家電レビュー

ストレス激減! スティック型なのにゴミ収集機が分離したパナソニック掃除機に大満足

セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS10K」

大げさにいうと、これは革新的なスティッククリーナーかもしれないと、約2週間使って感じた。

パナソニックの、掃除後のゴミ自動収集機を備えた「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS10K」のことだ。店頭予想価格は65,000円前後。

ゴミの自動収集機を搭載した充電台が付属する、コードレススティッククリーナー。充電台からクリーナー本体を外すと、フル充電された状態で掃除し始められる。ここまでは普通だが、掃除後に充電台に載せると、スティッククリーナー内に溜まった部屋のゴミが、充電台に吸い込まれていく。

次回、部屋を掃除するときには、スティッククリーナー側のダストボックス内には前回のゴミはなく、新品と同様のキレイな状態で使い始められる。

レビューとしては、「大満足だった」というのが結論だが、どんな点が気に入ったのか、次項から詳細を記していきたい。

クリーンドックが駆動している様子

新しい掃除のスタイルを提案

本体とヘッド部が別体のキャニスター掃除機が主流だったのは、すでに過去のこと。いま掃除機といえば、一体型のスティッククリーナーを真っ先に思い浮かべる人も多いはず。なかでも、充電池を内蔵したコードレススティッククリーナーが人気で、「スティッククリーナー」といえば、だいたい「(充電式の)コードレススティッククリーナー」を思い浮かべるのではないだろうか。

コードレススティッククリーナーは充電式ということもあって、使う際に電源コードと電源コンセントの位置を気にせず、家の中を動き回って自在に掃除できるのが最大のメリット。

では、デメリットはといえば、「ダストボックスに溜まったゴミの処理」だろう。掃除が終わったあとに、こまめにダストボックスを掃除する必要がある。ダストボックスにゴミを溜めたままだと、一般的に吸引力が落ちる。さらに、ダストボックス内にゴミやホコリを溜めたままでいると、特にホコリがこびりついて落ちづらく……掃除しづらくなってしまう。そんな悪循環が始まる。

一般的に、多くのゴミを溜めたままでも吸引力が落ちないスティッククリーナーは無いといえるし、ダストボックス内がキレイなほど、高い吸引力が持続する。

さらにデメリットを挙げれば、そのダストボックスのゴミ処理時に、室内にホコリが舞いやすいことだ。せっかく掃除をしたのに、ホコリが舞うのは嫌なもの。さらにダストボックスにこびりついたホコリを、手を汚して取り除く行為は、不快だろう。意外と、紙パック式のコードレススティッククリーナーが、今でも人気なのもうなずける。一方で紙パック式は頻繁に交換する必要があるため、手間を軽減できるとはいえない。

「MC-NS10K」のスティッククリーナー部

これまでのコードレススティッククリーナーのデメリットを解消してくれるかも……という製品が、今回使ってみたパナソニックの「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS10K」。

何がセパレートなのかといえば、スティッククリーナー本体とダストボックスを分離したということ。スティッククリーナー本体で部屋のゴミやホコリを集めるが、本体自体に溜めていくのではなく、「クリーンドック」というダストボックス内蔵の充電スタンドで収集する。

クリーンドックに立てかけるたびに、スティッククリーナー本体内のゴミが、クリーンドック側に吸引される
クリーンドックとスティッククリーナーの接続部分
クリーンドックの中に紙パックがセットされている

もちろん、スティッククリーナー本体にも、ゴミを一時的に溜めておくダストボックスが、全くないわけではない。だがそれは、あくまでも一時的に入れておくだけ。基本は、掃除が完了してクリーンドックに立てかけるたびに、スティッククリーナー本体内のゴミが、クリーンドック側に吸引される。

既存製品でいえば、「ルンバ」などのロボット掃除機に自動ゴミ収集機能が付いたモデル近い発想といえるだろう。

毎回、スティッククリーナー本体内のゴミが無い状態で掃除ができるため、ユーザーがメンテナンスしなくても、吸引力が下がる可能性は低い。さらにクリーンドックに立てかければ充電も行なわれる。クリーンドック内に溜まったゴミは、何週間かに一度、紙パックを外して捨てるだけでよい。紙パック式なので、ゴミやホコリが部屋を舞うことがない。

結果的に、コードレススティッククリーナー本体で掃除機がけする以外の手間が、大幅に解消される。つまり「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS10K」は、これまでのコードレススティッククリーナーの弱点を、大幅に解消してくれるのだ。

クリーンドックの紙パックを外したところ
スティッククリーナー部にあるダストボックスを外したところ
ダストボックスは、こんなに小さい

ゴミを検知して2段階で吸引パワーを自動調節

本当に掃除の手間が省けるのかを、実際に「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS10K」を使って、試してみた。

コードレススティッククリーナーとしては、とてもシンプル。電源を入れると「AUTO(標準)モード」でスタート。本体内蔵のゴミセンサーがゴミを検知すると、自動で吸引パワーが上がると同時に、本体搭載のLEDライトが、緑色から赤色に点灯する。

どのコードレススティッククリーナーでも同じだが、掃除する際に気をつけるべきポイントは、ゆっくりと掃除すること。サササッとクリーナーヘッドを前後や左右に動かすと、当然ながらゴミを吸引しづらい。特に筆者は、性格がせっかちな面もあるので、ササササッと掃除機がけしがちだ。

そんなときに赤いライトがパッと点灯すると、「ゆっくりと動かさなきゃ」という意識が芽生える。試しに、小学校1年生の息子に使わせてみたが、彼もLEDが赤色に点灯すると、条件反射のように、動かすスピードを緩めていた。

キレイなときには「青色」
ゴミやホコリを検知すると「赤色」になる

また、棚やベッドの下の隙間……直接のぞき込むのが面倒な場所を掃除する際にも、このゴミ検知センサーは有用だ。見えなくても、きちんとゴミやホコリを吸い取れるまで、掃除できる。

製品の仕様表にある連続使用時間は、AUTOモードで約10~15分。筆者が使った際にも、だいたい15分前後だった。目安としては、筆者宅のような広くはないマンション(2DKを改造した1LDK)であれば、リビング/ダイニング/キッチン/廊下、それにほとんどのスペースをベッドが専有する寝室の掃除を、だいたい完了できる長さ。

一般的な1人または2人世帯の家であれば、1度に大半のスペースを掃除できるだろう。だが、2LDK以上のマンションまたは一戸建てなどでは、何度かに掃除を分ける必要がありそうだ。

ちなみにHIGH(強)モードでは、約6分と短いため、リビングとダイニングくらいしか掃除できなかった。それも、どちらかの部屋を掃除中にバッテリーが切れた。

長い髪の毛でも、からまないクリーナーヘッド

筆者宅の場合は、妻の長い髪の毛がよく落ちている。これまで様々な掃除機を使ってきたが、クリーナーヘッドのブラシ部分に髪の毛がからみついていることがよくあった。よくあったというよりも、メンテナンスを怠ると、必ずからみついていた。

からみついた髪の毛や糸くずを、クリーナーヘッドのブラシから除去するのは、とってもストレス! そして、からみついたまま使うと、当然、ゴミの除去能力も落ちる。このクリーナーヘッドとダストボックスのメンテナンスは、コードレスだろうがスティック形だろうが、掃除機メンテナンスにおける、イライラの大きな要因だ。

今回の「MC-NS10K」では、この「髪の毛がからみつく」ということがなかった。2週間しか使っていないので、引き続き使った場合にも「絶対にからまない」とは保証できない。ただ、他モデルと比べて、明らかに「からみづらい」のは確かだと実感できた。

これに関しては、からまないようにする工夫が、施されている。

秘密はクリーナーのブラシ部分にある。パナソニックの他モデルにも、すでに搭載され始めている「からまないブラシ」が採用されている。同社らしい「そのまんまだな!」というネーミングにも好感が持てる。

「からまないブラシ」

内部を見ると、外側が太く内側が細くなった、2つの円錐形のローラーが対になって配置されている。そして、2つのローラーの中央部には空間が設けられているのが重要なポイントだ。これにより、掃除中に例えば髪の毛がローラーのブラシにからまり始めても、円錐形のため、徐々にローラー部の中央に移動していく。最後には、左右のローラーの間の空間に移動して、スルッとローラーから抜け、そのまま吸引されていく仕組みなのだ。

我が家では髪の毛や糸くずがからまなくなったが、おそらくペットの毛でも、同じようにからまずに掃除できると期待できる。

円錐形の2つのローラーが、対になって配置されているのがポイント
長い髪や糸くずを吸引する様子

分離型のゴミ収集機能が、これからのスティック掃除機の標準になるかも?

冒頭に結論を記したが、「MC-NS10K」を約2週間使った印象は、「とても満足」というものだった。

もちろん自宅が広い場合は、バッテリー駆動時間がネックとなるだろう。ただし、これもロボット掃除機などと併用し、気になったところだけをスポット的に「MC-NS10K」で掃除する、という使い方をすれば問題ないだろう。逆にいえば、広い家で同機1本で、しかも1度に掃除しようというのは無理な話。例えばロボット掃除機や、他のスティック型掃除機と組み合わせて利用するというのもアリだろう。

そのほか、充電台(クリーンドック)と一体となったデザインが良いと感じた。これまでデザインについては、好みの領域なので、レビュー記事での言及を避けてきた。だが、「MC-NS10K」に関していえば、好き嫌いとか良い悪いなどの評価ではなく、極めてスッキリとしたフォルムだということ。「どんなインテリアにもフィット」するかは分からないが、「馴染みやすい」だろうなとは思う。実際、我が家では、フローリングと畳の部屋に置いてみたが、別段「浮いている」感じはしなかった。

なお、我が家での使用では大満足だったが、気になるポイントもある。充電台(クリーンドック)に本体を設置し、ゴミが自動収集される際に鳴る騒音だ。これが「ゔおぉぉぉ~~~~ん! ゔおぉぉぉ~~~~ん!」と、掃除機以上の騒音で、2回に分けて鳴り響く。

そのため、寝室には設置しない方が良いだろう。もし、うちのように寝起きの悪い夫や子供を起こすのに使いたい、というのなら別だが……。

とはいえ、この音も15秒間ほどで終わる。この手の家電製品に、とかく批判的な妻ですら「これでダストボックス内の掃除の手間がないんだったらいいんじゃない? 音だって、掃除機の音より、少し大きいくらいだし」とのこと(ただし、テレビ視聴中の息子からは、たいへん不評だった)。さすがに静まりかえった夜中や早朝などの使用ははばかられるが、朝食後から夕飯前までなら問題ないと感じる人が多いのではないだろうか。

クリーンドックにスティッククリーナーをセットしたところ
スッとキレイに伸びるハンドル部
ハンドル部のエンド
表面に微妙にザラッとしたシボ感があるのも良い
曲線のラインも美しく、デザインの細部まで手を抜いていない感じがする
河原塚 英信