シャープは、10月1日、奈良県葛城市の同社葛城工場において、第2世代薄膜太陽電池の量産を開始し、第1号量産製品の出荷式を行なった。
午後1時55分から開始された出荷式には、シャープの濱野稔重副社長をはじめ、同社ソーラーシステム事業本部の関係者などが出席。除幕式、テープカットを行なうとともに、トラックへ積み込み、初出荷した。
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出荷式で挨拶するシャープの濱野稔重副社長
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濱野副社長は、「この新ラインの増設の意思決定を行なったのは、昨年11月末。わずか10カ月という短い期間で完成し、この日を迎えた。これにより、葛城工場の薄膜太陽電池の年間生産能力は160MWに拡大し、この生産規模を1つの単位としたラインオペレーションマネジメントを、葛城で実証し、その経験を堺工場で展開する考え。いわば、この新ラインが、今後の薄膜太陽電池を世界へ展開するためのベースとなる。今日はそのスタートとなる記念の日である」とした。
シャープが葛城工場で量産を開始した第2世代の薄膜太陽電池は、第1世代の560×925mmの2.7倍のサイズに相当する1,000×1,400mmの大型ガラス基板を採用したもの。業界トップクラスとなるモジュール変換効率9%と、128Wという薄膜太陽電池ならではの高出力を実現しており、基板の大型化と高出力化によって、従来よりも設置枚数が少なくて済むことから、設置コストの低減や発電時のコストダウンが期待できるとしている。
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第2世代の薄膜太陽電池モジュール
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第1世代に比べて2.7倍のサイズとなる
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除幕式では濱野副社長が、第2世代薄膜太陽電池を披露した
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テープカットに臨む(左から)シャープソーラーシステム事業本部長・村松哲郎執行役員、濱野稔重副社長、ソーラーシステム事業本部薄膜太陽電池事業部・野元克彦事業部長
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今回の新ライン増強には、約220億円を投じており、第3工場での新たなラインの稼働に加えて、結晶太陽電池の一部生産ラインも、薄膜太陽電池の生産ラインに転換している。
同社では、2009年度中に稼働予定の堺工場における薄膜太陽電池の生産では、今回の葛城工場で導入したものと同じ第2世代の大型ガラス基板の投入を予定しており、葛城工場で蓄積した生産技術や生産ノウハウを新工場に展開する計画。
「葛城工場のノウハウを生かすことで、2010年には、堺の新工場において、モジュール変換効率10%を実現する薄膜太陽電池の量産体制を確立したい」(濱野副社長)としている。
出荷式では、激励文として、シャープ・町田勝彦会長、片山幹雄社長からのメッセージが紹介され、「葛城工場の新ラインでのラインオペレーションマネジメントの経験を、2010年3月までに稼働する予定の堺工場に生かしたい。さらに、世界展開にも生かしていくことになる。葛城から堺へ、堺から世界へというように、材料、製造装置、モジュール、プロセス、発電までのノウハウを世界に展開することで、液晶に次ぐ、強い柱になることを期待している」(町田会長)、「省エネ、創エネの観点から、環境・健康事業を拡大していくシャープが、グローバルエクセレントカンパニーになる上での重要な事業」(片山社長)などとした。
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量産第1号となる薄膜太陽電池セルをフォークリフトで運ぶ
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1つのパレットに50枚のセルを搭載している
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トラックに積み込まれる薄膜太陽電池セル
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積み込まれた段階。後ろが薄膜太陽電池が生産される第3工場
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無事の出荷を祈念して、宮司がお祓いをする
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まずは欧州に向けて出荷されるという
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● 生産ラインを公開
今回の出荷式では増強された生産ラインの一部を報道陣に公開した。その様子を以下、写真でご紹介する。
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基板投入ライン、1日1,000枚の投入が可能だという
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すべて自動化されており、アームで搬送する
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薄膜太陽電池のセルが完成した出荷口
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成膜などの工程を経て、セルが出荷口に出てくる。この間は非公開
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セルは天井部分を搬送されてくる
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セルはセルストッカに自動搬送される
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セルを搬送する機械
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セルストッカに置かれたセル
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こちらは、セルを梱包するトレイのストッカ
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これがトレイ。7つのストッカに50個ずつ積み上げて、ちょうど1トントラックの配送分になる
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■URL
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/081001-b.html
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( 大河原 克行 )
2008/10/02 12:51
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