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アース製薬の「蚊」捕獲器は、薬剤不使用! 二酸化炭素と誘引剤で誘い、強力な風で吸引

 アース製薬は、蚊が好む二酸化炭素と誘引剤で蚊を誘い、強力な風で蚊を吸引する、蚊の捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」の出荷を2月20日に開始した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は19,800円前後。2カ月に1度交換する「誘引剤取替え」は、価格がオープンプライスで、店頭予想価格が1,980円前後。

蚊の捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」(写真右)、「誘引剤取替え」(写真左手前)

 昨今、小さい子供を持つ親などを中心に、薬品を使わずに蚊などの害虫を予防・殺虫できる方法への関心が高まっている。また世界の人間の死因のなかでも、蚊が媒介する病気によるものは、現在も上位にあるという。主なものにはマラリアがあるが、近年は日本でも、ジカ熱やデング熱といった病気も流行の兆しを見せている。またオリンピックを目前に控え、海外からの感染症飛来などの懸念もある。

 そこで同社は4年前に、薬品を使わずに蚊を捕獲できる装置として、本機の開発に着手したという。

 本機は、蚊が好む二酸化炭素と誘引剤で蚊を誘い、強力な風で蚊を吸引する、蚊の捕獲器。光触媒で発生させた二酸化炭素と誘引剤のニオイを外部へ吹き出し、寄って来た蚊を強力な風で吸引する仕組み。

本体正面。上部が青く光っているのは、光触媒を作用させるためのUV LEDが、青透明の誘引剤に当たっているため

 二酸化炭素の発生装置は天面の下側にあり、東京理科大学 栄誉教授の藤嶋 昭先生とユーヴィックスが共同開発した、酸化チタンを利用した光触媒担持チタンメッシュフィルタ「TMiP(Titanium Mesh impregnated Photocatalyst)」を利用。

 「TMiP」は、酸化チタンを基板へ付着させる方法を改善した光触媒フィルタ。従来の光触媒フィルタでは、光触媒である酸化チタンなどを接着剤で付着させていたため、接着剤が光触媒に分解され、触媒自体が脱落するという問題を抱えていた。「TMiP」では、基板そのものを酸化処理を施した多孔質のチタン製とした上で、酸化チタンを分子レベルで結合させて付着させている。また多孔質なために、表面積がアップし、光触媒の効果もアップするという。

天面のLED照明を下から撮影。この照明が光触媒を作用させる

 蚊の誘引剤には、アース独自の技術を生かして開発した「SpMA」を採用。とある果物を原料にしているとのことだったが、そのニオイは、子供の頃に嗅いだ"カブトムシとエサの果物の入った飼育ケース"を開けたときのものに似ている。運転中にそのニオイが漂うようなことはなかった。またエタノールを含有しており、光触媒によって二酸化炭素に分解され、より効果をアップするという。

誘引剤「SpMA」

 吸引した蚊は、本体下部の捕虫ボックスへ集まるので、定期的に清掃すれば良い。吸引された蚊は、風圧によって羽が取れるといったダメージを負うが、捕虫ボックスに到着した時点ではまだ生きているという。しかし、捕虫ボックスは常にファンの風が吹き付けている状態のため、結果的には体内の水分が少なくなって死滅するとしている。ボックスは水洗いも可能。

 内蔵するファンは1個だが、吹き出しと吸引は、内部で別経路に分かれた構造になっていて、内部で風が循環する仕組み。適用畳数は約12畳まで。

 本体サイズは、135×98×266mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約675g/83g/127g(本体/ACアダプタ/誘引剤)。消費電力は約1.7W、運転音は約33dB、風量は約1.4L/秒。電源コード長は約1m。

誘引剤は引き出し型のボックスに格納されている
ボックスから誘引剤を取り出したところ
本体下部の捕虫ボックスを引き出したところ
本体中央に搭載されるファンを、下側から撮影