家電トレンドチェッカー

シーズン本番! 空気清浄機はどう選ぶ? 新製品を一気にチェック!

空気清浄機の必要性はより高まっている

 いよいよ花粉飛散の季節がやってきた。

 花粉飛散シーズンには、同時に中国大陸から黄砂も飛んでくる。東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の砂塵が、偏西風などに乗って、日本列島上空へと到達し、地上へと降り注ぐ現象だ。さらに近年、季節を問わず、中国の大気汚染が国境を越えた問題となっており、微粒子状物質PM2.5が呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼすと言われている。

 密閉性が高い住宅では、24時間換気システムが搭載されているところも多いが、一度でもそういった花粉や微粒子などが入り込むと、逆に住宅内に長時間対流、沈殿して、なかなか屋外へと放出されにくくなる。だからこそ、そういった住宅内では空気清浄機の必要性がより高まっている。

加湿機能付き? それとも特化型?

 こんな状況を受けて、空気清浄機のトレンドは大きく分けて2つに分かれている。ひとつが主に大手日本メーカー勢が作り出す複合型の加湿空気清浄機、もうひとつが海外メーカーや家電ベンチャーが作り出す特化型の空気清浄機の流れだ。とはいえ、現状では国内シェアの9割以上を上位3社ダイキン、パナソニック、シャープの加湿空気清浄機が占めている。

 これらの日本メーカーが作る空気清浄機は、加湿機能を搭載している点が共通している。さらに、最新モデルでは、PM2.5に対応した機能を搭載しているのも大きな特徴だ。かつてはイオン放出による消臭・除菌機能などを前面に押し出していたり、フィルター交換が10年間不要と謳っているモデルもあったが、最新モデルではシャープを除いて、前面に押し出している印象はない。

 さらに、横並びの他社と差別化するために、独自の得意分野を押し出している傾向が見られるのも特徴だ。パナソニックは高機能センサーと大風量で素早く集塵する点に注力、ダイキンは独自の「ストリーマ技術」とセンサー技術を強化、シャープは除菌消臭するプラズマクラスター、日立はデザイン面、富士通ゼネラルは脱臭機能、といったようにそれぞれ個性を強めている。

 一方、質の高いフィルターを採用することで、空気清浄機能に特化しているのが海外メーカー製や家電ベンチャー製の特徴だ。機能はいたってシンプルであり、大きなプロペラファン、もしくはシロッコファンを搭載することで大風量を生み出し、空気中に舞っているチリやホコリ、花粉、微粒子などを素早く集塵し、フィルターで根こそぎキャッチする。

 差別化のポイントとして、それぞれライフスタイルやデザイン面などを強化しているのが大きな特徴。例えば、ブルーエアは活発なペット需要に目をつけ、既存の製品にニオイフィルターモデルを標準搭載した。良品計画やバルミューダは本格的な空気清浄機能に加え、より質の高いデザインでアピールしている。また、元々デザイン面を強く打ち出しているカドーは、逆に米国家電協会(AHAM)などのエビデンス結果を前面に打ち出すことで、見た目と機能をよりハイレベルに融合した。

 以下、それぞれの製品を詳しくみていこう。

メーカー名製品型番購入場所実売価格適用床面積(空気清浄機能)
パナソニックF-VXK90Amazon.co.jp48,800円40畳
ダイキンMCK70RAmazon.co.jp49,800円約31畳
シャープKI-EX100Amazon.co.jp70,122円約46畳
日立アプライアンスEP-KVG900Amazon.co.jp33,495円約41畳
富士通ゼネラルACS-71DAmazon.co.jp46,200円30畳
ブルーエア450E ニオイフィルターモデル公式直販サイト87,480円21畳
バルミューダAirEngine公式オンラインショップ49,896円36畳
良品計画空気清浄機 MJ-AP1無印良品ネットストア39,000円30畳
カドーAP-C700S公式オンラインショップ119,880円62畳

加湿機能にプラスしてPM2.5対策を強化~日本メーカー

パナソニック「F-VXK90」~PM2.5対策により注力
パナソニック「F-VXK90」

 パナソニックの加湿空気清浄機「F-VXK90」は、PM2.5の濃度を見極めて、風量や気流を自動的に切り換えて吸引を行なう業界初の「PM2.5解析プログラム」を搭載。環境基準の値に基づき、汚れにあわせて自動で専用の気流に切り換えるなど、きめ細かい気流制御を行なう。なお、判定したPM2.5の質量濃度は、環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)による測定値と高い相関があることを確認されている。

 そのほか、本体前方の床上30cmで集塵する「メガキャッチャー」と、吹出し口に設けた独自の2枚の自動制御ルーバー「ツインルーバー」がさらに進化。風を絞り込み、風速をアップさせることで、部屋の隅まで風が届き、床上のハウスダストの吸引スピードも向上しているという。

ダイキン「MCK70R」~反応スピードの速さが特徴
ダイキン工業「MCK70R」

 ダイキン工業の加湿ストリーマ空気清浄機「MCK70R」は、独自の除菌・脱臭技術「光速ストリーマ」に加え、イオンの力で部屋に染み付いた臭いや菌を除去する技術「アクティブプラズマイオン」の放出機構を備える。左右側面と前面下部の3方向の吸い込み口から、床上のホコリもしっかり吸引し、吸い込んだホコリや花粉は「プラズマイオン化部」に帯電させ、「高性能フィルター」の繊維に吸着させる電気集じん方式を採用する。

 新モデルでは素早く反応する高感度ホコリセンサーを新たに搭載した。微小粒子に対する反応スピードを従来比約1.6倍に高め、運転開始から約15分の室内の汚れ具合は従来比約50%に低減している。本体ではニオイセンサーも搭載しており、高感度センサーと組み合わせて室内の汚れ具合を検知、3段階で表示する。

シャープ「KI-EX100」~消臭除菌をより強化した
シャープ「KI-EX100」

 シャープの「KI-EX100」は、高濃度プラズマクラスター25000を搭載した加湿空気清浄機。新モデルでは、特にリビングへの設置を意識した新機能が特徴。カーテンやソファなどニオイが気になる場所に直接プラズマクラスターイオンを集中的に放出する「パワフルショット運転」では、前方ルーバーのみで集中的に送風することで、イオン濃度が通常運転時の約2倍になり、素早く除菌・消臭できる。

 PM2.5対策としては、感度を従来の2倍に高めた「高感度ホコリセンサー」を搭載。0.5μmの微少な粒子まで検知し、独自のアルゴリズムにより室内のPM2.5の濃度も判別するほか、本体には「PM2.5モニター」を搭載し、濃度に応じて運転を自動で制御する。

日立アプライアンス「EP-KVG900」~デザイン一新でより高性能
日立アプライアンス「EP-KVG900」

 日立アプライアンスの「ステンレス・クリーン クリエア EP-KVG900」は、大型リビングの設置を想定した適用床面積41畳の加湿機能付き空気清浄機。強化ガラスを採用した前面パネルは、インテリア性を重視したもので、操作するときだけ表示が浮かびあがる「タッチ操作部」を採用する。

 集じん方式は、本体背面側方から部屋の空気を吸い込み、本体上方からきれいな空気を吹き出す方式を採用。本体背面の吸気面積を従来の1.5倍にしたことで、清浄スピードも向上している。

 PM2.5対策としては、ホコリセンサーの微粒子濃度を高感度に切り替え、濃度が高いときは自動で風量を最大にする「PM2.5センシング」機能を備える。

富士通ゼネラル「PURESTAGE(ピュアステージ) ACS-71D」~定評のある脱臭性能
富士通ゼネラル「PURESTAGE(ピュアステージ) ACS-71D」

 富士通ゼネラルの「PURESTAGE(ピュアステージ) ACS-71D」は、集じん・脱臭ともフィルターの交換不要で、かつ性能を維持するという「ピュアエバーエンジン」した加湿空気清浄機。同機構で採用している電気集じんユニットは、空気中のハウスダストなどを帯電させて、プレートに吸着させる仕組みで、年に1回程度のつけ置き洗いで、集じん性能が回復するという。

 また富士通ゼネラルの空気清浄機は、脱臭機能に力を入れている。金属酸化触媒の酸化力でニオイ分子を完全に分解するほか、低濃度のオゾンを放出することでカーテンなどに付着したニオイも消臭。タバコのニオイを約3分、アンモニア臭を含むペット臭は約6分で除去できるとしている。なお、金属酸化触媒を定期的に回転させ、加熱することで、脱臭性能を自動で再生する機構を備えており、メンテナンスやフィルター交換は一切不要としている。

海外メーカーやベンチャーメーカーの主流は空気清浄機能の特化型。高機能フィルターでPM2.5などの微粒子までをダイレクトに集塵する

ブルーエア「450E ニオイフィルターモデル」~ペット需要に注目した脱臭強化モデル
ブルーエア「450E ニオイフィルターモデル」

 スウェーデンの空気清浄機メーカー、ブルーエアは、ペット臭や生活臭の脱臭を強化した空気清浄機「450E ニオイフィルターモデル」をラインナップする。ブルーエアの空気清浄機は、目の大きさが異なる3枚のフィルターを組み合わせた独自の「3ステップHEPASilent(ヘパサイレント)フィルター」を標準採用するが、ニオイフィルターモデルでは、これにニオイの吸着効果が高い活性炭を組み合わせている。

 これにより、ペットのニオイを5分で92%、30分で99%除臭するという。なお、フィルター寿命は約半年。ブルーエアでは空気清浄機を24時間起動することを推奨しており、フィルターのセルフメンテナンスは不要だ。

バルミューダ「AirEngine」~高級感のある限定カラーをラインナップ
バルミューダ「AirEngine」

 バルミューダの空気清浄機「AirEngine」は、空気を吸い込むファンと、空気を送り出すファンというダブルのファンを搭載することで、毎分1万Lの空気を真上から送り出す点が特徴。本体周囲360度から空気を吸い込む独自の機構を搭載しており、接触したウイルスやカビを不活性化する溶菌酵素をコーティングした「360°酵素フィルター」を採用する。

 2014年度は、限定カラー「シャンパンゴールド」をオンラインストアのみで販売する。

良品計画「空気清浄機 MJ-AP1」~バルミューダと共同開発したモデル
良品計画「空気清浄機 MJ-AP1」

 良品計画は、バルミューダと共同開発した「空気清浄機 MJ-AP1」を発売した。2つのファンを使って、周囲360度から吸い込み、真上に吹き出すという構造はバルミューダと同じだが、フィルターの種類や、本体の大きさなどが異なる。

 適用床面積は30畳で、バルミューダの「AirEngine」同様、自動で空気清浄運転をする「AUTOモード」と、すばやく空気清浄を行なう「ジェットクリーニングモード」を備える。

カドー「AP-C700S」~クリーンエア供給率の最高値を獲得
カドー「AP-C700S」

 カドーの空気清浄機「AP-C700S」は、適用床面積約62畳の大空間向けの一台。ニオイ吸着力を再生する独自のフィルターテクノロジー「フォトクレア」を搭載するなど、高い脱臭能力を備える。

 新モデルでは、PM2.5インジケーターを搭載。これは、本体下部から吸い込んだ空気にいくつPM2.5が含まれているかカウントし、表示する機能で室内環境を分かりやすく確認できる。そのほか、ニオイセンサーやホコリセンサーなども備える。米国家電協会(AHAM)が定めるクリーンエア供給率の最高値を獲得するほか、デザイン性の高さも魅力。

滝田 勝紀