家電製品レビュー

着たい服を“空冷シャツ”に変える、ウェストポーチ型の空調ベルトが快適!

「野電 ボディエアコン・クールユニット」

やっと梅雨が明けて、夏らしい暑さになってきた。梅雨で涼しい時には、夏が恋しかったはずなのに……。本格的な夏が来ると、一気に萎えてしまう。

夏の暑さに対応するため、昨今は様々なポータブルUSB扇風機が発売されてきた。そんなUSB扇風機のトレンドは、ずばり「ウェアラブル」。2つの小型扇風機を肩に掛けたり、首に掛けたりするモデルが目立っている。

そんな中、ロゴスから発売されたのが、ウエストポーチ型の「野電 ボディエアコン・クールユニット(以下:ボディエアコン)」。USB給電式の大型ファンを備えた、ウェストポーチ型の空調ベルトだ。

本体を腰にセットして稼働させると、ファンが外気を服の中に送り込み、熱のこもりやすい脇を中心に、上半身にまんべんなく風を行き渡らせるという。

さっそく取り寄せて使ってみた。

メーカー名ロゴスコーポレーション
製品名野電 ボディエアコン・クールユニット
価格9,900円
大型のファンが搭載されている

搭載ファンで外気を取り込んで、服の中の熱のこもった空気を換気させるという製品。

ファンを内蔵した空調ジャケットが人気で、工事現場などでは一般的に使われるようになった。そのジャケットからファンだけを取り出したものと考えれば分かりやすい。前述の「ファン“内蔵”ジャケット」と異なり、専用ジャケットがない代わりに、自分が着たい服が着られるのが最大のメリットだろう。

例えば、ファン内蔵ジャケットは、作業着のような仕様が多い。だが、ボディエアコンは、いつも着ている半袖Tシャツなどにも使える。

使う前に、モバイルバッテリーが必要になる。筆者はいつもスマートフォンなどの充電に使っているAnker製の容量5,000mAhのモバイルバッテリーを使ってみた。

まずは「ボディエアコン」の本体上部の、止水処理されたファスナーを開く。中にはUSBケーブルが入っている。ケーブル端のUSB Type-A端子を、モバイルバッテリーのUSBポートに差す。モバイルバッテリーを、ポーチ内のポケットに入れれば準備は完了。

ポーチ上部の止水ファスナー。ポーチの生地も耐水性に優れている
ポーチ上部を開いたところ
モバイルバッテリーをつなげて、内部のポケットに収納する

あとはベルトの右の方に配置されたボタンを長押しして電源をONにする。するとポーチ内部に内蔵されたファンが回り始め、ポーチのベルト部分に配置された穴から涼しい空気が出てくる。その出てくる空気を、服の中に上手に取り込めるように、服の裾(すそ)回りを本機にかぶせてあげる。

送風口のある方を上に向けて、腰に装着する
ベルト右側に配置されたボタンを長押しすると電源がONになり、「弱」で作動し始める

ワキに直接風を感じる気持ちよさ

実際に使ってみると、身体に直接風を当てる扇風機とは違って、送風開始とともに涼しさを実感できるわけではない。ただし、長時間使い続けていると、じわじわと身体が冷えてくる。特に、当初は風を感じずにいた、送風口が配置された腰回りのベルト付近の肌が、冷たくなっていくのを感じた。

風量は「強/中/弱」で切り替えられるが、常に「強」モードにしていた。ただし、ベルト部分の送風口だけでは、正直、物足りなさを感じた。

そこで、本体上部のファスナーを開いて、改めて装着してみた。すると、一気にシャツへと風が流れていくのを感じた。これは気持ちいい。

それでも自然な姿勢でいると、背中以外に風が通っている気がしない。そこで、写真のようにワキを開けて、手を腰に置くような姿勢にしてみた。すると風が直接、ワキに当たる心地よさを感じられた。

ワキを開けるようにすると、ワキに直接風が当たって心地よい

また、少し身体を前傾してみると、胸とシャツの間に空間ができて、風が流れはじめた。シャツの中のモヤッとした空気が、襟元から首に向けて抜けているのを感じられて気持ち良い。

よく晴れた暑い日の外出時に、半日ほど使ってみた。いくつかの注意点に気をつければ、外で風が吹いていなくても、背中に風を感じられた。激しい動きには対応できないが、歩くくらいの運動であれば、十分に涼しさを感じられた。

取扱説明書には、ポーチ部を背中側に装着するようあるが、身体の前方に持ってきてもいいだろう。特にバッグを背負っているときや、イスやベンチに座る時には、自然と前方に持ってくることになる。

そうすると当然、身体の胸部などに風が流れてくる。少し書きづらいが……前方に持ってくると、鼠径部あたりに冷たいものを当てているように、冷やしてくれるので快適だった。

横からみたところ

使用上の注意点は少なくない

使用時に注意したいのは「しっかりと方法を守って使わないと、効果は少ない」という点だ。

まずは、ファンの外側まで、服の裾などで覆ってしまわないこと。

ファンにかぶせるように服で覆ってしまうと、当然ながら外気が取り込みづらくなる。これは家の換気扇を、板か何かで覆ってしまうと、室内の空気が外へ排出されないのと同様だ。

そうした点も配慮され、ボディエアコンのファンは、斜め下方を向くようポーチに配置されている。裾回りを軽くポーチの上部に乗せれば、ファンの障害になることはない。

その点と関連するが、シャツにしてもTシャツなどにしても、少しゆとりのあるサイズだと、適したかぶせ方ができるだろう。また、ポーチの上部のちょうどよいところで服の裾を留めるため、クリップなどを用意しておくのも良い。クリップで留めれば、少々激しく身体を動かしても、シャツがズレることが減るはずだ。

もう一点、留意すべきなのが、あまりキツくポーチのベルトを締めないこと。外気を取り込んだ空気は、チューブ状のベルト部を通ってベルト上部の穴から排出されるからだ。もしベルトをキツく締めすぎると、このベルト部の空洞がつぶれてしまい、空気が流れにくくなってしまう。

そのため、ベルトの空洞がつぶれない程度に、少しゆったりとベルトを締めるのがポイントだ。

ベルト部分の送風口。ベルトをキツく締めすぎると、穴がつぶれて風の抜けが悪くなる

首掛け型の扇風機が苦手なら、試してみる価値は十分にある

注意点がいくつかあるが、それらを守れば、暑い日でも涼しさを感じさせてくれた。

できれば、服の裾回りをポーチの上部の適切な位置に留められ、その位置から服がズレないような工夫がされていれば良いと思う。

そのほか、スマートフォンを充電するのにも、意外と便利だった。前述のように、使用したAnkerのモバイルバッテリーにはUSBポートが2口ある。その1つには「ボディエアコン」をつなげたが、もう一つにスマートフォンをつなげて充電した。充電中はスマートフォンをポーチの中に入れておけるうえ、ファンを作動させておけばスマートフォンが熱くなってしまうのを防げた。

首掛け式などのUSB扇風機と比べると、一度装着すれば、激しく動いても落とす心配がないのも良い。ベルトを留めるバックルは大きめで、さすがアウトドアブランドが作っているなと感じる。

もしウェアラブルのUSB扇風機で、首に掛けるのは嫌だなと感じる人であれば、有力な選択肢となるだろう。

大きめのバックルで、しっかりと固定できる

河原塚 英信