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三菱電機、調理家電などの製品戦略を発表

~埼玉県深谷の生産拠点も公開

埼玉県深谷市にある三菱電機ホーム機器
 三菱電機は、調理家電や清潔家電などを製造している三菱電機ホーム機器の生産拠点を報道関係者に公開。同社のIHクッキングヒーターなどの製品戦略について触れた。

 埼玉県深谷市にある三菱電機ホーム機器は、1984年に三菱電機から分離独立して設立。当初は、三菱電機の群馬製作所から掃除機の生産を移管してスタートしたが、その後、群馬製作所などで行なっていた家電製品の生産を次々と三菱ホーム機器に移管。三菱電機ホーム機器は家電製品の生産拠点として、群馬製作所は給湯器の専門工場へと転換した。

 現在、三菱電機ホーム機器は、IHクッキングヒーターやIHジャー炊飯器、オーブンレンジといった調理家電、掃除機や空気清浄機といった清潔家電を生産。3万7,000平方m、約750人の従業員を誇る本社工場のほか、群馬県藤岡市の藤岡工場、中国・上海の工場をあわせて、15品目の家電製品の生産を行なっている。


三菱電機ホーム機器の塚本郁夫社長
 三菱電機ホーム機器の塚本郁夫社長は、「生産拠点としてだけでなく、約150人のエンジニアにより製品開発を行なっているのが特徴。兵庫県伊丹の先端技術総合研究所および生産技術センター、神奈川県大船の住環境研究開発センターといった研究開発部門と連動して、最先端技術を反映した製品開発を行なっている。また、キーパーツをすべて内製している点も、当社の強みだといえる」とする。


三菱電機ホーム機器営業部・吉田泰弘部長
 また、三菱電機ホーム機器営業部・吉田泰弘部長は、「三菱電機が業界に先駆けて実現してきた取り組みは数多い。例えば、IHクッキングヒーターに地震センサーを取り付けているのは三菱だけ。これは10年前から搭載しているもの。こうした安全性にこだわるところにも三菱の特徴がある」とする。

 同社では、1950年代からを食事の量を重視した「食糧の時代」、70年代以降のより良いものを追求する時代を「食料の時代」とし、いまやこれらを経て、安全性の確保、健康維持、心を満たす文化といった、社会性・精神的欲求を満たす「食良の時代」に進化していると位置づけている。

 「夕食のトレンドは、家族とのコミュニケーションや、楽しみのため、健康のためという意識が高まっている。心を満たすことが大切な『食良の時代』であるからこそ、三菱電機は、家庭で楽しく、おいしく調理できることをサポートしていく製品を投入していきたい」(塚本社長)と、同社の調理家電における基本的姿勢を示す。

 8~9月にかけて発売している調理家電の新製品も、こうした考え方をベースにして開発、生産しているという。


IHクッキングヒーターにパン焼き機能を搭載

 ビルトイン型のIHクッキングヒーターでは、グリル調理において、「パン焼き機能」を業界で初めて搭載。IHクッキングヒーターの新たな使い方を提案しているのが特徴だ。

 9月22日に出荷を控えているダブルIH Vシリーズでは、直径28cmの深型と浅型「グリルディッシュ」を標準で付属。皿の深さにあわせてピザやハンバーグなどの調理に使い分けられるほか、深型をフタとして利用すれば、パンを焼くこともできる。

 パンの調理については、発酵時間、焼き時間が自動的に設定されており、「発酵時間に25分、焼き時間に約20分。こねる時間などを含めて小一時間でパンを、自宅で簡単に焼きあげることができる」という。


「パン焼き機能」をダブルIH Vシリーズ。下部は熱風循環式のオーブンレンジ
直径28cmの深型と浅型「グリルディッシュ」
こねたパンをグリルディッシュに配置

幅36cmのワイドグリルに、深型をフタにして入れる
ボタンを押すだけで発酵が開始される
発酵が完了した状態。発酵時間は約25分間

続けてボタンを押すと焼き工程に入る。こちらは約20分
グリルで出来上がったパン

家庭でこんなパンが約1時間で手作りできる
グリルディッシュで約10分で調理したハンバーグ。これは深型を利用

 さらに、2,000Wの高火力のほか、炊飯器の本炭釜で培ったノウハウを活用し、庫内を炭コートするとともに、ドア部に熱線反射ガラスを採用。遠赤外線放射率を約10%向上させたことで、魚の調理では、外の皮をパリッとさせ、身をふんわりさせる調理が可能になるという。

 また、「かんたん操作」の実現にも力を注いでおり、「とりあえず、説明書を読まないでも使えるように、ボタンはすべて外に出した。また、文字の大きさも1.3倍としている。表記も日本語表記で、右、左と表示しているのも、わかりやすさを優先したため」という。

 IHクッキングヒーターでは、同社製品が唯一、丸いつまみによるダイヤル方式を併用できる形にしている。つまみを搭載しない方が、デザイン的には洗練され、コストダウンも図れるが、三菱電機では、安全性と操作性の面から、つまみにこだわっているのだ。左右にそれぞれつまみを配置することで、直感的な火力操作ができること、また、吹きこぼれても、つまみをポンと押せば、加熱を止めることができるようにしているからだ。

 さらに、安全性という点では、天板部分をフルフラットにはせず、四方向に段差をつけている。これも、デザイン性よりも、不用意に鍋を手前に落とさないこと、吹きこぼれを前後左右に溢れさせないことなどの安全性に優先的に配慮したものだ。


つまみを前面に配置。通常は押し込んでおける。緊急時には押せば加熱が止まる
天板部分の四方向に段差をつけている。不用意に鍋を手前に落とさないようにしている
文字は見やすいように1.3倍に拡大している

 また、中央奥に1.2kWのラジエントヒーターを配置。これも鍋を選ばないという特徴を残すための同社のこだわりだ。


中央奥に配置したラジエントヒーターでは、手持ちの鍋もそのまま利用できる
ストップウォッチ機能。これを押せば、次回の料理の時にどの程度火にかければいいかの目安がつく

 「IHクッキングヒーターを導入したら、アルマイトの鍋などは捨ててくださいというが、それは間違い。IHでも、使える鍋はいつまでも使えるように、また、網焼きといった用途でも使えるという提案が必要」として、同社のIHクッキングヒーターの特徴の1つとして訴求していく考えだ。

 同社では、「IHクッキングヒーター市場の25%のシェアを獲得したい」として、年間約25万台の出荷を見込む。また、集合住宅向けの案件にあわせた製品群として、Mシリーズも新たに投入。今後、出荷構成比の2割を、同シリーズで占めたいとしている。


底力の強化を図るIHジャー炊飯器

 IHジャー炊飯器の「炭炊釜」シリーズとして投入したNJ-TXシリーズおよびTVシリーズでは、業界で初めて、釜底を均等に加熱するトリプルリング(釜底三重IHコイル)を採用。胴回りヒーターと、ふたヒーターをあわせた五重全面加熱を実現したのが特徴だ。


IHジャー炊飯器の「炭炊釜」シリーズ「NJ-TV10」
釜底を均等に加熱するトリプルリング(釜底三重IHコイル)

 「他社製品では、胴回りヒーターを何重構造にしているものもあるが、胴回りは主に保温やむらしなどで威力を発揮するもの。おいしく炊きあげるという意味では、底の火力が一番重要になる。釜底にトリプルリングを搭載し、加熱面積を増やし、加熱時の温度差を無くすことで、すべてのお米からうまみを引き出すことに成功している」という。

 また、内釜に施した炭コートも、米のうまみを引き出すことにつながっているという。加えて保温機能では、新たに「たべごろ保温」機能を採用している。

 一般のジャーが75℃で保温するのに対して、たべごろ保温では60℃で8時間の保温を行なうことで、水分蒸発を助け、乾燥やきばみを抑えることができるという。


内釜に施した炭コートも、米のうまみを引き出す
本炭釜はモデルチェンジをせずに継続販売する

 「60℃は低すぎる温度ではないかとの指摘もあるが、実際には炊き立てのご飯を、おひつに移して、それを茶碗に盛った時の温度が約60℃。ご飯の口当たりがいい温度でもある。また、8時間としたのは、8割が8時間で保温をやめているという調査結果から導いたもの。さらに、保温時の温度を下げることで省エネの効果もある」という。

 同社では、39,880円以上の高機能製品の価格帯において、2割以上のシェア獲得を目指すという。

 なお、本炭釜は、現在も月産1,500~2,000台で生産しており、「いまでも他社に負けない自信のある製品。モデルチェンジをせずに、そのまま継続する」としている。


清潔家電製品でも数々の独自技術を搭載

8月から投入したスタミナストロングエアシリーズ
 掃除機では、スタミナストロングエアの名称で、サイクロン方式のTC-AHシリーズ、紙パック方式のTC-BHシリーズを8月から投入。ラク走パワーブラシによる手軽な操作を実現するとともに、舞い上がったハウスダストをアレルパンチ吸着分解フィルターで吸収。さらに植毛がハウスダストをかき取って抑制するWエアハウスダストクリーン機能を搭載。加えて、ふとんブラシを利用することで、ふとん表面やふとん上のハウスダストを吸い取ることができるようにしている。

 また、本体底部の車輪を4つにしたことで、従来の3つの車輪のものよりも、安定性を大幅に強化。掃除中に本体が転倒するといったことをなくした。


本体底部の車輪を4つにしたことで、安定性を大幅に強化 ふとんブラシを利用することで、ふとん表面やふとん上のハウスダストを吸い取ることができる ブラシは、色ごとに役割がある。黄はアレル物質を抑制、赤は絨毯の床面を吸い取る、緑は拭き掃除の役割を果たす

 一方、上位機となるLAQURLIAIR(ラクルリエア)では、掃除の際に舞い上がるハウスダストも、3つの吸引口で吸い取るほか、吸い取ったハウスダストのなかにあるアレル物質の働きを抑制するトリプルエアハウスダストクリーン機構を、業界で初めて搭載しているのが特徴。9月21日から出荷を開始することになる。


LAQURLIAIR(ラクルリエア)。新モデルもユニークなデザインを踏襲
本体部からも舞い上がるハウスダストを吸い取る

 そのほか、加湿空気清浄機のラクリアエアでは、水洗いで能力が回復する集塵・脱臭フィルターや、「交換&お掃除レス・ディスク気化式」の採用により水アカがつきにくい加湿フィルターの採用により、すべてのフィルターで10年間の交換を不要にしているほか、電気代を約29%削減するECOオートモードを搭載しているのが特徴だ。

 また、加湿機のラクリアミストでは、親水加工のディスクを回転させて、加湿する方式を採用。加湿フィルターの課題となっていたカルキ成分による水アカによる目詰まりを回避。フィルター交換を不要としている。

 ディスクが回転して水分を含む水受けトレイの水のカルキ濃度上昇を避けるためには、カルキ水回収システムを採用。給水のたびにトレイ水を回収し、水アカの発生を防いでいるという。

 こうした清潔家電製品でも同社独自の技術が採用されているのだ。


加湿空気清浄機のラクリアエア。すべてのフィルターで10年間の交換を不要にした
加湿機のラクリアミストでは、親水加工のディスクを回転させて、加湿する方式を採用

IHクッキングヒーターの製造ラインを公開

手前が第2工場。その隣が基板生産のための新棟
 なお、同社では、一部製品の生産ラインも公開した。だが、写真撮影が1か所に制限されており、ライン上での検査工程の充実ぶりなど、細かな取り組みをお伝えできないのが残念だ。

 IHクッキングヒーターと除湿機、食器洗い乾燥機は、第2工場で製造されている。工場内には、5つの生産ラインを敷き、そのうち3つがセル生産によるライン、2つをコンベア方式の量産ラインとしている。また、基板生産ラインを配置して、基板から最終製品までの一貫生産としているのも特徴だ。


IHクッキングヒーターの生産ライン
 IHクッキングヒーターでは、ケース組立のあと、基板取り付け、オーブンASSYの組み付け、IHコイル取り付け、ヒーターの組み付けを経て、組立が完成。その間、数回に渡るコネクタ接続確認などの構造検査を繰り返す。完成したIHクッキングヒーターは、耐圧検査を行なったのち、消費電力測定やパネル通電などの性能検査、ガラス部の傷などを確認する外観検査を行ない、梱包ラインから出荷口へと運ばれる。

 また、抜き取り試験を一日2台以上行なっており、別の部屋に運び込み、200℃まで温度を上昇させる加熱試験なども行なっている。

 現在、取材時には、コンベアラインでは、22日に出荷が開始されるダブルIH Vシリーズが生産されていた。

 IHクッキングヒーターは、同工場において、年間では20万台を生産。今後、生産規模を1.5倍規模に拡大する計画だ。

 同社では、IHクッキングヒーターの生産強化にあわせて基板組立工程ラインを、隣接する場所に3階建ての新棟を建設して移設。さらに、部品倉庫を新たに設置して、今後の増産に備えていく考えだという。





URL
  三菱電機株式会社
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/

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( 大河原 克行 )
2008/09/09 14:40

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