべき課題。冷蔵庫内の生菌分布状況についても、野菜室では2千個から45万個と、多くの菌が検出されるドアポケット以上に数が多い。そこで、昨年度製品に搭載したプラズマクラスターイオンを冷蔵庫内だけでなく、新たに野菜室に搭載した」(髙橋氏)

 これにより、プラズマクラスターイオンなしの場合で付着菌の残存率が100%であるのに対し、ありの場合では付着菌を1日で99.9%除去できるという。

野菜室に、プラズマクラスターイオンの発生器を導入プラズマクラスターイオンによって、野菜や果物の表面に付着した菌を99.9%除去できるというプラズマクラスターイオンの発生器は、野菜室の上段に取り付けられている


シャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部 国内商品企画部の菅原靖文部長

 なお、プラズマクラスターイオン発生器は、野菜室の上段に取り付けられているが、これは上段にはトマトなど生の食品を保存するために利用されていることが多いためだという。シャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部 国内商品企画部長の菅原靖文氏は「菌の発生を気にすることなく、安心してご利用いただける」と説明した。

 また、野菜ケース内は密閉度が高められており、食品の水分保持率は従来比で約10%向上しているという。




省エネ技術「e-cool」システムを導入
 省エネについては、エコポイント導入により消費者の省エネに対する意識が高まっていることと共に、民主党が公約として温暖化ガスを1990年比で25%削減すると言及していることに触れ、「メーカーとしてはさらなる省エネ化が必須となっている」(高橋氏)とした。

 新搭載の「e-cool」システムは、高性能コンプレッサーと制御技術により、コンプレッサーの低回転領域を拡大し、安定した低速運転を実現するための機構。コンプレッサーの効率は、従来比で7%向上している。また、筐体自体についても徹底した熱漏洩低減対策をとることで、冷気経路の効率化設計により風量ロスを約20%削減。さらに、放熱パイプを効率的に配置することで熱ロスを低減している。

 このほかにも、冷蔵庫の運転状況にあわせ、さらなる省エネ運転に切り替わるエコボタンを搭載。扉の開閉についても、1分以上ドアを開けたままだと、室内のランプが青からオレンジに切り替わる。さらに、ドアは閉め忘れ防止のため自動で閉じる仕様となっている。菅原氏は「毎日使いながら、さらに省エネができる仕様となっている」と話した。

透明度の高い氷を作る「キラット製氷」。左がキラット製氷で作った氷、右が通常の製氷室で作った氷
 さらに、「+α特徴」として、「キラット製氷」「キラットLED照明」という機能も追加した。「キラット製氷」は、冷気の風量と風向きをコントロールして水温の均一化をはかり、またヒーター制御も加えることで、透明度の高い製氷を実現するというもの。「キラットLED照明」では、庫内前面の16個のLEDを、導光板を使って面発光することで、庫内を均一に明るく照らせる。

 「キラット製氷によって、家庭内で水割りを飲む場合などにも外食感覚で楽しめるうえ、キラット庫内により冷蔵庫の置くまで食品を探しやすく、従来の2倍の明るさによって食品パッケージの小さな文字まで読みやすくする工夫を行なっている」(菅原氏)

 このほか、女性の身長に合わせ、冷蔵庫の底面の高さを従来よりも低めの99センチに設定。また、日本の居住環境に合わせ、ドアの開閉がしやすいフレンチタイプのドアをスリム化、従来の68cmから65cmとした。さらに、大型ボトルが入るドアポケットを採用する。

底部のヒーターと、冷気の風量/風向のコントロールにより、水温を均一化。透明度の高い氷が作れるという製氷室底部のヒーター16個のLEDを導光板で面発光させる「キラットLED照明」も備えている

 シャープでは、2009年の冷蔵庫の需要動向として、エコポイントの影響で対前年比1.7%増となる413万台となっていると予測。事業目標としては、「2010年度で401L以上の大型冷蔵庫を前年比1.5倍としたい」(髙橋氏)とした。

 なお2010年は、エコポイントの影響で2009年の需要を下回るとの予測もあるが、高橋氏「エコポイントの効果が最も大きかったのはテレビ。冷蔵庫はテレビほど効果が出ておらず、下半期については、来年もエコポイントが継続されるとなると上半期並みで、今年で終わりとなれば駆け込み需要で上半期からプラス30万台程度となる」と予想。続けて、「冷蔵庫はエコポイント以上に気候に影響される部分が大きく、例えば昨年は猛暑で需要が大きく伸びている。来年以降も気候に影響される部分が大きく、エコポイントの影響でマイナス需要となることはないのではないか」との見解を示した。

 高橋氏はまた、他社が発売している550L以上の大型冷蔵庫については、「将来的にはフルラインナップ拡充を目指したい」とコメント。発売時期は明確にしなかったものの、ラインナップに加える意向を示した。



(三浦 優子)

2009年9月15日 19:47